雨雪 〔俺とアイツの秘密〕

壱闇 噤

第1話

かひゅ、っと掠れた息が漏れた。

浅くしか吸えない呼吸の中、見下ろしてくるアイツを虚ろに見る。

そしていつも通りの事を思う。


―――あぁ、今日も綺麗だな。


そう、首を絞められながらぼんやりとした頭で思うのだ。毎回の如く。飽くことなく。

首を絞めてくるアイツはいつもきれい。

初めは戸惑いを写してた瞳も今は恍惚とした色を混ぜ始めている。


―――あぁもう、好きだなぁ…。


もうアイツ以外に絞められたとしても心からはイケないだろう。

そう、夢まぼろしに浮く浮雲のようにすぅ…っと意識を手放した。

…アイツが小さく漏らした言葉を聞かずに。

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