　さて、ここまでもコメディや現代ドラマなど様々な怪盗が参加していただき、私としても大変ありがたい次第。

　この作品に出てくる怪盗も、いかにもこれは正統派のひとつと言い切って良いだろう。冒頭でのやりとりなど随所で怪盗ニックを彷彿とさせるが、盗むのは価値のないものではなく、価値あるブルーダイヤモンド「青い涙」。

　とはいえこのアンソロジーの名前を思い出してほしい。

　どんな物語が展開するのか、ご自身の目で確かめていただきたい。

《青い涙を盗め！／＠shakesama》

　会話や台詞からして、翻訳作品のようで私としてはとても読みやすい。あくまで私は、の話だが……とはいえ、文章自体もシンプルで長い文が続いたりしないので、翻訳作品を読み慣れていないという人にもオススメできる。

　余計な情報もなく、すっきりとした文章で淡々と進むのが好印象。ただ、説明が足りないように感じるところもさらりと流されてしまうので一長一短かも。

　主人公の意外な顔の広さも、その淡々とした文章で書かれてしまうと何故か納得してしまう。（もちろん悪い意味ではなく！）

　変に持ち上げられないところが良いのかも？

　あらすじにも書いてあるのだが、盗んだ青い涙は偽物。

　それも偽物と知らされたわけではないので、果たしていったい何故なのか、というミステリー要素もちゃんと入っていて、良作でした。ありがとうございました。

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