メガネオタクの俺のもとにメガネが超似合うJKが現れたんだがwww

縁側紅茶

メガネオタクの俺のもとにメガネが超似合うJKが現れたんだがwww

気温30℃超えがすっかり普通になってしまったある夏。

何もかもが湯気を上げて降参する日差しの中、日に照らされこれでもかとギラギラと光る金髪をなびかせている女がいた。

首もとまで伸びた金髪のすぐ横を、一筋の汗が流れた。汗は白い洋服の襟に吸われ消え去った。

唐突に女の顔がこちらを向く。よく手入れがされた白く透き通った肌に、はっきりとした鼻立ちと厚い唇。前髪は全て同じ長さに揃えられている。表情筋は動かさず、瞳だけでこちらへの敵意を証明する。

その瞳の手前の小さな顔にはあまりに厳つく大きなメガネがかけられていた。揃えられた前髪は、丸メガネに手を伸ばすかの如く精一杯メガネに近づこうとしていた。

そのメガネは太く大きい黒いフレームで、女に負けずツヤツヤと輝き、銀色の金具と金髪に白い肌、その中に堂々と佇んでいる様子がとても不自然で、美しく見えた。

気が付くと女は露骨に表情を変え、先程まで歩いてきた道に踵を返し、帰って行ってしまった。

歩く向きを変えた一瞬に見えた横顔には、大きなフレームで目元は隠れてしまったが、耳にかかる大きなフレームと巻き込まれた数本の煌めく金髪がサラリと目の前を流れていった。



夏の時期の図書館は避暑地として、普段よりも人が集まり少し騒がしくなる。

適当な本を手に取り、周りを見渡せるような席を探す。

窓際の日当たりが良い場所は暑そうだったが、その席しか見渡せるような場所は無かった。

ゆっくりと椅子に座り、適当に選んだよく分からない文学書をパラパラとめくる。半分ほどめくるとセックスの必要性について説いている文があった。が、内容はくどい言い回しと歪な考え方で、しばらく考えたが微塵も理解できずに周りを見回す。

長机の半分はもう埋まっていた。誰もかれも真隣と真正面だけは避けるように綺麗に座っている。もうすぐこの席の近くまで人が座ってしまうが、この長机の座り方のルールで言うと次の人間は、この席の真正面に座ることになってしまうのだった。

このルールを破れずに真正面に来たのは、肩まで下ろしたボサボサの黒髪に、太い眉、幼さが残る鼻と口元と輪郭の丸さ、細いメタリックなフレームのメガネを少し目線より下にずらしてかけていて、更に薄汚れた学生服のまま分厚い本を持った、いかにもな女学生だった。

読む気などない本を数十秒置きにめくりながら、視線はずっと女学生へと向けていた。

年頃の女でありながら、オシャレに気を使う暇もない程に大事な勉強のようだ。この歳になると中々見なくなるこういったタイプの女は、図書館やそれこそ学校に行かなければ見ることはまずない。

毛先は跳ね、前髪はあらぬ方向へ曲がり、とてもじゃないが清潔には見えない。しかしその中に見える太く凛々しい眉や、ずり落ちそうになるメガネをぐいと持ち上げレンズが少し汚れる様子、何かに取り憑かれたようにノートと参考書にのみ目線を向け、見た目には気を使わないストイックさ、これは大人になると共に失われ”まとも”な人間へと近づいていく。そんな大人になる前のこういった光景はとても新鮮で、学生の頃を懐かしく思わせてくる。

目線を落とし学生服へと目をやる。学生服のまま何か運動でもしたのか、これでもかという程に汚れていた。シワも目立ち、普段から大した手入れはしていないことを感じさせた。胸元はキツく閉ざされているものの雑で、年頃の女には少し窮屈に見えた。

あまりにじっと見すぎたか、ちらと様子を伺うように上目遣いで女学生がこちらを見てきた。焦って手元の本へと目線をやるが、女学生はこの沈黙の場を物ともせずに「あの、何か?」と声をかけてきた。横に座っていた約2人がこちらをすこし見てきたが、察したようにすぐに手元へと目をやる。

周りの目と、まさか話しかけられるとは思わなかったために吃って声が出なくなる。

女学生はふぅとため息をつくと、すぐに荷物を片付け始め、遠くの席へと歩いて行った。

歩いて行く女学生の後ろ姿をよく見るとお世辞にも細いとは言えない体型で、太ってはいないが全体的に丸みを帯びていた。

似合わないスカートをフリフリと歩く姿にニヤけるのを抑えるのが大変だった。



部屋は全く平凡なもので、まだ来客があった時期には取り敢えず「シンプルで綺麗。」と呼ばれることが多かった。

1Kの小さな部屋にベッド、大きなテレビ、ゲーム機、小さな冷蔵庫、テーブル、座椅子、棚が数個ある程度の、古い友人に言わせれば「行く価値のない部屋。」であった。

これ以上物を特に増やす予定もなく、ただひたすらにこのシンプルな部屋で生きているだけだった。

ただ少しだけ、友人にも隠しているがちょっとした趣味はあった。

棚の引き出しを開けると、そこには大量のメガネとメガネケースで埋め尽くされていた。プラスチックのフレームからメタルのフレーム。黒のシンプルなフレームから水玉や奇抜な絵の入ったフレーム。丸メガネから四角いスクエアタイプ。レンズも青色から茶色。サングラスや老眼鏡まで。大中小いろんなタイプのメガネが敷き詰められていた。

今かけているシルバーのメタルフレームのメガネを外し、レンズと鼻パッドを拭き、ケースに入れる。このメガネは外出用と決めていた。

ゴツゴツとした黒く厚い革で作られたケースを取り出すと、その中からは黒いフレームにシルバーのアクセントが入り、リムが大きく広がったメガネが現れた。そのメガネは自宅用であった。メガネをかけると、ベッドへと座り込み、テレビを点けてぼうっと番組を見る。

ほぼテレビを見て暇を潰すだけの毎日だった。今では特に何も感じないが、引っ越して来たばかりの時は毎日何もしないことへの罪悪感を感じていた。

が、つい昨日、そんな罪深き日々は唐突に終わった。



メガネはメイク。

と考えで今まで生きてきた。

いつからメガネに興味を持ったかは覚えていないが、気付いた時にはメガネをかけた女性がいるとつい目で追ってしまうようになっていた。

平凡な見た目の人がメガネをかけると真面目で真摯的に見え、スポーツ一筋のような人がかけるとギャップでぐっとくる、ブサイクがかければ図書館にいそうな真面目さや勉強が得意そうに見え、美男美女には似合わない道理がない。

と、メガネをかけると男女問わず見た目が良くなると常々思っていたが、世の意見を聞くとそうとも限らないようだった。

メガネは顔を多少なりとも隠すことができるため、若い人が使うマスクの用途とほぼ変わらないと考えていた。

自分の顔に自信がなかったのだ。視力も悪かったからメガネにハマるのも必然だった。



メガネを見に行った。

他人にメガネをかけさせるのは始めてだった。

まるでお人形遊びをしているような気分で、相手に悪いとも思ったが、「あなたの好きにしていい」と言ってくれたために自分の服装や容姿に悩むよりも、よほど幸福な時間を過ごせていると思った。

多分、相手の元々の見た目が良いためにこれだけ幸福に悩めるのだろう。似合うものの選択肢が多くなればそれだけ妄想が広がった。



深夜。

頭には包帯を巻いていて血がにじみ、包帯の外側で固まっていた。見た限り相当な時間替えていないようだった。

髪はボロボロで全体的に揃えられておらず、異臭がした。顔面は全体的にあざが目立ち、口元には血が付着していた。体は細く青白く、どこか酷い環境で監禁されてきたような見た目をしたこの少女は唐突に僕の目の前に現れた。

本当にこんな不幸な人がいるのかと思った。

ここまで何もない人生を歩んできて、いつ死ぬか迷っているだけだったが、彼女を家に入れた時点で、どこか諦めがついた気がした。

すぐに彼女を脱がせ、風呂場へと連れ込んだ。包帯を解き、体全体を見るととても現代日本の女の子には見えなかった。緊張か興奮か僕の胸はずっと高鳴っていた。

体全体を洗い、傷口にも持ち合わせの薬でできるだけの応急措置をし、冷蔵庫にあったレトルトのご飯とスーパーのおかずを出した。

少しだけ食べてから、食事にすら疲れたようですぐにベッドに寝かせた。

あまり記憶はないが、試すように財布をテーブルに置きそのまま深夜の街へ出た。

もしかしたら彼女はもういないかもしれない。と思いながら次の日の夕方頃に帰って来たが彼女はまだいた。残していた夕飯は片付けてあり、ベッドに座りながらオレンジ色に染まる空を眺めていた。



彼女はすぐに買い物がしたいと言った。

お金は彼女が元々来ていたボロボロの服に3万円ほど入っていた。受け取るとすぐにタンスの引き出しに突っ込んだ。

財布には買い物に行けるくらいのお金は入っていた。

が、問題は彼女の見た目だった。あざや傷が1日置いた程度で消えるわけもなく、今の状態で外に出るのはあまりに危険すぎた。

女の子が来てもあまり違和感がない服をタンスの中から選び、髪はハサミでバッサリ切り揃えた。顔にはマスク、そして大きなメガネをかけさせた。

彼女はメガネだらけの引き出しを見て、「好きなの?」と呟いた。うなずくと「私に似合うかな」とまた呟いたため、とっさにかわいい似合っているに決まってると伝えた。吃りがひどく伝わったかどうか怪しかったが、「メガネ、見に行こうよ」と言った。



彼女は買い物を懐かしんでいるように見えた。まるでこれで最後とでも言わんばかりに。

服や靴、バッグやアクセサリーを一通り見て回り、彼女が欲しいとねだったものは全て買った。どれも店の中で安売りしているものばかりだった。

本屋や音楽ショップにも回り、ハンバーガーを食べて、最後にメガネ店へと向かった。

普段来るようなチェーン店ではなく、重厚な雰囲気をもったモダンな店だった。

重いドアを開くと、彼女は先程までとは違い、自分から動こうとせずにこちらに完全に身を任せていた。

女性ものがブースで別れ、それなりの種類が展示されていた。可愛らしい、薄いブルーの小さな丸メガネもあり、真面目な印象が強くなるメタルフレームのハーフリムのメガネもあった。今の服装に似合うものと、今日買った服装に似合うものどちらを選ぼうか迷っていた時に、彼女がふとピンクフレームのリムレスメガネに目を留めていた。

これにしようと言うと「うん」と頷いた。



しばらく受付横の椅子に座り、カタログを片手に待っていた。

彼女は目が悪いわけではないから、レンズは必要なかったが、彼女は店員に無理を言ってメガネに少し細工をしてもらっているようだった。

彼女が店員との会話をやめ、こちらに歩みよってくる。

「あなたのイニシャルを教えて」

そう彼女は言った。答えは、予想していたかのようにすっと口にできた。

「ありがとう」と言うと彼女は店員の元へ戻り、また話をしていた。店員は自然に微笑みながら彼女に接してくれていた。

店員との話が終わり、彼女はもう少し店内を見て回りたいと言った。彼女はべったりと身を寄せ、メガネをじっくりと見て回った。どれも大人びたメガネばかりで彼女には良さも違いも分かったかどうか怪しかったが、十分幸せそうな顔をしていた。

店員に呼び掛けられ、可愛らしい丸型の花柄ケースに収められた、つやつやと光るピンクのリムレスメガネを受け取る。

彼女は店員の笑顔に微笑みで返し、2人でゆっくりと満足気に店を去った。



大きなメガネを外し、服を1枚1枚、じっくりと脱がしていく。脱がしていく毎に露になっていく幼く丸みを帯びた、白い肌。そして青黒いアザに、所々ガーゼや包帯が巻かれていた。

ふと指が触れてしまった時の柔らかく凹む肌。

下着だけになってしまった彼女はじっくりと僕を見据えていた。

全身アザだらけであるはずなのに、同情の余地など一切なく、1人の女としてとても魅力的に見えた。心臓が強く脈打ち、キリキリと胸が痛んできた。

ゆっくりと下着を外し、下ろしていく。どうしても目に入る発育途中の小さな蕾は、いまかいまかと咲くのを待っていた。

最初に入浴させた時は、当に意識などなく感覚だけで動いていた。覚悟を決めこちらを見据える目と、咲くのを待ち熱を持った身体。反してまだまだ幼さを持つ全体の輪郭。

この不完全さがまだ小さな"女"という性を、強く感じさせた。

ガーゼや包帯を解き、目を反らして彼女を風呂場へ行くよう促した。

彼女は「すぐ来てね」と言って風呂場へ向かいドアを閉めた。

いつの間にか呼吸を忘れているということがこの数分で何度もあり、心臓に負担をかけすぎた。リビングへと向かいベッドに腰を下ろして、少し気持ちを落ち着かせようとしたが、全く落ち着く様子は無かった。

しかし、ふとタンスの隙間から見えたお金で我に帰った。お金は今日買った服が入った、オシャレな袋に隠しておくことにした。


体感で10分ほど待っていたつもりだったが、実際は3分も経っていなかった。

思考がまとまらないながらも、風呂場へと行き服を脱ぎ始めた。

シャワーを浴びている影が見える。お湯が柔肌に弾かれ地面へ落ちる音がする。

下着だけ妙に何かに引っ掛かり脱ぎにくかったが、無理矢理ずり下ろした。

風呂場のドアを開けると、彼女は傷を避けるようにシャワーを少しずつ浴びていた。急に開けられたドアに少し体を跳ねさせ、「自分じゃ痛くて洗えない」と言って招き入れた。

彼女は男の裸を見たことがあるのだろうか、全く動揺することなく身を任せていた。

対してこちらは、今どこを見ているのか説明ができないほどに錯乱していた。傷口だけは優しく手で揉み洗い、できるだけ彼女に痛みを与えないようにだけ気を遣っていた。

どこもかしこも柔らかく、髪も洗うと更に指通りが良くサラサラとして、常に脳が刺激されていたが、遂に身体全体を洗い終わりシャワーで洗い流した。

すると彼女は「お礼」とだけ言って、僕を座らせ髪を洗い出した。柔らかい指で頭を揉まれるのは初めての感覚でまたも心臓が跳ねたが、それ以上に背中に押し当てられた小さな胸と柔らかいお腹の感覚に、無意識のうちに感覚が尖り背中に目が付いているような感覚だった。

洗い終わり、彼女が正面へ来る。

ボディソープを手に取り、ゴツゴツとした、彼女とは全く異なる体に塗りたくっている。いとおしげに微笑み、唇と唇が触れるくらい近づき首もとと背中にも柔らかくぬるぬるとしたボディソープを塗る。すぅっと首もとから下半身へ指を走らせ、彼女は、いつの間にか破裂しそうなほど脹らみ、高く屹立したソレを指でなぞった。自分でも驚くほどに腰が跳ねた。

「つらかったよね」と彼女は言い、両手で優しくソレを包み、更なる刺激を与えるように上から下へ、もう一度上から下へと手とソレを擦り合わせた。

全神経が全てソレへ向かってしまったかのような錯覚で、見ているもの、今手を置いている床すら分からず、ひたすらにこの行為に溺れる寸前だった。手を床から離し、彼女の手をゆっくりと離させる。

彼女はとても不思議そうにこちらを見たが、「ダメだ、ダメだ」「こんなことをしちゃいけない」と目をつむり、吃りながら言う男を見て、眉間にシワを寄せすぐに風呂場を出ていった。



全身傷だらけで深夜に歩いていたのだ、歪んだ教育をされて"お礼"はこの行為と思っているのかも知れない。自分の無力さと、意思に反して彼女を求める火照った体が更に自分を情けなく思わせた。

彼女はこのままどこかへ行くのだろうか。服は買ったから問題ないが、こんな別れ方で彼女のためになるのだろうか。と腰を上げた時、彼女が風呂場の前へと戻ってきた。先程と変わらぬ全裸のまま。髪や全身を濡らせ、今にも風邪を引きそうなほど不健康な細い体で。ただ、先程と少し違う部分があった。彼女の顔、そこに今日買ったピンクの細いリムレスメガネがかけられていた。

「これなら良い?」と彼女が言ったとほぼ同時、彼女を風呂場へと無理矢理引き込んだ。今さっき考えていたことは一瞬でどこかへ吹き飛び、自宅へと招き入れた時の覚悟を思い出していた。

お湯を出しっぱなしのシャワーを横に、彼女を壁へと押した。かかっていたメガネが少しずれ、上目遣いでこちらを見てくる。

何をすればいいか全く分からなかった。

まず彼女のメガネを直すと、顔を思い切り近づけた。唇を震わせながら戸惑っていると、彼女は舌を出し、ぬらぬらと艶かしく煌めかせながらこちらに近づき、唇を舐めてきた。すぐに唇の間を割り、歯の間を割り、こちらの舌先を舌先で弄び始めた。

経験のしたことの無い行為、そして意識したことがない舌先で何かを探り当てる感覚に困惑しながら、彼女の誘導に従って舌を交り合わせた。彼女の舌から大量の唾液が送られてくるが、一切拒否することなく受け入れ飲み干した。彼女はこちらの唾液を欲しがるように唇に吸い付いた。唾液を吸い出す音、唾液と唾液が混ざり合う音が、ぐちゃぐちゃと反響していた。

この行為だけで1日を潰してしまうかと思うくらいに熱中していたが、互いに時間は無いことを思い出す。

焦るように、手持ち無沙汰にしていた両手を小さくも、ふんわりと柔らかい乳房へと触れさせる。乳首は驚くほどに張っていて、小指の爪ほどの大きさはあった。指が沈んでいく乳房の柔らかさにも驚かされたが、どこも柔らかい女性にあるまじき固さを持った乳首に異様に興味を惹かれた。

彼女は眉1つ動かさず乳房に触れるのも受け入れたが、乳房に触れるとピクンと肩を跳ねさせた。面白いもので、ピンと張っていてどれだけ上下に動かそうとも元の位置へと戻ろうとするのだった。

その度に彼女は普段よりも高い声で息を漏らし、舌先も先程よりも動きが鈍くなっていた。

唇を離すと、彼女との間にトロっと滑らかな糸が引いた。そのまま唇を彼女の乳房へと持っていった。乳首は変わらず苦しそうに膨らみ、口に含むと彼女は熱い吐息を長く吐き出した。彼女の手が頭をそっと撫でるように包み込み、幼児があやされているように見えたと思う。

その後もしばらく行為を続けた。何時間も経ち湯冷めすることなどない程に熱く滾っていたが、終わりはあっけないもので、見た目にそぐわぬテクニックにすぐに果てて終わった。



風呂から上がり、2人は一緒に布団へ入る。

気まずさからほぼ会話はなかった。少しの幸福感と、これからの逃れられない別れの寂しさが混ざりあった結果だった。

男は彼女の頭を抱き締めるように、彼女は男の胸に顔を預けるように眠りについた。

男が目覚めた時には、いつも通りの日常に戻っていた。



あれから何年経ったのだろう。

あのあまりにも現実離れした数日の記憶はとうに薄れ、未だ覚えているのはあの日の快楽とぼんやりとしたイメージの、メガネがよく似合う女の子だけであった。

ずっと毎日を無為に過ごすだけの人生だったが、働かねば生きていけず、死ぬ気力も湧かなかったため、職に就いた。職場は古いメガネ屋で、あの女の子と一緒に来た場所であった。夢のような出来事だったが、ここで待っていれば何か…何か起きるのではないかという不純な理由でここを選んだ。

ここの職人兼店長のおじいさんはとても優しい人で、給料もそこそこ良く、小綺麗な職場、たまに試作品のメガネをくれるということで、巷では有名なアルバイト先であるようだった。

今日も何事もなく、おじいさんと談笑しつつお客様を待ち、ドアの鈴がなればお客様を笑顔で迎え入れる。何だかんだ楽しい仕事が始まり、いつの間にか終わるのだろうと思っていた。

ドアが開けられる。いつも通り笑顔で迎え入れた。今日のお客様は大層綺麗なワンピースを纏った女性で、リムレスの細いメガネがよく似合って知性的に見えた。

「目が悪くなっちゃって。このメガネにレンズを入れてほしいの。

ここで買ったメガネなんだけど、店員さんが変わってしまったのね。おじいさんは覚えているかなぁ」

彼女はメガネを外し、もうぼろぼろになった丸い花柄のケースへメガネを入れ、こちらへと渡してきた。

メガネを受け取り、震える手を抑えながらメガネを確認する。色が落ちシルバーのように見える細いフレームには、小さい字でかつ美的にイニシャルが書かれていた。

「…覚えています。男の方といらっしゃっていましたよね。とても楽しそうに男の方と寄り添っていらっしゃいました。さぞ男の方も嬉しかったでしょう。羨ましい限りです」頬を少し強ばらせながら、下手な笑顔を作った。

「あなた…」と何かに気付き声を上げようとする女性を遮り、すぐに取りかかるように伝え、ちょっとした検査が必要なことも伝えた。彼女は少し不満そうな顔をし、了承した。

完成したメガネはおじいさんが手を施し、多少の修復と色落ちが戻っていた。

彼女は当時を思い出させる笑顔で受け取り、何事もなかったかのようにすぐ帰った。


ただ、帰る間際、彼女はドアを開け太陽を背に「また来るね。メガネ好きのお兄さん」と口の端を強くつり上げた。

良い夢であると。これからも思うだろう。

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