『終わり良ければすべて良し!』編


特子「カチョー!カチョー!!」


カチョー「なんだよ?特子、うるさいな~…」


特子「カチョーはゴールデンウィーク何処か行くんですか?」


カチョー「は?何言ってんだ、お前?ここは警察だぞ、そんな休みなんかあるわけないだろうが?」


特子「え~~?!?!?!」



私の名前は『志賀内特子しがないとくこ』警視庁でアルバイトをしている……、が…、

けっ!潰れてしまえ!こんなブラック警察!!」



コウ「特さん、かなり過激になってますね?」


特子「だってだって、世の中は『10連休だ~!どこ行く?どこ行く?』って騒いでいるんだもん。」


カチョー「お前はOLの女子か!警察が10日も休んでみろ、無法地帯になるだろうが?」


特子「あ!私はアルバイトだから、休んでもいいんですよね?」


カチョー「お前は本当に刑事になりたいのか?…

それに、休みが長くなるということは、イベントや事件、事故も増えるって事だ。猫の手も借りたいって時に、休むアホウがいるか!」


特子「アホウでいいんだも~ん!」


コウ「まあ、いいじゃないですか、カチョー。僕達だけでやりましょうよ。」


特子「出たな~、妖怪『いい子ちゃん』め~!』


マイ「あら、可愛い。」


コウ「アニメのイベントとか、結構あるみたいですし…、『宮野真攻みやのせめるトークライブ』って、これ声優さんでしょ?

警備の依頼が来てますから、ミルさんなんか、今からワクワクしてますよ。」


特子「ピクッ!」


コウ「あと、『ガールズパンター』でしたっけ?先行試写会の警備や、『神谷狭史かみやせまし』サイン会。」


特子「ピクッ!ピクッ!」


コウ「あ!こんなのもあります。『保志総二郎ほしそうじろう』、『岩田彰いわたあきら』、『関役彦せきやくひこ』、田上理恵たうえりえ』同窓会トークライブ』?

この人達って同級生なんですか?」


特子「ピクピクピクピクピック~!!!!!」


カチョー「『ピクピク』うるせ~よ!特子!」


特子「カチョー!!!市民の安全を守る警察官が、休んで旅行なんか行ってる場合じゃないですよ!!ムン!!!」


カチョー「『ムン!』て…、お前が一番休みたがってたじゃないか…」


特子「それはそれ!これもそれ!」


マイ「いや、どっちも同じでしょ?」


カチョー「それに、お前には週1で休みを取らせてるじゃねぇか、にもかかわらず、ここに顔を出してるくせに…」


特子「それは…ほら…あれだ…それ…ほれ……。」


コウ「要するに、1人は寂しいんでしょ?」


特子「…だ…だって…わ、私…みんなのこ…事が…大好……」


警報「ビ~ビ~ビ~!!!」


警報「傷害事件発生!傷害事件発生!係の者は至急現場に急行せよ!」


特子「私…みんなの…こ、事…」


ジミー「事件だ!カチョー!!」


特子「私ね…み…」


電話「プルプルプル…」


「カチャ!」


ミル「はい!特課!はい!はい!わかりました!すぐに行きます!

カチョー!応援要請です!」


特子「だ…だからね…私…」


カチョー「よし!みんな行くぞ!特子!お前は留守番な!」


全員「はい!」


「ドタドタドタ…」


「ガチャ!バタン!!」


特子「み…みんなの事が…大好き…なの……エヘヘ…?って!誰も居ないんか~い!!!」


「ガチャ!」


ジミー「特子、ありがとな!」


「バタン!」


特子「ジミーさんたら……、死なないでね……、

さてと、何しようかな?

あ!そうだ!今日は『下野さんはぶきっちょ』の新刊が出る日だ!

かみんなが帰って来るまで時間があるから、今のうちに買って来ようっと。

クマ五郎!留守番よろしくね。」


『クマ五郎』とは、いつも特子が…あれ?『染五郎』では?…

ま、まあ、机の上に置いてある『クマ』のぬいぐるみである。



特子「へへへ、買っちゃった。下野しものちゃんのツンデレが可愛いんだよな~。」


少年「エ~ン!エ~ン!」


特子「ん?サッカー少年が泣いてる?どうかしたのかな?

お~い!そこのサッカー少年~?どうかしたの~!?」


少年「うっ…ヒック…お、お姉ちゃん…」


特子「泣かないで。何があったの?」


少年「大切なサッカーボールが木の上に…」


特子「サッカーボール?ははあ、なるほど、ボールが木に引っ掛かったのね?

あれなら、長い棒があれば落ちそうね。

大丈夫!お姉ちゃんが取ってあげる!」


少年「ほんと!お姉ちゃん!」


特子「任しておきなさい!お姉ちゃんはこう見えても『警察官』なんだから!」


少年「ほ!本当に!!でも、警察官の服を着てない…、あ!お姉ちゃん、もしかして『刑事』なんでしょ?犯人にバレないように、わざとそんなダサい服を着てるんだ!スゴい!スゴい!」


特子「え?ダサいか?この服…ま、まあ、そうだよ。だから、私が刑事って事は誰にも言っちゃダメだからね。」


少年「うん!わかった!」


特子「とは言ったものの、長い棒なんてタイミングよく転がってないな~、マンガじゃあるまいし…仕方ない、登るか。よっと…」


少年「お姉ちゃん、大丈夫?」


特子「だ、大丈夫…大丈夫…こう見えても、子供の頃は『木登り特ちゃん』て呼ばれてたんだから…

よ…よし…あと少し…後はこの『自撮り棒』で…

少年!落とすぞ?受け止めろよ!」


少年「うん!わかったよ!」


「チョン!」


「ヒュルヒュルヒュル~~…」


「ボン!!」


少年「あ!痛!!」


特子「おいおい?大丈夫か少年?」


少年「エヘヘ。失敗しちゃった。でも大丈夫だよ。ボールは友達、恐くないんだ。」


特子「あ!その台詞!」


少年「お姉ちゃん、知ってるの?」


特子「もちろん!知ってるわよ!『キャプテン翔』でしょ?全巻持ってるわよ。

サッカー選手を夢みた事もあったもの。」


少年「僕のお父さんも、全部持ってるんだよ。僕も読んだんだ。

『サッカーやりたい!』って言ったら、お父さんがこのボールを買ってくれたんだよ。

僕も『翔』みたいに毎日一緒にいて、毎日一緒に寝てるんだ。」


特子「そうなんだ。じゃあ、大切にしないとね。」


少年「うん!僕の大事な友達なんだ!」



捜査員「待て~~~!!!」


犯人「待つか!バ~カ!」


特子「え!?なに?!警察?もしかして、さっきの事件の犯人?

やだ!こっちに来る……」


犯人「邪魔だ!!どけ~~!!」


特子「危ない!!」


「ガシッ!!」


「どん!!」


「ドッス~ン!!」


特子「あいたたたた…、大丈夫?!少年!」


少年「うん、お姉ちゃんが庇ってれたから。」


特子「くっそ~!あのヤロウ!!」


捜査員「こら~!待たんか~~~~!!!」


犯人「待たね~よ!」


特子「へ!逃がすかよ!バ~カ!!」


少年「お姉ちゃん?そんな大きなメガネをかけてどうするの?」


特子「こうすんだよ!」


少年「靴に変なダイヤルが?」


「キリキリキリキリ…」


特子「少年!ボールを借りるぜ!」


少年「ま!まさか!それって!!!」


特子「行っけ~~!!!!!!」



少年「止めて~!!僕の友達を蹴らないで~~~!!!」


ボール「ニコッ。」


特子「あ…、」


「スカッ… 」


「スポッ!」


少年「あ…靴が……」


特子「あ!カチョーに貰った『安全靴』が…」


「ヒュ~ヒュルヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル…………………………ゴッチ~ン!!」


犯人「ガッ!!」


「ドテッ!!!」


特子「ッシャアアアアアア!!!!!!

ゴォ~~~~~~~~~~~~~~ル!!!!!」



おしまい



少年「その『靴』何なの?」


特子「カチョーから貰ったのよ。つま先に鉄が入っている『安全靴』、

刑事は『足』が命なんだって。」


少年「じゃあ、その『鉄の靴』で、僕の友達を蹴り飛ばそうとしたんだ…」


特子「あ…いや……」




カチョー「ちょっとした冗談だったのに…。」




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