入社した企業の勤務内容はVRMMOをする事でした。

はるる

Tutorial1 ゲームは得意ですか?

「高橋マモルさん…ゲームは得意ですか?」


入社面接でそう聞かれた時は驚いた。

しかし、この質問でこの後の自分の人生が大きく変わるとは思っていなかった。


株式会社ライフチェイン…大企業というネームバリューだけで面接を受けに行ったが、まさか仕事内容があんなに物だとは思わなかった。


面接を受けて二週間ほど経ったある日、僕の家に封筒が届いた。

内容はライフチェインへの就職が決まった事を伝える旨の物だった。


そこにはパソコンで綴られた無機質な字で


「高橋マモル様

貴方を株式会社ライフチェイン ギルド課 物資調達部へと配属する。」


とあった。


ギルド課というのがよくわからなかったけれど、内定を貰ったという事実だけでそんな疑問は吹き飛んだ。




内定通知から一週間後、僕の初出勤となった。

買ったばかりの黒いスーツにネクタイを締め鞄を持って春の風の中、僕は意気揚々と会社へと向かった。


電車に乗り、少し遠くのオフィスに向かう。

今まで大学へ行くために降りていた駅を通り過ぎ、見慣れない風景が流れる。


最寄駅で降り、徒歩3分。

ビル街の一角を占める建物に入った。

以前来た時は面接のためだったから緊張していたが、今は期待が緊張を上回っている。


「高橋マモル様ですね、ようこそライフチェイン社へ。ギルド課は三階となります。あちらのエレベーターからどうぞ」


受付の方の言うままにエレベーターに乗り、三階へと向かう。

僕はギルド課という謎の部署について内心楽しみにしていた。


エレベーターが三階で止まり、扉が開く。

そこで待っていたのはスーツの似合う、スラっとした背の高い女性だった。


「君は…新入社員の子かな?」


女性が少し不安そうに訊ねる。


「はい、そうです…あの、ギルド課というのはここであっているでしょうか?」


僕が返事をすると、今まで少し暗かった女性の顔が明るくなった。


「ようこそ!ギルド課へ!ちなみに君はどこの部署かな?」


僕が物資調達部と答えると更に女性の顔が明るくなった。


「おっ!私と一緒の部だね。案内してあげるからついて来て!」


女性に案内されている間にオフィスの中が少し見えたけど、何だか全員寝てるように見えた。気のせいだろうか…


「新入社員君。この扉の先が私達の職場である物資調達部になるよ。

ちょっとフツーの職場じゃ考えれない光景が広がってるけど気にしないで!

ちゃんと仕事はしてるから!」


そういって女性が開けた扉の先には机に突っ伏して寝ている人が沢山いた。

しかも全員ヘルメットの様なものを着けている。


「な…何ですか!これ!」


「いいから、いいから!はい!これ被って!」


そうやって僕は例のヘルメットの様なものを渡された。

抵抗しようと思ったけど、新入社員という立場もあり、言われるがままに被った。




ヘルメットの中にはクッションがあり、なんだか枕のようで、何処からかオルゴールの音色も聞こえてくる。


この装置によってあっという間に眠たくなった僕はそのまま眠ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る