心の錆

勝利だギューちゃん

第1話 はじまり

鉄は塩水に弱い。

普通の水にも弱いが、塩水は鉄には強い、

すぐに、錆つかせてしまう。


そして、一度錆ついた鉄は、元には戻らない。

余程腕のいい職人でないかぎり・・・


「あなたの心は、錆ついているね」

「ああ」

「メンタル面が弱いのね」

「その通りだ」

否定はしない。


僕の心は、弱い。

そこをつけこまない人は、後を絶たないわけで、

僕の心に塩水を、ぶっかける。


放置されっぱなしの僕は、抵抗が出来ない。

その結果、錆ついてしまった。


「ねえ、私があなたの、心の錆をきれいにしてあげようか?」

「君が?」

「うん。任せてみない?」

「カウンセラー。いや、職人さんなのか?君は・・・」

「そんないいものではないけどね」

物は試し、その子の治療を受ける事にした。


さて、どうやって、錆を落としてくれるのか・・・


「まず、あなたに宿題」

「何をすればいいの?」

「まず今日から、毎日日記を書いて」

「日記を」

「そして、来週私に見せて」

「でも、日記は人に見せるものでは・・・」

「錆を落としたくないの?」

「お願いします」

僕は、しぶしぶ承諾した。


そして、今日から彼女との、二人三脚での錆落としが始まった。


心の錆を・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る