第94話 億り人《びと》

「いやいや、その親の遺産を元手に電子マネーで、おくびとですからねぇ……!

 地道に働くのが嫌になりますよ……!!」

 


「フン、言っとくが! 俺は、お前のカウンセラーじゃねぇンだよ……」

 そっぽを向いた。



「解ってますよ! こんな毒舌のカウンセラーなんて、すぐに廃業ですよ!!」

 


「フゥ~ン、ッで…、セーラー○ーンだっけ……」

 左手を気にしつつ、矢作やはぎが訊いた。



「え、いや、違いますよ! セーラー○ーンじゃなくって……。

 セーラー天使エンジェルですよ!! 

 あ、ハギさん!! 二階だそうです!!」

 冨田が先導して、屋敷内の階段を昇って行った。






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