第39話 信号待ち
○×公民館に行くためには、スクランブル交差点か押しボタン式の信号を渡らなければなりません。
しかし!
○×公民館は田舎ですから、スクランブル交差点をスクランブルに渡るほどの人はいません。
ここがスムーズに渡れるかどうかで5分違うのです。
そこで!!
通行人は、あえて押しボタン式信号機に挑戦します。
この押しボタン式信号機は比較的早く変わるからです。
ちなみに、私もいつも使います。
今日は野球帽をかぶったおじいさんと一緒に待つことになりました。
「遅いのう……」
「そうですねえ」
「あんた、学生さんかね?」
「いえ。社会人です」
わたくし、来年、30歳です。
「そうかね。就職先が近くてええねえ。でも、若いうちは都会に出てみたかったじゃろ?」
「そうなんですよ」
おお。
よくわかってらっしゃる。
「そうだよねえ。結婚したら、定住しないといけないからねえ」
「そうですよねえ」
結婚して、定住しています。
……とは、見知らぬおじいさんに言えないまま、喋り倒す。
「信号が変わらんのう」
「ここの信号は、比較的早いんですけどね」
「年寄りは先が短いからねえ、急ぐんじゃが……」
その時!!!
「青になりましたよ!」
「よかった。じゃあの」
足早に去っていくおじいさん。
温かく見守る私。
そして……
背後から……
同じ職場の上司が……
はい。ひょっこりはん。
えっ!?
いつからそこにいたの!?
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