でも、そんな懐かしい早乙女芽衣は、すぐにいなくなってよく見るとそこにいるのは、やっぱり今の生意気で強引な、お昼休みに理由も言わずに真冬の手を引っ張って、無理やり教室から屋上まで連れ出してくるような、そんな早乙女芽衣だった。

 ……あれ? あんまり、昔と変わっていないのかな?

 出会ったときもそういえば、そんな感じだった。

 あのときも芽衣は強引に真冬をいつもなら一人っきりのはずの教室から、手をとって連れ出した。

 もしかしたら芽衣はあまり変わっていないのかもしれなかった。

 真冬は久しぶりに、芽衣の顔やその姿を、正面からじっと見つめる。

「なに?」芽衣は言う。

 でも、その外面は明らかに変わった。

 芽衣はもともとすごく可愛かったけど、今は当時よりも、ずっとずっと綺麗になった。男子生徒から人気があるのもうなずける。モデルをしているとか、アイドルをしているとか言われても、ある程度納得してしまうような、(実際にはどちらも絶対に芽衣はやらないだろうけど)そんな外見を芽衣はしていた。

「あ! もしかして、私の姿に見とれてる? 顔? それともこっちかな?」

 そう言って芽衣は大きく胸を張った。

「早乙女さん。そういうこと言うの、やめてよ」真冬は言う。

「ごめん。冗談。冗談だよ、真冬。まったくもう。真冬は昔っから、冗談にうるさいんだから」と芽衣は言う。

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