第6話 正邪の秤
(上半身裸で兜しか身に着けていない筋肉だるまの超弩級変態と、その従者と思わしき兵士、そして、高貴なる自分に向かって挑発を繰り返す小生意気の金髪、蒼穹の双眸、ハーフエルフの小娘をミンチにしてやるのでおじゃる!)
宰相:ツナ=ヨッシーが
「にょほほ! 使用許可が下りたのでおじゃる! 『
「そう……。穏便に済ませようと思っていた、わたしが間違っていたわね……。
(にょほほ!? 『
「ええいっ! 世迷言をっ! 貴様のような小娘が『
宰相:ツナ=ヨッシーが両手持ちにして、ロージーたちに向けていた
「使用許可が下りたわっ。『
ロージーがそう雄たけびを上げると同時に彼女が前方に突き出した左手のひとさし指にはめられた紅いルビーがついた指輪に、彼女の身から発せられた薔薇色に染まった魔力が集中していく。そして、その薔薇色の魔力は1枚の楕円形をした大きな鏡へと変貌を遂げるのであった。
ツナ=ヨッシーが両手にしっかりと持っている
「ぶへっ、ぶひっ、ぶぼぼぼっ、ぶべえええっ!?」
ツナ=ヨッシーは
「ぶべえ……。やべで、やべでえええ……」
ツナ=ヨッシーが血だるまになりながら、ロージーに許しを乞う。しかし、ツナ=ヨッシーが受けている攻撃の全ては彼が放った
『自業自得』とはまさにこのことであろう。政務室の半分は彼が
ようやく
「だ、だじゅげで……。だじゅげで……」
宰相:ツナ=ヨッシーは全身を
「ちょっと、やりすぎたかしら? わたしのせいじゃない……よね?」
「ロージーはただ単にツナ=ヨッシーの攻撃を弾き返しただけだから……」
「ガハハッ! ロージー殿が気に病むことなどないのでもうす! 悪いのはうちの
ロージーに
しかし、実際に彼女が
(またハジュンさまに騙されたわ……。ハジュンさま、わたしはこんな結果を望んでいたわけじゃないのに……。ただ、ツナ=ヨッシーにパパと同じ痛みを分け与えたいと思っていただけなのに……)
ロージーの心を後悔の念が押し寄せる。しかし、彼女はそれを振り切り、まだ息のあるツナ=ヨッシーに対して、自分が何者なのかを告げる。
「宰相:ツナ=ヨッシー。わたしはあなたが冷凍睡眠刑に陥れたカルドリア=オベールの一人娘、ローズマリー=オベールよっ! わたしは、あなたが犯した罪の重さをその身に刻み込んでやったのよっ!!」
「ガルドリア……。ローズマリー……」
「そうよ! カルドリア=オベールはわたしのパパよっ! あなたはただの路傍の石としか思ってないかもしれないけれど、パパはっ! わたしの大切なパパなのっ!!」
ロージーは涙が流れ出そうなのを必死にこらえながら、そう高らかに宣言する。
「ずま……ながっだ、ずまながっだので……おじゃる……」
宰相:ツナ=ヨッシーはそこまで言うと、身体から力の全てが抜け落ち、そのまま動かなくなってしまったのであった。全身を血に染めた無残な姿に変わってしまったツナ=ヨッシーは、最後の最後にローズマリー=オベールに対して、謝罪の言葉を彼女に送るのであった。
しかし、彼女はそんな謝罪の言葉を受けても、気分が良くなることはなかった。ただただ、胃の中から酸っぱい液体が湧き出てくる。そして、それが食道をせり上がってくると同時に、彼女はオエエエッと吐き出し、そして蒼穹の双眸から大粒の涙をボロボロとこぼれ落とし、その場でひざから崩れ落ちるのであった。
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