1章 7話~パラサイド

痛いよ、死にたくないよ、もし私が死んだら誰がミヤキを助けるの、それにまだ、ミヤキには本当の自分の事を教えていないのにミヤキを許していないのに謝ってほしい、死にたくない、私は。


「ホムラさん!!」


声がした、ミヤキだ、ミヤキがこちらに突っ込みゾンビ達を倒している。まさか、魔法少女になったのか、無茶だ、幾らなんでもこの数ではいずれ押さえ込まれる。


「ミヤキ、······駄目だ」

「大丈夫だから、待ってて、ここは全力で行きます!グランドレイ!」


ミヤキがそう叫ぶと地面から無数の槍が現れ次々とゾンビ達を倒していく。そして、私を襲っていたゾンビにもその槍が突き刺さる。


「ホムラさん!助けに来ました。酷い、傷があちこちに今傷を治しますヒール」


ミヤキがヒールをかけることによって傷が治っていった。先程の痛みも消えていく。


「有り難う、ミヤキ、お陰で助かったよ。でも、あまり魔力を使わないでね」

「何を言っているのそうでもしなきゃ殺られていたわ」

「そうだね、ごめんね」


あの時、銃やダッシュを使わずに刀だけで戦ったのがいけなかった。魔力を消費しても良いから全力で戦っていればこんな風にならなくてすんだのかな。


「ところでミヤキはいつの間に魔法を覚えたの」

「どうやら、最初っから覚えていたみたい」

「最初っから?自分は初めて魔法少女になったときそんな物覚えなかったけど」

「個人差があるのでしょうか」


個人差か、まあその辺りはミチベエに聞けば良いか。って話している場合じゃあなかった。残りのゾンビを片付けなきゃ。わざわざ敵は待っていてくれたようだ。以外と優しいのかな?冗談を言っている場合じゃあないね。


「残り少ないとはいえ油断しない方が良いね」

「はい、行きます!」


残り少ないゾンビが近づいて来るがこちらは二人、後ろはミヤキに任せて私は前の方をやる。二人でやったお陰でスムーズに倒せた。これで、ここのゾンビ達はいなくなった。しかし、肝心のパラサイドがいない。そいつは一体どこに。


「ミヤキはまだ知らないよね。ここにはゾンビのボスがいる筈なんだけど。ミヤキ?」

「ホムラさん、上を見てください」


私は言われた通りに上を見る。何だあれは、真っ赤空から空間がひび割れそこから何かがこちらに向かって落ちてくる。


「離れて!」


私たちは落ちてくる何かに押し潰される前に素早く離れる。

ドゴン!!

砂煙がもくもくと舞い上がる。

それが晴れると落ちてきた何かの正体が判明した。

蜘蛛、大きな蜘蛛、しかし、それは余りにも蜘蛛とは言いがたい別の何か、そして、ものすごい威圧感を放っていた。

パラサイド、これがミチベエがいっていたボス。


「キシャシャシャシャシャ」

「うわ、気持ち悪い」

「うん、確かに気持ち悪いわ」


それを聞いて蜘蛛は言葉が通じるのか気持ち悪いという言葉で反応する。


「私はあんまり蜘蛛は好きじゃあ無いけど幾らなんでもあれはねえ」

「私は好きよ、一時期買っていたこともあります。でも、流石にあれは買いたくもないです」

「キシャアーーーーーーーーーーーーー!!」


あ、怒った。うわ、糸を吐いてきた。私たちはそれを避ける。


「ホムラさん!」

「うん!」


蜘蛛は近づく私に液を飛ばすがそれをダッシュで避ける。せめてこれだけは全力で挑まなければいけない。避けた所には地面に液が当たりジュワっと溶ける。あれは、出来るだけ食らいたくない。

次々と飛ばす液体を私は避ける魔力の事もあるだから時には物陰に隠れて攻撃を防ぐ、しかし、物だったものはジュウと溶けてしまう。


「私を無視しないで下さい、グランドレイ!」

「キギャアアアーーー!!」

「有り難う、ミヤキ!こっちだって、ハアアアアア!」


私はダッシュで一気に蜘蛛に近づき強力な斬撃を食らわせる。勢いにのせた斬撃は普段の倍になる。それを食らった、蜘蛛は真っ二つに別れ霧のように消える。それを遠くからミチベエが見ていた。


「ホムラ、君はまだ魔法少女になったばかりだと言うのにパラサイドをあっさりと倒してしまうなんて君は一体。まあ良いよ、お陰で面白いものが見れたしね。そうは思わないかい?」

「ああ、バッチリと見ていたさ、へえ、あれが魔法少女かい」

「どうだい、君も魔法少女にならないかい」

「うーん、16である私が魔法少女ねえ、確かに、魔法少女になればゾンビを蹴散らすことも出来なくはないが、もう少し考えさせてくれないかい。今はこの武器だけで生き延びてやるよ」

「その武器だけじゃあ出来ることも限られているけど分かったよ、もし魔法少女になりたくなったら僕に話しかけてね」


そう言ってミチベエは二人の魔法少女の所まで戻っていく。


「今、この世界を抗えるのは魔法少女ねえ。果たしてそうなのかな。まあ、こんな状況じゃあそうも言っていられないな。まだ、子供である二人がどこまで行けるか見切らせてもらうよ」


バン!

少女は後ろから近づいてくるゾンビの頭を撃ち抜く。


「チッ、一発では倒れないか」


そう言ってもう一度撃つ。今度は倒れた。


「魔法少女になろうかねえ」


少女はそう呟き今、いる場所から離れていくのだった。

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