そこつ大全集ー人生は喜劇だー

楽人べりー

第1話 おおざっぱ男の目覚め

あーめんどくさい。しちめんどくさい。もう仕事しなきゃ。

俺は飛び起きて服をチャッチャと脱いでワイシャツに着替える。

そして、朝飯の存在に気づいた。冷凍保存していたホットドックをレンジでチンして。ネクタイをしめて髭を剃っていたら、ひげの混じった泡がワイシャツに落ちて黒くなった。慌ててテイッシュで拭いたら汚れが広がったので、脱ぎ捨てて洗顔を済ます。


 下着のままホットドックにかぶりついたらマスタードとケチャップの混ざったものがシャツの上にべったりと落ちて、テイッシュで拭ったらシミが残った。仕方がないのでシャツも脱ぎ捨てて洗濯機に放り込む。上半身裸でコーヒーを飲んでいたらこぼしてしまって椅子に落ちる。座り直したらパジャマの後ろの部分にしみがつきパンツにまで広がった。誤解されると困るので、パンツを脱ぎ捨てて洗濯機に入れた。


 全裸のままだと困るので食事を中断して、着替えを取りに行く。その時布団の上に並べて置いたツボ押し用のゴルフボールに足を取られてひっくり返った。大きな音がして、腰を打ち付けたので、痛くて起き上がれず全裸のまま横たわる。


 しばらくして起き上がろうとして、机に手を置いて体を起こした。時計を見ると八時半をまわっていて完全に遅刻だ。慌てて会社に連絡を入れようとスマホに手を伸ばしたら、充電が切れていた。充電コードをさがそうとしたが紛失してしまってどこにあるのかわからない。


 玄関の呼び鈴が鳴る。「書留です」との声が聞こえる。慌てて下着を探して履いた後、パンツ一丁の姿で玄関を開けると、女性の配達員だった。恥ずかしい思いで印鑑を探すがみつからない。ふと鏡を見るとパンツのお尻のあたりに茶色いシミがあって、先ほど洗濯機に投げたパンツがすっぽ抜けて寝床に転がっていたと気づく。すごく恥ずかしい。


 やっと印鑑を見つけて捺印する。女性配達員は微妙な表情をしていた。その後なんとか服を着て会社に行くことにした。

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