雪也の心(1)


 12月24日


 今年はなんとホワイトクリスマスだった。


 イヴの夜は外食なんてするもんじゃない。


 どこも混んでるし入れたとしてもクリスマス限定メニューだとかなんかで味はそこそこで高いだけ。


 だから今年も雪也の家で過ごした。


 今年は奮発してチキンを丸ごと1匹焼いてみた。


 と言ってもほとんど雪也がやってくれてわたしはチキンの背中にハケでタレを塗ったぐらいだけど。


 ケーキを食べながら映画を見た。


 クリスマスの夜に出会った男女が、1年後のクリスマスの夜に初めて結ばれ、そして3回目のクリスマスの夜に永遠の別れを告げるという悲恋のラブストーリーだった。


 普段はあまり泊まることはないけど(雪也が嫌がるから)さすがに今晩追い返されるのは悲しすぎる、と思っていたら雪也の方から『今日は泊まっていきなよ』って言われた。


 ちょっとというかだいぶ期待した。


 もしかして今晩こそ?


 でもやっぱりなんにもなかった。


 キスはいっぱいした。


 ベッドの中で抱き合っていっぱいした。


 分かっていたことだけど、半分あきらめていたことだけど、やっぱり悲しくなって雪也から愛されていないんじゃないかと思ってしまって辛かった。


 そうしたら雪也が言ったんだ。


『來夢ごめん、ごめんでも本当に愛してるんだ』


 その言葉で充分だと思った。


 だからわたしも言った。


 誰よりも雪也を愛してるよって。


 後にも先にもわたしには雪也だけだよって。


 体で繋がらなくてもいい、こんなにもわたしと雪也の心は繋がっている。


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