正義の味方と僕 改稿版

大臣

プロローグ



 私立学校法人三月学園で、同学園の生徒 星川響ほしかわひびきさん(15)が死亡しているのが発見された。遺書も発見されており、警察は自殺と結論づけている。また学園側はこの件に関して、いじめはなかったとしている

 ———ある新聞記事より抜粋



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 私は、人生に疲れてしまいました


 大変親不孝ですが、もう無理です。申し訳ありません。


 遺骨は海にでも撒まいてください。


 本当に、申し訳ありません。


 ———遺書より抜粋

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 真っ暗な部屋に明かりがともる。日付こそ変わったが、あたりはまだ暗いから、当然といえば当然だ。


 部屋の明かりをつけた中学生ほどの男子は、新聞紙や、筆箱が置かれている机に向かった、スタンドの明かりをつける。そして机の抽斗ひきだしを開けて、スクラップブックを取り出し、開いた。さらに新聞紙を広げた。そこには、クラスメートの女子の死が報じられていた。彼はその紙面を切り取ると、スクラップブックに貼り付けた。そして、再び抽斗を開けて、原稿用紙を取り、机の上にあった筆箱から、シャーペンを取り出した。


 時刻は午前三時だが、夏だからかそこまで寒くはない。それでも、一般的な中学生はまだ寝ているはずだ。


 でも彼はこの時間に起きた、明確な意思で。


 そして彼は、こんなことを書いていた。

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 この本は読まれることを考えていない。いわば日記帳みたいなものだ。


 いや、手紙と言った方が正しいかもしれない。そう、これはたった一人に宛てたものだ。



 ああ、そうだ、偶然にもこれを読む人に。


 前述の通りこれは一人にあてたものだ。だからときおり、語り口調がおかしくなると思う。でも、気にせず読んでくれ。気になるなら閉じてくださって構わない。


 せめて悲しみと共に、この話を語ろう。


 どうやったとしても悲劇が混じるこの話は、やはり正義の味方の話とするしかない。


 まずは君の話をしよう。星川響の話を。

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