登校デートは突然に…

第27話堕天使さんの再臨です。

 神崎と契約を結んだ後は、ひとまず連絡先だけ交換して即お開きということになった。2週間神崎にどうやってアプローチするか思い悩んだ俺としては、1日で神崎とグッと距離が縮んでしまい(予定していた方向とは随分違うんだが)、なんだか拍子抜けした気分。


 もやもやした気分を抱きながら、帰宅して夕食や風呂を済ませて、パソコンの電源をつける。すると、堕天使さんから昨日メールを受け取っていたことに気付く。



堕天使 :ピー君、女神様とのアプローチについて僕に一案あるんだが、知りたいかい?( ̄▽ ̄)



 思えば昨日は、神崎との自宅デート(仮)が楽しみすぎて日課であるメールボックスの確認すら忘れていた次第である。まあ、1日返信が遅れたところで、とやかく言う堕天使さんではないが、気づいたからには早めに返信しておこう。



ピリオド:堕天使さんのその策も知りたいんですけど、この週末で怒涛の変化がありまして<m(__)m>



 返信するなり、すぐに既読が付いてチャットが始まる。堕天使さんの返信スピードは相変わらず早いのである。



堕天使 :へいへい、ピー君。草食系男子を装って、実は肉食系男子だったってことかい?僕はびっくりだぜ。



ピリオド:いえ、俺の方からじゃなくてですね。どっちかっていうと女神様からアプローチがあったといいますか…。



堕天使 :そんなギャルゲーみたいな展開あってたまるか!



ピリオド:本当なんですって。



堕天使 :さては、ピー君、高額な教材とか壺とか売られているじゃないんだろうね?



ピリオド:売られてませんっ!堕天使さん、何かあったんですか?



堕天使 :これは失礼。昔の記憶が蘇ってしまい、つい熱くなってしまった。



 堕天使さんの過去とか気になるんだけど、あんまり自分の話しないから、こっちから聞くのも失礼だよな。堕天使さんの過去は本人が語りたくなるまで待とう。



堕天使 :それでここ数日で何があったのかを教えておくれよ(^O^)/



 というわけで、神崎家に御呼ばれして、そこで彼女の秘密(神崎が本性を隠していたことや、偽乳だったことは適当に誤魔化しつつ)を知って、昔仲良かった友達と仲直りするために相談を受けたことを打った。



堕天使 :なるほどね。人生相談みたいなものを受けたわけね。それなら納得だわ。で、昔仲良かった毒舌性悪女と女神様は仲直りをしたがっているってわけね。ん?この毒舌性悪女って人と君は、どんな関係なんだい?



ピリオド:・・・・・・。



 俺と五木の関係?彼女のハンカチをくんかくんかしたら、目撃されて毒を吐かれて、その上なぜだか彼女と親しくしている殿方という設定になった関係なんて、説明できないし説明したくない。



堕天使 :おーい。ピー君。無言じゃ分からないぜ。僕の勘からすると、この毒舌性悪女ちゃんと君はただならぬ関係と見たが、どうだい?(´ω`*)



ピリオド:違いますって。毒舌性悪女と俺は、そう同じ秘密を共有する仲間って感じですよ。



 我ながら上手い機転。これなら堕天使さんも納得してくれるだろう。



堕天使 :へー?



 何か予想してた返しと違うんだけど?



ピリオド:堕天使さん?どうされましたか?



堕天使 :いやーねー、一昨日チャットしてから、今日まで2日しか経っていないのに、君は2人の女性と秘密を共有するに至ったわけかい。1級フラグ建築士め( *´艸`)



ピリオド:勘弁してください。



堕天使 :アハハ。ピー君をいじるのはこれくらいにしておこうか。



 今日はいつも以上にいじりがハードな堕天使さんだな。



堕天使 :そんで、女神様と毒舌性悪女ちゃんが仲直りするためには、どうするかだっけ?うーん、月並みなアドバイスしかできないけど、やっぱり毒舌性悪女ちゃんがどう思っているかを確認してみるのが先決なんじゃないかな?



 堕天使さんの言う通りか。明日もミーティングがあるからそこで彼女に心境を聞いてみるかな。五木から本心探るとかかなり骨が折れそうな作業だけど。



ピリオド:ありがとうございます!いつも助かってます。



堕天使 :そんなに感謝されてると照れるじゃないか。また連絡するよ。そんじゃお休み~



ピリオド:お休みです!



 そう言ってチャットは切れた。堕天使さんにはそうは言ったものの、逆に五木の手玉に取られて終了な気もしなくもないけど、まあいい。明日のことは明日の俺に任せよう。


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