損する怪盗/炭水化物
怪盗といえば予告状。
怪盗と予告状は、宝石に次いで切っても切れない関係だ。
当アンソロジーの記念すべき一作目、炭水化物さんの「損する怪盗」もそんな予告状から始まる作品である。
一作目で、しかも予告状から始まるとは、なんという奇蹟。
そもそも怪盗が宝石を盗まないはずがないのだ。もっとも、それは偽物なのだが……。さっそく紹介といこう。
《損する怪盗/炭水化物》 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887574232
十年前、主人公の友人ユミのもとに予告状が届けられた。
なんと怪盗からのものというのだが、その予告状はなんだかおかしい。そもそも怪盗などと名乗る時点からしておかしい。内容に関しても結構なツッコミ所に溢れている。
だが実際に怪盗は現れ、宝石は盗まれた。しかしその宝石は、どういうわけだか、より上等なものにすり替わっていたのだ――。
そんな事件の解決を図るのが本作。というより形式としては、主人公が十年前に起きた怪盗ルビィ事件の真相に気付き、それを独白する形で進んでいく。
ほぼ謎解きに主眼を置いた形だと思うので、飾り付けはないけれどこれはこれでシンプルでいい感じ。予告状の意味を考えたり、予告状の内容から相手の意図をくみ取れば、そこが解決(答え)に繋がると「……ああ! なるほど」と納得できる。
もちろん物語そのものへのツッコミ所はあることはある。
たとえば作中でも一応推測されているのだが、何故犯人がそのような手段をとらざるを得なかったのか、あたりをもう少し丁寧に描写すればもっと説得力が出たかも。
とはいえ私が自主企画を立ち上げて一日、二日ですぐこれを出してきたと考えると、それだけでもかなりすごい。
あと個人的には既存の名前を「ルパ○」みたいにしてないのも好み。(ついでにあそこって郵便出せるんだな、と思った)
伏せるならいっそ名前を出さないほうが好きなので……。
ところで最後の一文にはニヤリとした。
ネタバレになってしまうので避けるが、作者さんはあのタイトルの作品をご存じなのだろうか。まあ知っていても知らなくても私自身がニヤッとしたので、それはそれで良いのだ。
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