第92話 矢作《やはぎ》警部補
横浜市中区山手町。
初夏の陽射しが容赦なく降り注いでいた。
昨夜の嵐が嘘のように空は青く澄み渡っている。
高級住宅が建ち並ぶ一件の邸宅の前に覆面パトカーが停車した。
助手席で
「あァ~…、頭、痛ってェ~……」
「もォ、だから、飲み過ぎなンですよ……
少しは控えて下さい!!」
運転席の新人刑事、ジャ○ーズ系のイケメン冨田が声をかけた。
「フン、なんだ。お前はオフクロか……」
「そんな事よりも着きましたよ!!
アゴで、屋敷を差した。
「何だァ〜! どこの国だよ!!
ここは、欧米かァ~……!?」
邸宅は高い塀に囲まれ、堅牢な門を通り中へ入った。
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