AM 0:15

keびん

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最近どうも寝つきが悪い。

布団に入って電気を消すも、目が冴えてしまう。

どうせ寝られないのなら僕のことでも書き留めておこうとおもう。


ついこの間の話だ。

親に大学を止めたいと話した。

両親は心底呆れていた。まあ無理もない。

元々二人は僕が大学へ行くのを若干だが反対していた。

自分の進路は自分で決めろ。などと言っていたが、明らかに自分たちと同じ仕事に就かせようとしていた。

両親は自衛官だった。母は僕を授かってから辞めたらしいが、父はまだ現役だ。

なぜ僕を自衛官にさせたかったのかはわからなかったが、僕は二人の勧誘を拒否し、進学すると伝えた。

別に自衛官が嫌いな訳ではない。むしろ立派な仕事だと思っている。

体張って国を守るという職業は本当にカッコいい思う。

それでも僕はその道へは歩まなかった。

比較されると思ったからだ。

入隊すれば、父と比べられるんじゃないか そう思った。

僕は誰かと比較されるのが好きじゃない。

それは基本僕がバカにされる方だからだ。


昔からそうだった。

同じ名字の子がいたら、「出来ない方」「動けない方」「使えない方」と散々バカにされてきた。

中学の時、二つ下の弟が同じ剣道部に加入してきたときもそうだった。「お兄ちゃんよりも才能があるね」「兄よりも上達するよ」そう言われてた弟は僕の真横で嬉しそうに笑っていた。

実際その通りだった。

僕の弟は運動神経が良く、要領も良かった。だからすぐに上達した。

だが僕はそうはいかなかった。

家の前で素振り練習をしたり、体力をつけるために走ったりした。

それでも同級生の中では一番下手で、更には練習試合で年下にも負けているぐらいだった。

そもそものセンスが無かった。

顧問にも「捨ての大将」として団体戦の大将というポジションに立たされ、強い人とわざと試合をおこなってきた。

勿論これは戦略だ。

事実、この戦法で決勝までしっかり駒を進めていた。決していじめていた訳ではない。

そもそも顧問はそんなことをする人では無かったし、何よりそんなことをすれば仲間が止めてくれていた。

わかっていた。自分の実力じゃ足を引っ張るのは目に見えていた。

それでも辛かった。悔しかった。泣きたかった。


そのトラウマのせいで、父と同じ職に就きたくなかった。

だから進学すると伝えた。

親は渋々許可してくれた。

だが 専門学校には絶対に行かさない。と言ってきた。

理由を聞いても 長男だから としか答えてくれなかった。

こればっかりは本当に納得いかない。


本当は小説創作や脚本創作の専門学校に行きたかった。

小さい頃から特撮が好きだった。ウルトラマンに戦隊もの、仮面ライダーなど、ずうっと観て育ってきた。

いつしか、自分の思い描いたヒーローが自分の考えたストーリーで動いているのを観たいと憧れた。

文字におこすのはそこまで得意では無かったが、妄想するのは得意だった。

自分の考えや思いついたストーリーをプリント裏とかに書いては、時間を置いて読み返し、納得いくかどうかを繰り返していた。

今思えば、相当可愛らしいことをしていた。少し恥ずかしい。


だが、その行為も、僕の夢も、「長男だから」という呪いによってほとんど消されてしまった。

「専門学校にどうしても行きたいのなら、自分で働いて自分で全部払え。私らは一円も出さない。」

これは僕が折れるしかなかった。

高校ではアルバイトはしていなかった。

校則で禁止されていたし、部活三昧で身体的にも時間的にも、正直余裕が無かった。

卒業してからアルバイトするにしても、未成年がたった一人で数百万もの高額なお金を払える訳がない。

諦めた。諦めてしまった。

辛い決断だった。

同じ職には就きたくない。まだ道はあるかもしれない。

半分は夢の為、もう半分は逃げる為、僕は文学系の大学へ進むことにした。


進学するたび、うちの親が付けてくる条件は決まってこうだった。

・学費が安い

・家から通える距離

・就職率が高い

高校受験も大学受験もこの条件が適応されていた。

うちの両親は何かと無職を忌み嫌う。

TVで働かない人やホームレスの人を見ると、罵詈雑言を吐きチャンネルを変える。最近では、YouTuberや自宅で仕事をしている人にも嫌悪感を感じるようだ。

そんな両親だからこそ直ぐにでも働かせたかったのだろう。

しかし僕は否定した。

またバカにされるの嫌だ。きっとまだチャンスはある。

そう思い僕と両親の条件を全て満たす大学を探した。

たった三校しかなかった。しかも内二つは受験率が高い大学だった。

受験したが見事にスベり、余った一校へ入学した。

一応入学した大学でも小説の書き方などを学べるとオープンキャンパスで聞いていた。

だからここで学ぶ気力は十二分にあった。

でもここからが地獄の始まりだった。


大学生を甘くみていた。

大学のことは事前に知れても、そこに入学してくる学生のことまでは事前にはわからなかった。

当たり前のことだが、そこが一番の重要ポイントであった。

もう大人になったと勘違いしたバカどもが酒やタバコに溺れ、ヤンキー崩れが中学生の様にイキリ倒し、髪を染めればモテると錯覚している陰キャラたちが溢れかえっていた。ただでさえ人が多いのが苦手だったのだが、関わるのがしんどそうな人種が大量発生していた。

これだけならまだ耐えられたかもしれない。関わらなければどうってことの無い。

苦手な人とは関わらずに、ひっそりと能力だけ身につけて、しれっと卒業してしまえば良いと思ってた。

しかし大学側がそうはさせてくれなかった。大学側は周りの人とコミュニケーションをとることを示唆してきた。

やたらと授業でグループワークをさせてきたり、外へでて生徒での交流を深めさせようとしたと、様々な方法で仲良くさせようとしていた。

僕にはストレスでしかなかった。

入学当初は全員緊張していたみたいであまり話さなかったが、数週間もすれば、はっちゃけ始めるようになった。

突然話したこともない人に、連絡先を交換しよう と言われたときもあった。

知らない人から個人情報を教えてと言われたら誰だって怖いに決まってる。

そんなストレスの嵐の中、サボりつつも登校していた。


前期はギリギリ出席点がついた。なんとか半年は耐えてみせた。

しかし後期もこれが続くとなると本当にキツい。

でも僕にはどうすることも出来ない。

後期ではそんな授業がなくなってくれ と願うしかなかった。

そんな願いとは裏腹に、コミュニケーションを必要とする授業は後期でもあった。

さらに僕の受けたかった授業が二回生時の後期にしか受けれないことがわかった。

絶望するとはこう言うことだった。血の気がさあっと引いていき、吐き気も催した。

これをあと一年も続けなければいけない。心が折れる理由はそれだけで十分だった。


後期が始まって最初の一週間で頭痛と吐き気が出てきた。

最初は風邪かと思った。ちょうど季節の変わり目だから体調でも崩したのだろう。そう思っていた。

しかし、もう一週間たっても頭痛に吐き気は治らなかった。

更には目をつぶると眉間が後頭部へ引っ張られるような痛みが生じ、圧倒的な倦怠感に苛まれた。 どうもこれはおかしいと 思い、近くの内科病院へ行った。

詳しいことは精神科に聞いてほしいが、半分鬱なんじゃないか と診断された。

正直ショックだった。まさか自分が鬱になるとは想像もしていなかった。

しかしなったものは仕方がない。

僕ストレスの原因である大学へ行かなくなった。


行かなくなってから相当楽になった。

精神的にも肉体的にも、ゆっくり時間をかけてリフレッシュしていくのがわかる。

鬱かもしれないということは親には伝えてないが、そっちのほうが良いと思っている。嫌味や暴言を吐いてくるのが目に見えてわかる。

流石にこのまま寄生虫になるのは申し訳ないから何か職には就こうと思っている。

それについてはまた明日考えよう。そろそろ眠くなってきた。

四時間ぐらいかけて書いてきたが、ちゃんと読めるかどうかはわからない。

けどもういいや。おやすみ。

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