第11話 約束の時
ロージーの判断は早かった。
「
――汝、
(ええ。あなたの力を全部、わたしにちょうだいっ!)
――汝、
(そうよっ! 皆をS.N.O.Jから護るための盾がほしいのっ!)
――汝、ならば同時に
(えっ? それってどういう意味?)
――汝は知ることになるだろう。
ロージーはどこからか聞こえてくる正体不明の声に戸惑いながらも、クロの方に顔を向け
「クロ! よくわからないけれど、あなたも
「あ、ああっ! わかった!
クロードが詠唱を開始する。彼の身体からは
「『
ロージーがそう叫ぶと同時に、その場に集う皆をすっぽりと包み込むように直径20メートル、高さ10メートルの半球状の薔薇色の防御壁が具現化されることになる。その防御壁に巻きつくように、
衝撃が防御壁に襲い掛かるたびに、ロージーは端正な顔を苦痛で歪ませることになる。
そんな全身の痛みに襲われる彼女にまたしても、どこからともなく声が聞こえてくる。
――汝、耐えるが良い。汝の痛みの全てが
――汝は護られるだけの存在では無い。汝は盾であり、同時に矛である。さあ、痛みを力に変えよ。
半球状の薔薇色の障壁には
(
地に伏していたハジュン=ド・レイはこの世に起きる現象とは思えない光景を目の当たりにしながら、絶望感で心が押しつぶされそうになっていた。いや、ハジュンだけでは無かっただろう。コッシローも、ヌレバも、ミサ=ミケーンも、セイ=ゲンドーも諦めかけていたのである。
だが、オルタンシア=オベールだけは違った。娘であるローズマリー=オベールとその想い人であるクロード=サインが互いにその身を支え合いながら、その両足でしっかりと大地を踏みしめて、異形なるモノと対峙し続けていた。
オルタンシアは両膝を地面につけて、両手を胸の前で力いっぱいに握りしめる。
(あなた……。どうか、2人の力になって……!)
オルタンシアは夫であるカルドリア=オベールに祈った。
(ヤオヨロズ=ゴッドさま……。どうか、2人の力になって……!)
オルタンシアは神に祈った。その神たちの始祖たる神が、娘たちの敵とも知らずに。
ついに薔薇色の障壁の亀裂は余すところなく、縦横無尽に走り、100枚以上のガラスが一度に割れるような音が響き渡る。
しかしだ。薔薇色の障壁は細切れになったものの、ひとつひとつの欠片は薔薇の花弁へと生まれ変わる。
そして薔薇の花弁の全ては、ロージーの左手に持つ
さらにはロージーとクロードの2人は
「『
ロージーの左手に持つ
「『
クロードの右手に持つ
薔薇色の螺旋と
――汝たちに祝福あれ! 『約束』の時、きたれり!!
溶けあった薔薇色の螺旋と
ロージーとクロードは同時に叫ぶ。
「『
その光は原初の光であった。
神がこの世を創ったあとに言った言葉がのちの世に残されている。その言葉は……。
『光あれ』
そして、神は続けて言った。
『お前たちに罪と罰を与える』
神はさらに付け加えた。
『のちに罪と罰は、お前たちの
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