わたしたち

@purr

ふと気がつく。今までいた場所と違うことに気がつく。そう、いつか見たけど忘れてしまった風景にいることに。たしかこの道を進むと…前のめりになる気持ちを抑えられない。ふいに自分の背丈に対して周りの青々とした稲がすこし高く見えるのに気づく。それがずっと向こうまで続いていて迷ってしまいそうだったけど、そうだ、あった、T字路を見つけた。


突き当たりには地標か地蔵か、何かが立たずんでいたはずだけど映像はあやふやで。するとそれをめがけて2人の少女が走ってくる。先を走っていたのがあなたで、この目を見開いてあなたを見続けていたのが私だった。彼女たちはまっすぐ進む。いや、違う。T字路を越して進むあなたが私にはもう見えなかった。私は思い出して、ここに歩いてきて、もう立っていられない。そうだ、「お父さんは私が死なせたんだ!」ザリガニ釣りをした思い出も今は目の前にはただのでしかないのが信じられなかった。そのときはあなたは私のそばにいて、私はあなたにすがって泣いていた。同い年ぐらいだったあなたが大人びて見えたのはこの心配していた気持ちからだったのか。そうしてあなたの気持ちを今解した。


あなたの記憶の中になら、私が忘れてしまった何かがあるかもしれない。私は我にかえってT字路の突き当たりにもう一度きた。すぐ近くにいたはずの2人は既に見えず、泣く声も聞こえない。まだ見えない。思い出して。そう!

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