チアーズ・トゥ・ルミナリー
木淵 荊
#1:末期の水
一杯のカクテルに混ぜるため、私は彼女の姿をつかまえた。アルコールに喜怒哀楽やら愛情やら淋しさやら、何かしらの感情を浸して飲み干す儀式。その行為が許されている限り、生きていけると、私は信じている。あるいは、混ぜ込むものがなくなったお酒、それこそが私の
薄暗い店内のひたと静かな空気と、幽かに流れるピアノの旋律。駅前の喧騒がこの世だとしたら、他に客のいないこのバーはあの世だと思った。それでもこの一杯に、恐怖は感じられなかった。目の前のオールデイ・カクテルは末期の水ではないから。
これは、命の水。口の中で呟いて、グラスを握った。私はまだ生きていける。
何もかもが満たされていて、だからこそ、何もかもを失いそうで恐ろしかった日々を。艶やかな黒髪、吸い込まれそうな瞳、整った鼻梁に、果実に似たあの唇と、妖精のようなクスクス笑いを。私は、きめ細やかな泡の一つ一つにその総てを包みこんだモスコー・ミュールを、決して忘れないだろう。誰も望んでいない決意は最高のガーニッシュのようで、嫌がらせのように爽やかな音を立てて喉に流れ込んでくる液体がグラスからなくなった途端に、私が思わず零した涙は、コースターに這う水滴に落ちた。
「飲みすぎですよ」
耳朶を打つ低い声に私は顔を上げた。駅前の大通りから迷路のような経路を辿った先にあるバー・レミントン。そのマスターが、いつもの目で私を見ていた。
「今日は、瑞月さんとご一緒ではないのですね」
「私だって、ひとりで飲みたい時くらいあります」
バーテンダーとしての腕は一流。人柄も性格も見た目も悪くないけれど、彼はいつも一段高い所から私を見据えて、何でもわかっているようなことを言う。
特に今回のマスターの言葉は、私との会話に下手な入り方をした。今は、今だけは聞きたくなかった名前を、いとも簡単に口にしてしまった。
「申し訳ございません。出過ぎた真似でした」
両手をカウンターの下で握り込む私を見て、察したのだろう。マスターは目を伏せ、小さく喉仏のあたりで咳をした。
「いえ、私の方こそ、すいません」
強く握ってしまったせいで、しわのできてしまったスカートが落とした視線に映る。滑らかな布に走る歪な破線は、まるで昔見た戦争映画のようだと思った。
戦争。今日をその愚行だとするならば、私の敗北だった。実力も、とった行動も、あらゆる面における完全敗北。心に無数の穴が開いた。その穴の奥をのぞき込み、私は彼女の後ろ姿を思い出してしまう。胃の中で、アルコールと一緒に濁り、渦巻いていた記憶を、あろうことかその欠片だけを、私は取り出してしまった。
もれた溜め息。二酸化炭素の中に、飲み込んだものは見当たらない。それは私の、頭の中へと舞い戻っていた。
「全然、楽しそうじゃないね」
最初に私へ向けられた、彼女の言葉。ファッション学科の付き合いで無理やり連行された、懇親会という名の合コンでの一幕だ。
国際的に活躍する人員を多く輩出するモードカレッジに私と彼女は通っていた。夢を追いかける道の上で、立ちはだかる壁にもがいていた私にとって、もはやその響きに入学当初ほどの名誉は無かったけれど、彼女にとっては違っただろう。世界的デザイナーである父と、国内最高峰モデルである母との間に生まれ、それに恥じぬ美しさをまとって大いに輝いていた彼女にとっては。自分の周りにある全てが、人生の演出道具に見えていたはずだ。
少なくとも、私の隣に悠然と腰かけてきた彼女に対して、当時の私はそう思っていた。
「なんですか」
「別に、そう見えたから」
私が所属する服飾デザインコースと彼女が咲き誇っているモデルコースとは深い交友がある。校内においては、そのほとんどがカレッジの誇る一大イベントであるファッション・ショーのためにあるようなものだが、そのパイプが卒業後に真価を発揮する例もある。そうなると、懇親会が数多く催されるわけだ。しかしモデルコースは文字通り、誰もかれもが美男美女だらけである。そんな集団との交友を深めるお酒とお食事の会が、次第に合コンよろしく出会いの場に変わっていくのは当然だった。
「ねぇ、名前を聞いても良いかな」
「朝見です」
「フルネームを教えてよ」
「朝見陽奈です」
「どういう字を書くの」
「太陽の陽に、奈良の奈ですけど」
「ヒナ、陽奈。へぇ良い名前。私は」
「知ってますよ。姫野瑞月さん」
「む、名乗らせてくれても良いじゃない。朝見さんって結構イジワルなのね」
「そんなことない。と思いますけど」
彼女に対して、私は自分が思った以上に卑屈だった。例えるならば彼女は太陽で、私は影。何か変な引け目のようなものを感じてしまった私は、冷たいトーンで彼女の言葉に応えてしまっていたのだ。
しかし彼女は、そのパッチリと開いた目を細める。そうしてふんわりと子猫のように、あるいは狡猾な狐のように、口の両端を持ち上げてみせた。
「気が合いそうだね、私たち」
馬鹿にされているのかと感じた。しかし一瞬で頭に上ってきた赤くて熱い感情が波のように引いていったのは、私を見る彼女の瞳の奥に小さな光を見たからだった。求めていた何かを探し当てたような、希望に満ちた光。すると、それの差していない今までの彼女の目は、ひどくつまらないものであるかのように思えた。
「ねえ、二人で抜け出そうよ。ここにいる人たち、みんな嫌な感じがするんだもん。性欲まみれの汚い感じ。あなたからはそれがしないから」
「何が言いたいの」
「別に。ただ、私たち多分、似ていると思うの」
彼女は私の手を握った。小さな手のひら。それなのに細くしなやかで長い指。キラキラとしたマニキュア。私とは似ても似つかないのに。
戸惑い。ただそれだけに支配された頭を何とか動かそうとする私に、彼女はその端正な顔を近づけてきた。キスよりほんの少し遠い距離。彼女の声を孕んだ蠱惑的な吐息が、私の鼻先をくすぐる。
「いいお店を知っているの。二人で飲み直そう。きっと楽しいよ」
まるで魔女に惑わされて、森の深くに連れ去られる人間の気分だった。それは残酷なおとぎ話で、私は、悪い魔女に食べられてしまうのだ。彼女の美しさの秘訣は、若い女性の生き血なのかもしれない。だけど、もしその美貌の一部になれるのなら、このまま彼女に殺されても良い気がした。その代わり、髪の毛の一本も、骨の一欠片も残さずに、私の総てを食べてもらうようお願いしてみよう。
彼女の人差し指の先を、少しだけつまんでみる。星の散らばる爪がピクリと動いた、その反応がおかしくて、私は微笑んだ。
「いいよ。私なんかで良いのなら、付き合ってあげる」
「すてき。あなた、最高ね」
そうしてこっそりと店を出てから、電灯の明かりに導かれるまま、私たちは夜道を歩いた。月に見下ろされながら太陽の隣を歩くのは、不思議と居心地が良い。
「あの店に私目当ての人が何人いたのかな」
「そりゃ、あの場のほとんどでしょ」
「本当にそう思うの」
「それ、どういう意味」
「ごめんなさい、何でもない」
月明かりが薄くて、彼女の表情はあまり鮮明に見えない。俯いた彼女は、前髪をかき分けて、視線だけでこちらを見た。
「あなたの目当ては誰だったの」
「そんなの無いよ。私は無理やり連れて行かれただけ」
「ふふ、良かった。朝見さんに言い寄られたら、私、断る自信がないもん」
「何それ。変なお世辞」
彼女が何を言いたいのか、何を思っているのかは分からない。それでも、今まで私の中で君臨していた彼女の姿はすでに影も形もなかった。とてもフランクで、まるでずっと一緒にいる親友のように感じる瞬間すらあった。それと同じくらいに、やはり掴みきれないところもあったけれど。
「お世辞じゃないよ」
「そんなこと言ったら、私だって同じ。あなたに付いて行っているわけだし」
彼女はこちらを振り返った。腰を折り曲げて、お辞儀のような体勢。長い髪がはらりと垂れる。
「迷惑だったかな。でも、朝見さん、ああいう場所嫌いでしょ」
「うん。まあ、そうね。私、ああいう飲み会って苦手で」
見透かされたのが少し癪で、苦し紛れの言い訳を付け足す。その言葉を聞いて、彼女の楽しそうな笑顔に輝きが増した。
「じゃあ、バーはどう」
「好き」
「わぁ、私たちって本当に似てる。それなら、今から行くお店はきっと気に入ると思うよ」
「姫野さん、良いお店をたくさん知ってそうだね」
「そんなことないよ。普通、普通」
くるくる、くるくる、両手を広げて回る、踊る。星のない夜空が、彼女のためだけに在った。まるで映画のワン・シーンだ。主演、姫野瑞月。舞台は、ある変哲の無い町。ならば今ここに立っている私は。彼女の人生にとって、私は、せめてエキストラくらいには映っているのだろうか。
「着いたよ。ここが、私の一番のお気に入り。あまり誰かに教えたりしないの」
細い裏道だった。灯りといえば街灯が数本くらいのもので、とても暗い。今にも消えてしまいそうなネオンが示す、その名前、『レミントン』。
焦げ茶色の扉に手を添え、彼女が振り向いた。サラサラとした黒髪が鼻先に触れる。その笑顔が私だけに向けられているという事実に、少し満たされたような心地がした。
しかしそのバーの中は、彼女の紹介にしてはやけに閑散としていた。今しがたベルの音と共に入ってきた私たちの他に客はいない。曲名の分からないピアノだけが耳に忍び込んでくる。バーテン服の男性が、私たちにジロリと視線を送った。
「こんばんは、マスター」
彼女は軽やかな足取りで、常連らしくカウンター席へと腰かける。
マスターの、見透かそうとしているかのような視線から目を逸らし、小さく会釈をする。そして逃げるように、私は彼女の隣の席へと体を押し込めた。
「瑞月さんがお友達を連れてくるなんて、珍しいですね」
とても柔らかく、深い低音。思わず見ると、涙袋のくっきりしたマスターの目が細められていた。安心感のある笑顔だった。
「初めてよ。こちら、朝見陽奈さん」
「いらっしゃいませ。何をお飲みになられますか」
案外、良い店なのかもしれない。知る人ぞ知る穴場ということか。埃の溜まっていそうな空気が、途端に何だかしゃれて感じられるから不思議だ。
黒革張りのメニューの中から、私が頼んだのは見栄を張ったファジー・ネーブル。カウンターの奥に見えるクレーム・ド・ペシェか、でなければカルーアくらいが女子らしいカクテルのベース・リキュールとしてはちょうどだろうと高を括ったのだ。少しでも可愛く見せようと思っての選択。そんな私の悪あがきを軽々と飛び越えて、彼女はキールをオーダーした。
「ずいぶん甘いお酒を飲むんだね。朝見さん可愛い」
髪を耳にかけながら、彼女はおかしそうに笑った。白ワインとカシス・リキュールに彩られた深紅の海がその細い指に抱かれて揺れていた。
二杯目は、私がゴールデン・デイズ。飲みやすいけどお酒の味。
彼女のオーダーはナップ・フラッペ。クラッシュアイスの白色の下に横たわる、ブランデーとキュンメルの黄金と、透き通るシャルトリューズ・ヴェール。色彩の絡まりが美しいカクテルだった。
「朝見さんってこの町の人なの」
それからしばらく、ぽつぽつと言葉を交わしながら飲み進め、やがて五杯目を数える彼女のカクテルが無くなりかけた時、彼女は唐突に問いかけてきた。
「うん。高校を卒業して、県外の大学に行ったんだけど、辞めて帰ってきたの。デザイナーの夢を諦められなくて。姫野さんは」
「高校卒業して、それからママの仕事について世界中を飛び回ってた。二年くらいかな」
「凄いね」
「私はすぐにでもモードカレッジに入りたかったんだけど。実際にプロの仕事を見てからだと得られるものも良くなるでしょ。って、ママに言われてそのまま」
「高校は、どこ」
「姫高」
姫高とは、海を臨む丘の近くにある私立の女子高だ。紺のブレザーの制服が可愛い。いわゆるお嬢様学校で、一度、姫高の生徒にごきげんよう、なんて挨拶された覚えがある。
「さすが、似合ってる」
「やめてよ。名所が血まみれの丘なんて、全然すてきじゃない」
「血まみれの丘って」
「あはは。やっぱりうちの生徒以外には伝わらないんだね」
「あの丘のことだよね。どうして、そんな物騒な呼び名をしているの」
「何代か前の先輩がそこで掴み合いの大喧嘩をしたんだって」
「それで、血まみれ」
「詳しくは知らないよ。私ね、血まみれの丘で夕日を見るのが好きだったんだ」
「へえ」
「夕暮れって、太陽が沈んで、月が出る時間。とっても綺麗で大好きなの」
「血まみれみたいで」
冗談のつもりだった。カクテルを飲み干す彼女のクスクス笑いがもう少し見たかったのだ。
「そうだね。あの夕焼けを見ている人の顔は、確かに血まみれに見えるかも」
感じたのは恐怖。アルコールか、それともその、血にまみれた夕焼けの景色かは分からないが、何かに酩酊した声色だった。ここではないどこかを見ているような虚ろな目だった。氷に触れて濡れた唇は、幽かに震えていた。
そしてその姿は、何よりも美しく見えた。
「良い名前。陽奈って」
「さては酔ってるでしょ」
「朝見さんって、太陽みたい」
「何か変だよ」
「ねえ」
彼女の指が伸びて、頬に触れる。伝って流れたグラスの水滴が、私の体温を奪いながら、首筋を伝って襟口に消えた。
「月は、自分で光っているわけじゃないの。太陽がいないと、誰に見向きもされない」
「どうしたの」
「私たちは似ているけれど、やっぱり違うのかも」
「ちょっと、姫野さん」
「私。私、あなたの名前だったら良かったのに」
涙。
それは、どうしようもなく、涙だった。瞳から生まれて、目尻を濡らし、柔らかなバラ色の頬を犯していく粒。その雫を拭った人差し指は、とても綺麗とは呼べないかたちをしていて、私は、星の見えない自分の爪先を他人のように思った。
「いつもこうなんですよ」
マスターが呆れたように眉を歪めながら言ったのは、彼女が小さな寝息を立てはじめた時だ。
「何かあると、この店へ来てはお酒を飲んで、こうやって眠ってしまうんです」
「お気に入り。って、言っていました」
「そうですか。それは、それは」
その言葉に、マスターは柔らかな笑みを浮かべて頷いてみせる。それから、グラスに水を注いで彼女の隣に置いた。
「今日は、朝見さんが居られたので少し驚きました」
「私も、何が何やら分からないまま連れて来られて。でも、来て良かったです」
「ありがとうございます。あの、朝見さん」
その声は、少し芯のある色をしていた。
「瑞月さんを、支えてあげて下さい」
「私がですか」
「彼女がここに朝見さんを連れて来た。僕はそういうことだと思います」
私とマスターとの会話は小さく短いものだったが、眠りが浅かったのだろう。彼女は小さく喉を鳴らしながら起き上がると、目の前に置かれていた水をぐいぐいと飲み、目を擦った。
「何の話をしていたの」
「大した話はしていませんよ。さあ、もうそろそろ終電も無くなります。朝見さん、お帰りは大丈夫ですか」
「あ、はい。駅の近くなので」
「瑞月さん。あなたの家、遠いでしょう」
「大丈夫、タクシーがあるし。なんなら朝見さんの家に泊まるから」
「えっ」
「駄目かな」
「だ、駄目、ではないけど」
首を傾げる彼女の仕草は、ズルイほどに、可愛い。
「ふふ、ありがとう。それじゃあ最後に一杯だけ」
「まだ飲むの」
「いつもの。ですか」
「ええ」
呆れ顔で問うマスターに、彼女はいじらしい笑顔で応える。
一瞬だけ肩をすくめたマスターは私たちに背を向け、酒瓶の並ぶ壁に手を伸ばし始めた。何のことだか一人分からない私は、ただ、綺麗に切り揃えられたマスターのシルバー・アッシュのうなじと、彼女の艶やかな黒髪とを見比べるしかなかった。
「ねえ、ショットガンって知ってるかな」
「散弾銃のことでしょ。ゾンビを一気に倒せるやつ」
「違うよ、ゲームの話じゃなくて」
バイオハザードが伝わるとは思っていなくて、他人事のような驚きを感じながら、私は彼女のクスクス笑いを眺める。唐突な言葉に混乱しながら考えてみた。
「じゃあ、お酒の名前。聞いたことないけど」
「お酒は正解。でも名前っていうと、ちょっと違うかも。飲み方っていうか、スタイルっていうか」
その言葉に頷いたマスターは、グラスにテキーラとジンジャーエールを半分ずつ注いで私たちの前にそれぞれ差し出した。それを見て、咄嗟に浮かんだ私の苦い表情を、見逃すマスターではない。
「テキーラは苦手ですか」
「あ、はい。何かクセが強くて」
「じゃあ飲んでみて」
「え」
「テキーラが苦手なら、多分ビックリするよ。私の真似をしてね」
彼女はその手で蓋をするようにしてグラスを持ち上げる。グラスの水滴が落ちた瞬間、彼女は小さく、見てて、と呟いた。
私が聞き返す間もなく、彼女は、グラスを勢いよく振り下ろした。厚い底とテーブルが音を立ててぶつかる。彼女の手の中で、ジンジャーエールの泡が弾けた。そして彼女は得意げな顔をして、呆然としている私をチラと窺うと、爽やかな音を立てる液体を一息に飲み干した。
「だ、大丈夫なの。テキーラでしょう、それ」
「ふふ。飲んでみたら分かるよ。朝見さんも、ほら」
彼女の頬に朱色が差している。薄暗い店内に浮かぶ潤んだ瞳とのコントラストが言葉にならないほど綺麗で、私は無意識に息を呑んだ。急かされるまま、グラスに蓋をするように持ち上げると、彼女の視線が注がれているのが分かる。左の薬指の付け根が微かに痺れた。
「おっかなびっくりじゃ駄目だよ、一気に」
言われるまま振り下ろし、感じる激しく鈍い衝撃。目で見るよりも鮮やかに弾ける炭酸の泡が、指と指の間から溢れ出す。
「陽奈」
彼女のその声が引き金だった。そして、身体の奥に流れ込んでくる冷たい液体。これほどまでにハッキリと、澱みのないアルコールの奔流を私は知らなかった。
ショットガン。
形容すべき言葉が、それ以外見つからない。
テキーラが持つ、説明の難しいクセが苦手だったけれど、その味は違った。スッキリとして飲みやすい。
「ね、驚いたでしょう」
想像を遥かに超えるアルコールの銃撃に、私の意識は撃ち抜かれたのだろう。微笑む彼女の唇が慌てたように丸くなるのだけが、ぼやけて見えて、そうして視界が暗転した。
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