第323話

 私は軽く首を振った。


 こんな些細な事を報告した所で事態が好転よくなるワケじゃない。


 屋敷内に入ると信じられない光景が広がった。見た事もない調度品であふれてる。壁に飾られた絵画ひとつで私なら何ヵ月も暮らしていけるだろう。


 家政婦たちが私に挨拶してきた。


「お帰りなさい。お嬢様。お疲れになったでしょう」

 おそらく武藤サクラだろう。


 写真よりもずっと美人だ。三十はいっているはずだが、ヤケに若く感じた。

 それよりも何か言い知れない気分だ。


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