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 その懐かしい学習席には(と言っても、まだ数ヶ月しか経っていなのだけど)あのころの小春がちゃんといた。

 それから小春はまた、図書館に勉強をするために通うようになった。

 そしてしばらくして、小春は優に出会った。

 そして小春は恋に、落ちた。


「高松小春さん。僕と付き合ってください」優が言った。

「はい。こちらこそ、宜しくお願いします」小春は言う。

 そして二人は恋人同士になった。

 そのタイミングで、影で二人の会話を聞いていたと思われる四ツ谷恵と山里椛が休憩所の中にやってきて、二人をからかい、小春が怒って、そして、そして……。


 それから一週間が過ぎたころ、小春は連絡先を交換していた山里椛に電話をして、椛と図書館近くの、二人が初めてきちんと会話をした、あのベンチのところで落ち合う約束をした。

「こんにちは、高松さん」

 明るい顔で、約束の時間通りに、山里椛は先にベンチに到着していた小春のところにやってきた。

「こんにちは、山里さん」小春は椛に挨拶をする。

 それから椛は小春の隣のベンチに腰を下ろした。

「それで、話ってなんなの?」と椛は言った。

 小春は気持ちを落ち着かせてから、顔を動かしてじっと自分を見ている椛の顔を正面から見つめた。

「あれから時間が経って、落ち着いて、それで気がついたことがあるんです」と小春は言った。

「ふーん。気がついたこと」と小春から目をそらして椛が言った。

「それってなに?」

「山里さんの本当の気持ちです」小春は言う。

 椛は珍しく、無言だった。

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