第6話幼馴染みってこわいよね?2

 俺はスマホをポケットの中にそっとしまい、弥生に向き直る。幼馴染はそんな俺の態度に安心したようで、纏っている黒い雰囲気を霧散させた。屈託のない笑顔で俺を見据える彼女は、いつもの弥生だった。ふー、一安心。彼女は、小さい身体を思いっきりそらせて裁判長のように木槌を数回叩きつつける仕草をする。どうやら裁判開始のようです。


「そしたら、ピーちゃんにいくつか質問してくよぉ。yesかnoで答えてね。もしそれ以外の返事が返ってきたら、その時はね、、、」


プチデビルはまだ弥生に憑依しているようだったが、それは気付かなかったことにし肯定の返事を返す。


「第1問、その人は、、、女性ですか?」


「yesだな」


えらく遠い質問から来たな。いろんな恋愛形態があるから、確認しておきたかったのだろう。俺が好きな神崎は女性になるから、質問の答えはyesでいいだろう。想い人って条件を抜きにして考えるなら、男の娘とかぶっちゃけありだけどな。


「第2問、その人は、、、先生ですか?」


「No」


ほほう。さては、弥生、少女漫画の読みすぎだな。禁断の恋とか色々捗るから、美人女教師×生徒とかを疑っているのであろう。だが、あいにくうちの教師に限って言うならば、そんな美人女教師いないんだよなー。漫画とかラノベに出てくる美人の独身女教師ってどこにいるのかね?そんな先生のいる学校があるなら是非入学したいものだ。


「よかったぁ。ピーちゃんの秘密箱に、『保健室での女教師との密会』っていうDVDあったからもしかしてっと思ったけど、安心安心」


その言葉に俺は全然安心できませんよ?その箱絶対見つからないようにしてたんだけど、どうやって探し出したんだよ?ってか、幼馴染の女子に自分の性癖知られるとか恥ずかしすぎるぞこんちきしょー。


「そ、そんなに落ち込まなくても大丈夫だよぉー。ピーちゃんも男の子だもん。うん。私はそういうの理解しているつもり」


ファイトポーズで俺を励ます幼馴染。君の優しさが俺の心を癒していく。まあ、ダメージ与えたのも君なんだけどね?


「気を取り直して第3問、その人は同じクラスの人ですか?」


「No」


なんか弥生が少し上機嫌な気がする。なんかいいことでもあったか?


「続けて第4問、その人と最近喋りましたか?」


「yes」


神崎と喋ったのは、2週間前だから最近に含めていいだろう。恋は時間さえも歪めるのだよ。あれ以降話す機会がないのは今の一番の悩みだけどな。うーむ、マジで何かいい方法ないかな?やっぱこういうのは、女子の方が詳しいだろうし、弥生とか堕天使さんとかに聞いてみようか。でも、それってどうなんだろ?告白方法ぐらい自分で考えなさいみたいなこと言われちゃうだろうか?


「ピーちゃん」


「はい、すいません」


裁判長に呼び戻されました。戻ります。


「あ、あのさ、ピーちゃん、、、」


急に、歯切れが悪くなった弥生の方を凝視する。いつもはきはきしている弥生らしくない。目を泳がせながら、口をきゅっと結んでいる。頬が若干朱色に染まっているように見えるのは気のせいだろうか?両手は、スカートの裾を握っている。まるで言いたいことがあるけど、言うのを躊躇っているかのように。


暫くの静寂が二人の間に訪れる。その静寂を破ったのは、弥生だった。


「ピーちゃん、の、す、好きな人って、、、私だったり?」


へ?


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