現実的で非現実的な日常
八雲ゆづき
序章
第1話
それはとある寒い日のことだった。
雪の降り積もる夜にその悲劇とも言える出来事はおきてしまった。
高速道路を走る1台の車。中には運転手である父と見られる男性、母と見られる女性、中学生くらいの男の子、同じく中学生くらいの女の子が乗っていた。
四人家族だろう。時期的にも冬休みに入っており、家族で仲良く旅行、その帰り道のはなしだ。
後ろには大型のトラックが走っている。車間距離がひどく狭い……煽り運転だろう。
そこそこ急な右曲がりカーブに差し掛かったその時———
———キキイイイィィィッッッ!!
急ブレーキの大きな音。
間もなく伝わる大きな衝撃。
「うわぁぁぁ!どうなってるんだ?!」
運転手の男性が慌てて右にハンドルをきる。が、トラックに押される形でガードレールに突撃していった。ガードレールの下は坂になっており、車とトラックはそのまま滑り落ちていった。
トラックのスリップによる事故でトラックの運転手である男性、軽自動車に乗っていた男性、女性、男の子は意識不明の重体だった。
発見時、軽自動車に乗っていた男性は子どもである男の子を守るような形で抱いていたという。
しかし、女の子は遺体が発見されず調査も打ち切りになってしまった。
その後、トラックの運転手である男性、軽自動車に乗っていた男性、女性は死亡した。
———ただ、男の子は助かった。
しかし病院に運ばれた後判明したことだが、両目が抜き取られたかのようになかったという。理由は未だに不明。
しかし、病院内でとある出来事が起きたそうだ。その物語はいつか語られる。そして、彼は目を取り戻すことになる。
こうして、一命を取り留めた奇跡の主人公——悲劇の主人公——は1人で生きていくことになったのだ。
彼の現実的で非現実的な毎日はこの日から始まっていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます