後戻りなんてできないんだ
都凪のいせ
ふと思うこと
みんな、だれかの思いを踏みにじって生きている。
誰かの好意を迷惑だと思う。
そんなことしなくてもよかったのに、と。
お前から好かれても困るんだと。
けれど人間なんて、
まあそんなもんだと思う。
エゴがいいように作用すれば感謝され、
そうじゃなければ否定される。
誰しも大小さまざまだが、
後悔を抱えて生きている。
あの番組録画しとけばよかったとか、
あんなこと言わなきゃよかったとか。
例に漏れず、僕にも後悔がある。
数え切れないくらいある。
これを読む君にもきっとある。
思い当たることを忘れてるのかもしれない。後悔とは、なんのためにあるのか。
僕は今日の選択も、ふと後悔してしまう。
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ー俺の始まりー
僕の名前は
春から高校2年である。
小学校でも中学校でも元気な人だったが、
なにかと嫌なノリに付き合わされることもあった。
だから心機一転、高校からは俗に言う陰キャという平和な生活を送ろうとした。
だが、失敗した。
挙げ句の果てにいじめられ、春からは転校するのだ。
とまあ一人称僕もそろそろ卒業かな。
もう陰キャはこりごりだ。
というか、もはやトラウマになっている。
俺はまた元気なキャラに戻って、
みんなと楽しく話して、それで…
それでどうしようか。
俺には一つ、引っかかっていることがある。
転校前の高校、
仲良くしてくれていたある男のことである。
俺はあいつに、言い残したことがある。
なんというか、それを言わなければ、
前に進んじゃいけないような。
そんな気がする。
「また。また僕は、後悔している。」
そして少し間が空いて
「あぁ、一人称は俺だったな。」
俺はそう言った。
とてもシニカルな口調でそう言った。
どこからともなく、不幸な
そんな女の子の、
強い想いの乗った声が聞こえた。
春の空を切り裂いていくような、
本当に世界を壊していくかのような、
そんな声が。
きっと、あの子は不幸なだけじゃない。
僕とは違う、俺と同じ、
心に秘めたものがある、そんな女の子のような気がした。
なんというか、とても、とても、心の柔らかいところを、さすられたような気がした。
俺は今、何を思っているのだろうか。
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ーわたしの始まりー
わたしの名前は
もう少しすれば
去年も、春からも。
そしてこれからもいじめられっ子。
でもね、なんか慣れたというか、
しょうもないことしてんなーって
いじめてるやつらに対して思うようになった。
でもいじめられるのは嫌。
白い目で見られるのが嫌。
1人だけ浮いてるような、あの感覚が嫌。
こうやって被害妄想してる自分だって…
なんか、ふと叫びたくなった。
わたしは、
なんの用もなしに来た、
春休みの人のいない学校の保健室を抜けて
颯爽と階段を駆け上る。
あぁ、こんなにも何かをしたいと思ったのは
とても久しぶりな気がする。
屋上の扉を開けて、わたしは叫ぶ。
大きく、大きく息を吸い込んだ。
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プロローグ
「こんな世界、ぶっ壊れちゃえーっ」
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