ステイルメイト~黄昏の騎士と暁の戦士~

ミズノ・トトリ

久遠の空 1

『怖い』


 物心がついてから、初めて見上げた星空に抱いた印象は、恐怖だった。


*****

仮想西暦218x年 某月某日

太陽系 金星圏 スペースコロニー『キュノサルゲス』周辺宙域


<<<Berndベルントアイン>から<艦隊司令部オーバーロード>へ!右翼側の被害甚大、救援を求む!>>


*****

 無数の星が底なしの闇の中で煌めく、そのさまがこちらを誘っているようで、見つめていると吸い込まれそうだった。

 幼い頃はそれが怖くて、夜になると窓の外へ目が向けられなかった。


*****

<<巡洋艦『洛陽ルォヤン』『義馬イーマー』が大破!戦線を離脱!>>

<<まて!補給はどうなる!?俺達はどこへ着艦すればいい!?>>


*****


 だが小学生へと成長し、宇宙を舞台にしたアニメや漫画に熱中、学校の授業で宇宙にも人類が住んでいると知るにつれ、次第に恐怖は憧れへと変わった。

 6つ年上の姉と2人、いつか重力の外へ行こうと、その時は荒唐無稽こうとうむけいだった約束を交わしたりもした。


*****

<<<ハウンドリーダー>より<艦隊司令オーバーロード>へ。左翼はほぼ壊滅。主よ我らに慈悲woジィザsぉあ!?(zz--)>>


*****

 そして、大学を出た姉が先に宇宙へ行く事になった時、俺の中で、夢は確かな目標へと変わった。

 あの煌めきの中へ飛び込むという目標に。


*****

<<撤退命令は!?このままじゃ無駄死にするだけだ!>>

<<っ!?2時方向、不明機アンノウン反応!!単騎で突っ込んでくる奴がいるぞ!あれは・・・>>


*****

 だが、憧れは再び、恐怖と化した。 

 煌めきの向こうからやってきた、強大な敵によって・・・


*****

<<(zz--)Let'sさぁ get sta宴をrted・・・carnival始めよう!!>>

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