第8話 冴えないヒーローの見つけかた【原作7巻、加藤視点】
ある晴れたある日。
わたしは、彼を待っていた。
いつもの坂の上で、一年前の連休のときのように……。
いや違う。あのときじゃない。もっと前の時のようにだ……。
だって、あの時、見守っていてくれたふたりは、もう、いないんだから。
わたしはただ、彼を待つ。
春の風に飛ばされた帽子を拾いにいってくれた彼を待っていた時と同じように……。
もうひとつ、違うことがある。
エリリも霞ヶ丘先輩がいなくても、わたしにはできることがあるのだ。
本物のメインヒロインにならなくちゃいけない。
「わたしを今度こそ、幸せなメインヒロインにして、ね」
こころのなかにいる彼に向けて、私は小さくそうつぶやいた。
うつむいた彼が見えた。サクラにもわたしにも、まだ気がついていない。
「やっと会えたね。安芸、倫也くん」
本当のメインヒロインとして、私は彼の前に立った……。
これからが、私と彼の物語だ。
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