無限輪廻

無限輪廻

今日まで人生頑張ってきた。だが、それももう終わり。

無職になって早数年、毎日のハローワーク通いももう限界だ。

「えり好みし過ぎている！」

「選ばなければ仕事は山ほどある！」

そんな無責任で、ありきたりなアドバイスは腐るほど受けた。

しかし、選ばなくても未だ仕事は見つからないし、なにより書類選考が通らない。

口座残高はほぼゼロ、食料もないし家賃も払えない。

頼れる家族ももういないし、助けを求めた役所では門前払い。

人生色々と詰んでもう疲れた……。

「よし、自殺するか！」

そうと決まれば即行動である。

だがノープランで自殺はいただけない、何事にも予備知識は必要だ。

スマートでスタイリッシュな自殺を目指し、色々と考察しよう。

【自分の自殺で他人に迷惑はかけたくない。】

これが大前提で話を進めて行く。

【首吊り自殺】【リストカットで自殺】

これは、家主さんに事故物件を残すなんて申し訳ないので却下だ。

【薬物で自殺】【練炭で自殺】

薬も練炭も割りと高いので却下。そんな金があればご飯が食べたい。

【飛び込み自殺】

JRさんや、車の運転手さんに迷惑をかけるなんてとんでもないので却下。

【飛び降り自殺】

ぐちゃぐちゃになった死体の後始末を他人にさせるのはなんかね……却下。

【海に身投げして自殺】

漁船さんの網にかかるかもしれないし、釣り人さんに迷惑をかけるかもなので却下。

【有名な樹海で自殺】

樹海を管理する県や自治体に迷惑がかかるらしいよ。

つまり、ここまでの考察で他人に迷惑のかからない自殺はないというのがわかった。

しかし、私の自殺はもう決定事項だ。最終的に地方自治体に迷惑をかけるが、苦渋の選択だ。申し訳ないが樹海で自殺を選ばせてもらおう。

まあ私の身体が動物達のエサになるし、腐ったら腐ったで樹海の肥料くらいにはなりそうだ。いままで沢山税金も払っているし、最期くらいは国に面倒見てもらおう。

さて、あとは問題となるのがこの有名な樹海までの交通費だ。

まず、俺には車も免許もない。そして、俺の安アパートからこの樹海まではかなりの距離だ。

「歩くのは無理だな。」

もちろん、この距離を歩く根性は俺にはない。

まあ、現実的な方法だと公共機関を利用して移動するのが普通だろう。

しかし、交通費がけっこうな額で、現在無職の俺にはかなりめまいのする金額だ。

つまり、現在私の置かれた状況はこうだ。

【自殺する為に交通費を稼ぐ。その為に仕事を探さなければいけない】

なるほど、俺の現状は理解した。

そうと決まれば話は早い、明日の予定は決まったな。

「よし、明日もハローワークに行こう！」