狙撃軌道の子どもたち

永久凍土

狙撃軌道の子どもたち

二つのプロローグ

プロローグ1



 もうね、色々大変なのよ二十二世紀。

 私ね、『ちょうじょうちせいこうぞうたい』とかいう人類の脅威、それと戦ってるの。

 メタストラクチャーって呼んでるんだけど、もちろん知ってるよね?

 タワシのお化けみたいなやつ、黒くて、すっごく大きいの。

 東京ドームの二個分かな? 信じられないでしょ。え、喩えが旧い?

 戦ってるって言っても、ガンナーさんって人達の後ろでお手伝いしてるだけなんだけどね。

 アーメイドっていうロブスターみたいな大きい射撃ロボットに乗って。

 そうそう、ばーんって撃って、どーんっとやっつけるの。

 え、大雑把過ぎるって? ……それ言ってるのお母さんでしょ。

 いやいや、可愛い弟達のためよ。

 叔父さん叔母さんにこれ以上世話かけられないしさ。

 金に目が眩んだって非道いなあ、ま、ぶっちゃけそれなんだけど。

 

 という訳で、私ことミナミ・イオは他の子より少しだけ婚期が遅れると思いまーす。

 ねえ、ちょっと聞いてる? お父さん。

 お供え物、ケチってないわよ。



 ところでお父さん。私になにか、隠してない?






プロローグ2


 二一一六年。地表にある全ての生命体を貪欲に飲み込む『それ』は突如襲来した。

 生命体とも人為構造物ともつかず、その巨体は全長は数百メートルにおよぶ。

 文字通り『骨』に似た細長い部位が幾重にも組み重なる複雑な形状を持つ。

 多くの謎に包まれた漆黒の『それ』。

 人類は『超常知性構造体』、通称〈メタストラクチャー〉と呼んだ。


 メタストラクチャーの持つ『時空歪曲防壁』、通称〈IVシールド〉。

 それは強大な重力干渉により時空を歪め、通常兵器の一切を無効化する不可視の盾。

 人類はIVシールドに為す術がなく、『異重力位相変換弾頭』、通称〈アンチグラヴィテッド〉を手にする三年後まで苦しめられることになる。

 彼らの出現は途絶えることなく、戦いが膠着状態に陥って十二年が過ぎた。

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