第40話 冴えないふたりの歩きかた【加藤視点】

「いくぞ、恵」

 そう言って倫也くんはどんどん前に行ってしまう。

 私は彼をいつも必死に追いかけるのだ。


 でも、私は「待ってよ」と言えない。だって、そう言っても、彼は待ってくれないと経験上分かっているから。


 彼は私を置いていっていることにすら気がつかない。

 そして、いつも見えなくなってしまったところで、謝るのだ。

 英梨々が別荘で倒れた時だって、この前だっていつもそう。


 それでも、私は彼についていく。いつも「なんだかな~」って言いながらついていく。


 彼が疲れて道に立ち止まってしまった時、私は彼においついてこう言うのだ。


「私を誰もがうらやむ素敵なメインヒロインにしてね」って……

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