第59話 治療完了

 アリーナと仲直りどころか、謎の攻撃をまともに食らい、そのまま医務室送りになった。

 なんだかよく分からないが、専門医とやらがくるまで何も出来ないとかで、私は連れてきてくれてアリーナによって病室のベッドに寝かされた。

 そのベッドに座ったまま、アリーナは静かに泣いたのだった。

「……あんな、下らない意地の張り合いで、この結果かよ。なにもいえないよ」

 アリーナがため息を吐いた。

「……下らなくはないだろ。私はお前に攻撃魔法を撃ったんだぞ。ごめんなさい」

 私は動かない体で小さく息を吐いた。

「……あんなのどうだっていい。これに比べたら、なにやってるんだろ」

 アリーナが泣きながら私を撫でた。

「どうせ、感触がないとかいうんだろ。最悪だよ……せめて、もっと早くみつけていればって、どうしょうもない気持だよ。普段通り、頻繁にみにいっていれば……」

 アリーナはそれきり黙った。

 私を撫でながら、床を見つめてため息ばかり吐いていた。

 これに対して、私はなんのフォローも出来なかった。


 翌朝、慌てて病室にきた魔法医が私の治療に入った。

 なかなか面倒な事になっていたようで、終わったのは昼過ぎだった。

 結果、私は元通りに治った。変な後遺症もないようだった。

「やってる間に、サーシャをやったクソ野郎どもを始末しておいた。一人残らずね」

 医務室から私を抱えて歩きながら、アリーナがいった。

「……やっぱり、複数だったか。一人であれは、難しいもん」

「五人ってとこか。背後関係も洗ったけど、ただの馬鹿野郎だね。面倒な繋がりがなくてよかったよ」

 アリーナは笑みを浮かべた。

「……そうか。私は実家に帰るよ。魔法使いな事も忘れる。あんな魔法の使い方した以上、もうダメだろ」

 私はため息を吐いた。

 アリーナは笑みを浮かべた。

「帰るなら家が違うぜ。それに、サーシャを魔法使いでなくしたら、私の首が飛んじゃうよ。それくらいの術者だって自覚しろ。もう、うるせぇから洗ってやる!!」

「……やっぱ、こういう時は洗われるのね」

 アリーナは私を風呂に連れて行くと、いつの間にか十種類くらいに増えたシャンプーの一つで洗われた。

「逃がさないぜ。私が悪いだけだ!!」

 アリーナは笑った。

「……」

 私は無言で頷いた。

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