第18話黒の女神様とリア充の祭り~前夜~2

 神崎からのお誘いメールに舞い上がる俺。もはや、隣で自分をじぃーと見つめてくる、とろんとした目の少女の存在など忘れてしまい、跳び跳ねてしまう。そんな俺に、天使と悪魔が舞い降りた。



天使:おめでとー!これはチャンスだよ!好きな女の子の家に行くと、ちょっぴりエッチなフラグが立つの間違いなし!



お風呂から出てきた神崎にばったり会っちゃうとか?



天使:そうそう。そんでもって、偶然転んで神崎さんを押し倒しちゃうとかね?



それは素晴らしい。不可抗力ならスキンシップをしても仕方ないからね。俺の手がやわらかい所にたまたま当たっても、俺は無罪。



悪魔:ちょい待ち。そんな生ぬるいやり方じゃなくて、男みせろよ!女が自分の家に男を呼ぶったら理由なんて一つだろ?



と言いますと?



悪魔:おいおい。鈍い野郎だな。神崎はお前に惚れてんだよ。思いあたりあるだろ?



そんなのあったかな?ふむふむ、言われてみると思い当たる節があるぞ。初対面同然の俺に女神のような笑顔を向けてくるってことは、多少気があっても不思議ではない。それに、俺はさりげなくハンカチも差し出しちゃう紳士っぷり。これは惚れてもおかしくない。



悪魔:ようやく気づいたか。そんな紳士を自宅に呼ぶんだ。こりゃ、神崎もお前がすぐに動くのを期待しているとしか思えないぜ。



なるほど!神崎が俺を待っているのか。相思相愛なら、一肌脱ぐしかない。



天使:やれやれ、気が早いよ悪魔君は。女の子ってのは、順序とか雰囲気を気にするんだよ。いくら神崎さんが好意を持っているからと言って、いきなりことを起こすのは野暮ってもんだよ。これだから、彼女いない歴=年齢の悪魔君は困るわ。



・・・・。



悪魔:おいおい、あくびが出るぜ。女ってのは、男の方からアプローチかけて欲しいもんなんだよ。神崎がわざわざ下準備してくれたんだ、これに応えないとかありえないだろ?これだから、童貞野郎の天使は困るぜ。



・・・・。



天使:聞き捨てならないな。そんな風に積極的(笑)だから、くんかくんかした五木さんのハンカチを、神崎さんに渡すというミスを犯すんじゃないか。女の子に別の女の子の私物渡すとかどこの変態?



・・・・。



悪魔:ハッ。あの時、フローラル♪フローラル♪してなかったら、五木のような美少女とお近づきになるチャンス生涯ないぜ。それこそ、魔法使いのお仲間入りだ。それにさ、五木に詰られるの、実は嬉しかったりするんだろ?



天使:そ、そんなことは…



悪魔:美少女に詰られて喜ぶ、それがお前の姿だ!認めろ、ドM!



ビークワイエット!お前らけんかしながら、俺の性歴暴露合戦するじゃなねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。



天使&悪魔:すいません…。



話を戻すぞ。俺は神崎の家に行くでいいんだな?



天使:それは勿論…



悪魔:行くでいいに…



天使&悪魔:決まってるっしょ!



 そう言って、天使と悪魔は両肩から自分の住み処へと帰っていた。そうと決まれば、早速神崎に返信だ。



奈々:勿論オッケーです!



藍様:良かったです!先ほど返信してから、少しお時間経っていたもので、もしかしたら嫌だったのかな?と思っちゃいましたよ。ハラハラしゃいました(笑)



神崎をハラハラさせちゃうとは俺も罪な男だぜ。随分、考え込んでたみたいだし。反省反省。



奈々:すいません。でも何で、近くのカフェとかじゃなくて、神崎さんの家なんですか?



直接会ったら聞けないけど、今一番聞きたいことを神崎にぶつける。



藍様:山田君に申し上げるのは恥ずかしいんですけど…



何々?自宅デート前にまさかの告白ですか?もうこれいけるところまでいっいゃっていいんじゃないの?



藍様:学校とか近くのカフェだと、私のファンによって山田君に危険が及ぶ可能性がありまして。一番ゆっくりできるのが私の家かな?と思ったんです。



ですよねー。分かってました。いやいや全然期待なんかしてないですよ?あはははは。俺も神崎じゃない人に襲われたくないんで助かります。ははは。でもまぁ、神崎の家に行ける事実に変わりはない。



奈々:そうだったんですね!いやー神崎さんの家お城みたいだったら、どうしようかな?(笑)



藍様:そんなことないですって。からかわないで下さいヘ(^_^)それでは、明日13時に井の頭公園駅にいらして下さい。お迎えに行きます。



奈々:分かりました!宜しくです!



神崎との自宅デート(仮)がはじまろうとしていた…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る