今期一番のクソアニメを決めようぜ!!(2018年秋)

ちびまるフォイ

あなたが見なかった1話は、誰かが死に物狂いで描いた1話

「今期も頑張っていたし、俺も頑張らないと」


「ああ、そうだな……。

 俺たちが今まで見てきたクソアニメは全部無駄じゃなかった。

 これからも視聴をやめない限り、クソアニメは量産されていく」


< キキーーッ

< ババババババッ!!!


「団長……なに書いてんだよ……団長ォーー!!」


「うおおおおお!!!」


「だ、団長……」


「読者のためにクソアニメを見るのは俺の仕事だ……。

 視聴を止めねぇ限り……クソアニメは……続く……!

 読者が求める限り、俺は視聴を止めねぇからよ……」


「団長ぉーー!! DVD買わずにCMスキップばかりだと

 アニメーターにお金なんか入らないよーー!!」


「止まるんじゃねぇぞ……」


人気のコンテンツはいつまでもいつまでもネタ化されて拡散されて、

いろんな人の脳裏に刻まれ残るがクソアニメはどうか。


わずか1話で切られることの多いこと多いこと。

話題にもされず、それでも12話のデスマーチを続けるアニメーター達。


ならば、せめてカクヨムの中でもそんなクソアニメを盛り上げて

誰かの心の片隅にでもとどめておけないだろうか!!


そんな慈善事業と書いて「にんきとり」と読む今期のクソアニメ選手権。


今期はなんといつもの常連「中国産クソアニメ」がランクインしなかったことで、

株価は急落しプレミアムフライデーとか囁かれている。


しかし、強豪の中国産アニメを抑えて今期最大の台風の目となったのが1作。


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『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない(通称:いもいも)』


 ラノベ作家に憧れる主人公の妹がまさかの先行作家デビュー!

 その妹の代わりにゴーストライターとして主人公が立ち回る。

 他の美少女作家や絵師などに囲まれてのドタバタラブコメディ!!



 なお、作画もドタバタしてます。

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第7話も放送延期したりと、作品外でもドタバタしている今作。


制作会社(NAZ)は独立してできた新しい会社で、

きっとアニメーターの手が足りないとか、

外注した先の出来がひどすぎたとかそういうのが原因なのは伺い知れる。


「クソアニメはこれで決まりだろ」


と、誰もが考えるが、それはクソアニメではない!!


「一番まずい料理は?」と聞かれて、「犬のうんこ」と答えるか!?

答えない!! だって食べ物じゃないから!!


作画が崩壊しようがなんだろうが、問題はそこじゃない。中身だ。


中身はというと……量産されるハーレム空気アニメでまるで将棋だな。


テンプレのツンデレ女。

魔乳の作画女。

お兄ちゃん大好き系妹。などなどなど……。


作家:恵比須清司先生はもともと新人賞をいろいろな場所に応募し

一次選考で落ちまくりのまさに主人公そのもの。

作品作りに関しても「こういう主人公の物語を書いてみたい」というのがあるとのことで、


まあ、理想の自分の姿を見せられてるだけだよね!

そんなの異世界アニメでいくらでも見られるよね!!


というわけで、クソアニメ1位になることなく終劇。


そして、地上にはすでにクソアニメがなくなり、日本人は宇宙に活路を見出した。


やがて宇宙の果てに見つけたクソアニメが1作!!



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『ソラとウミのアイダ』


 地球から魚が消え宇宙にいけすを作って漁業が行われるように。

 6人の少女たちは宇宙漁師(候補)となって漁に出る!

 そんな彼女たちの成長と葛藤の物語!


 クッソサブい方言が作品に泥を添えます。

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「クソアニメに必要なのは中身だと言ったな」


「あ、ああ……」


「あれは嘘だ」


「ええええええ!」


ソラとウミのアイダはもともとスマホアプリのゲーム。

「サクラ大戦」や「天外魔境」を作った原作:広井王子のアニメ。


「なんか、ラブライブと特殊な設定を組み合わせたら、なんかつまんなくなった」


といった感じで、一応宇宙漁師を目指してはいるものの候補生なので

彼女たちのやることと言ったら、練習練習また練習。


練習の間に挟まれる男尊女卑のクソ男どもにイラつかされながら

彼女たちの過去やトラウマや信頼関係が構築されていくが……。


「あれ? 宇宙イケスどこいった?」


と、ラブライブでライブがなくなったような薄味作品。

キャラ付けなのか、やや強引にみんな違う方言を話しているが

それがハリボテに感じてしまい、せっかくの作品への没入感を阻害している。


このクソアニメ小説だって、毎行の語尾が「~にゃ」だったら、そっちが気になるだろうにゃ?


宇宙イケスとか美味しい設定があるんだから、

もっとその特殊性を掘り下げて「宇宙イケス合宿」とか

「特別な世界観」を押し出したりすればいいのにね。


キャラのメイン回も訓練じゃなくて実務だったら、

世界観への理解とキャラの掘り下げが両立できる気がするけど……。ずっと訓練だもん。

悟空だって逃げ出すわ。


ということで、今期のクソアニメはこれで決まり……かと思いきや。


時空を越えて別の作品が上書きランクイン!!




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『RErideD-刻越えのデリダ-』


 目が覚めると10年後の荒廃した世界だった。

 制御不能ロボットDZに追われながら謎を解き明かす。

 そして、世界の異変は自分のタイムリープが原因だとして……!?


 という、劣化シュタインズゲート。

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デリダは漫画原作のアニメ化ではなく、オリジナルアニメ作品。

監督は「STEINS;GATE」の佐藤卓哉さんに、

キャラ原案は鬱ゲー「serial experiments lain」や

アニメ「灰羽連盟」「NHKにようこそ!」の安倍吉俊さん。


まさに夢のタッグ。

だが、つまらない。


基本的には過去にタイムリープして、いい感じに改変して、戻ると変わってる!


という感じで作品は進行していく。

ただし、映画『バタフライエフェクト』のように願った結果にはならない。


「こんなはずじゃなかったのに!」と、過去を改変したことによる

現実の再改変によりどうにもこうにもうまくいかない。でもつまらない。


「なんでや!!! シュタゲは面白かったやろ!!!」


というのも、作品には目的のわかりにくさが第一に挙げられる。


シュタインズゲート:主人公はヒロインの命を救いたい。

デリダ:世界をいい感じにしたい。


世界平和を願って生活してる日本人がどれだけいるのか。

遠くの大事件よりも近所のボヤ騒ぎのほうが、ずっとわかりやすい。


過去を変えて世界を救うのは同じなのに、目的を視聴者と共有・共感しにくい。

一応、女の子も救いたいけどね。


また、キャラが少ないのも問題に感じる。


シュタインズゲート:主人公以外にも多数のキャラ。

デリダ:主人公(+ヒロイン)


ヒロインも主人公を支えるタイプと言うよりもお付きが近く、

たまに敵に拉致られたりする感じのキャラ。主人公だけのが進む気が……。


シュタゲも主人公オカリンの頑張りがメインだったがダブルヒロインだったり、

優秀なスーパーハカーがいたり、頭のキレる助手がいたりするが、デリダは独り相撲。悲しい。


キャラが少ないぶん、個々に掘り下げることもできるので、

バタフライ・エフェクトのように「いつものメンバー」をガラリと変えたり、

新しい能力を目覚めさせてそれが突破口になったり、とにかく予想外の進歩が欲しくなる。


「過去に戻って、現実に戻って答え合わせ」を1人でやり続けるのはつらすぎる。


ということで、今回のクソアニメ大賞は『RErideD-刻越えのデリダ-』!!



 ・

 ・

 ・


そんな世界線もあった。


しかし、ここはそんなクソアニメ世界線ではない。


より醜悪で凶悪なクソアニメが魍魎跋扈する暗黒の世界だった!!


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『あかねさす少女』


 御神木の近くで鉱石ラヂオ研究会のメンバーは儀式を行う。

 一定の周波数に合わせるとパラレルワールドに全員ワープ!?

 ワープした先の世界では、その世界の自分と鉢合わせしてしまう。


 主題歌『壊れかけのラヂオ(研究会)』

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アニマックス開局20年の記念作品。


キャラクター原案は健全な男子少年に

性の悦びを教えてしまった作品『I"s』『電影少女』の桂正和先生。


それはそれとして、wikiから設定の意気込みを引用!


~~~~~~~~~~~~~~~~~ ここから引用

>並行世界をロードムービー形式で巡るというアイデアを念頭に置いたうえで、どのように見せるかについて話し合いが行われ、視聴者が少しずつ世界観に入り込みやすくすることについて特に注意が払われた。

>たとえば、並行世界へ行ったラヂ研メンバーのうちの一人が移動先の世界にいる「もう一人の自分」と同一化するという演出は、視聴者はその登場人物と同じ目線で物語を楽しめるようにするために取り入れられたものである。 また、ラヂ研メンバーが最初に訪れる並行世界が、ある一点を除いて、彼女たちが元居た世界と文化や外観を同じであることも、これと同じ理由である。

>ほぼ同じ時代設定ながらも、各々の並行世界で文化や背景に違いがあるため、設定を考えるのに苦労したと、監督の玉村仁は電撃オンラインとのインタビューの中で振り返っている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~ 引用終わり


「わからないマーーーン!!!!」


世界観を理解させる前に、キャラを理解させてください。


「いもいも」でデビューもしてない主人公が作中で偉そうにキャラの講釈たれていたり、

「デリダ」で主人公の孤独な戦い(笑)で萎えたり、

「ソラウミ」で棒読みすぎる方言で冷めた笑いを引き出されたりと、とにかくキャラ大事!!


魅力的なキャラは、それだけで物語を成立させてしまう。


特殊な世界設定『メイドインアビス』には人気キャラ「ナナチ」がいる。

『宝石の国』では宝石を擬人化させることで、理解しやすさを助けている。

ダイヤモンドを聞いたことない人はほぼいない。


「あかねさす少女」ではパラレルワールドで、なおかつ自分が2人いる。


もはや感情移入とか、キャラがどっちの子なのか、それ以前にキャラ理解が進まない。

48人のアイドルグループが一度に挨拶してくるくらいわからない。ちくわしか残らねぇ!!


西部劇のパラレル世界でなんか知らん人がわちゃわちゃやってるけど、こいつ誰よ。


作品を盛り上げてくれるはずのキャラ理解が進まないまま、

新しいパラレル世界、次のパラレル世界と渡されるので置いてけぼりになってしまう。


じゃあ、パラレル世界が魅力的かといえば、そうでもなく「知ってるこの設定」な感じ。


いや、またオリジナリティあふれるパラレル世界持ち出されたら

それこそまったく理解追いつかずに終わりそうだけどね。


劇団:あかねさす少女たちの、目的のないパラレル珍道中。


パラレル設定を使うなら、それこそデリダのように

「この世界線で起こしたことで、別のパラレルに相互作用が出る」とか

ただパラレル世界に行ってトラブルに巻き込まれる以外あっただろうに……。


最初の1話で別世界の自分たちが、どジャアぁ~~んと登場したのはよかったのに!



※ ※ ※


というわけで、今期のクソアニメは『あかねさす少女』に決定!!


秋の紅葉も済んで、冬がはじまりそうなのに、あかね差さない冷え込みです。


アニメ制作にあたってお金もかかるから、有名な人を起用したり

「外さない足場づくり」を感じるけども力が入りすぎて空回っていた今期のクソアニメ。


ちくわちくわ言ってる有名漫画家が描いた女の子より、

ゴブリンゴブリン言ってる顔もわからない男の子がキャラ立ってるという皮肉。


キャラ付けは口だけじゃなくて、行動で示さなきゃダメだね!!



……え? ここにないもっとクソアニメがあった?



「ぼーーっと見てんじゃねー―よ!!!」



ランク外のクソアニメがあればぜひ教えてください。

ニンバス2000でどこまでも駆けつけます。



よいクソアニメライフを!! ノシ



「見るのを止めるんじゃねぇぞ……」

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