第349話

 刑事の二人は挨拶もそこそこに事情聴取を始めた。


「申し訳ありませんねぇ~❗❗」

 矢作やはぎは不敵な笑みを浮かべた。

「少しだけバスの焼身自殺の件で事情を聴かせて貰えますか」

 またコーヒーをズズゥーとすすった。


「ちょっと…… 待って下さい……」

 アキラがさえぎった。

「お嬢様は、事故の後遺症で言葉を発することが出来ないので私が代わってお答えします」


「ほォ~、あんたが……」矢作やはぎ胡散うさんくさい顔をした。


「ええ、顧問弁護士の桐山です」


「なるほど……」矢作は立ち上がり、リビングの中を見て回った。


「じゃ、レイラお嬢様…… 質問にうなずくか、首を横に振るかだけで結構ですので、宜しいでしょうか❓」

 有無も言わせぬ語調だ。

 私は軽く頷くしかない。

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