第2話男なら誰でも経験するよね?

ここで月見高等学校の特徴を簡単に説明しておきたい。1学年のクラスは5つに分類されている。頂点に君臨するは、Aクラスの存在。ほぼAランクの人間で構成されるこのクラスの人間は、ぶっちゃけ同じ人間だとは思えない。運動をさせれば全国大会の出場は当たり前、学力試験では全国模試で100位以下をとることはない。ここまで、万能だと他の部分が歪んでいることを期待してしまうが、その期待は見事に裏切られる。相手の好きな話題を瞬時に見定めて、的確なタイミングでその話題を振りつつ持続させるコミュ力。どんなに性格が悪い人間にさえ、優しく触れ合う性格の良さ。


 まさに完璧な要因が揃っている彼らだが、ひと際注目される要因は、やはり顔面偏差値の高さだろう。イケメンと美女がこぞってこのクラスに集中している。そのため、授業のない時間には、他クラスや他学年の生徒がこぞって、美の結晶を一目見ようと押し寄せる。そして、イケメンと美女に心を奪われた人たちは、その時の勢いで告白しようと決心するわけだ。まあ、結局告白しようとしたところを教師や他の生徒に目撃されて退学になるわけだが。ざまぁ。おっと失礼。こころの声が漏れてしまった。忘れてくれ。


 他人の不幸は密の味とは言ったものだが、いざ自分がその立場に置かれると非常に困ったことになる。俺が一目ぼれした女性、神崎藍もこのAクラスの一員なのである。だから、告白が成功するかしないか以前の問題として、そもそも告白するチャンスがなかなかないということなのだ。そのチャンスを掴むためには、彼女と同じAランクの人間に自分がなるか、彼女をAランクから下位のランクにおりてもらうかしないといけない。俺としては、前者はまず無理なので、後者を選びたくなる。でも、流石に惚れた女性を自らの手で汚そうという気には全くならない。騎士道精神に反するからだ。すいません、うそをつきました。正直に言うと、全くその気にならないわけではない。だって、自分の好きな娘を自分色に染めようとするのは、禁欲的な快感を覚えるからね。中高生の男子なら一度はそういうことあるだろ?あられもない姿の好きな娘が抵抗しながらも恥ずかしがる場面を妄想しながら、快楽の境地に至る。そういや、神崎の胸でかかったな。Eカップいや、もしかするとFカップはあったかもしれない。ふむふむ、けしからん。俺が優しくもみほぐしてあげよう。


 話が脱線したような気もするが、Aクラスの基本情報はこんなところ。俺のターゲットのレベルの高さお分かりいただけただろうか?次に、Bクラス以下の説明をしなきゃいけないところだけど、まあAクラスになれなかった人が成績が良い順にBからEへ4クラスに割り振られたとだけ抑えてもらえればいいかな。以上。


 ほんと、どうやって神崎を攻略しようか?


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