朝の目覚め

@ourgar

第1話 再開

僕は布団の中で眠っている。

それはわかる。

心地よい、布団の中の温度が丁度これでもかって位の心地良さに保温されてやがる。

少し眩しさを感じる、多分朝だろう。

それは目を瞑っていてもわかる。

それは予想というよりは確信といってもいい、

日差しを浴びている。

こんな日差し一年に何回巡り会えるかよ!

少し照れていた。

しかし起きねばならない、朝である。それはわかる。

しかし目が開かない。

何故開かないのだろう、誰かに瞼を抑えられているかのように開かない。

敵?、目を閉じている為相手が見えない。

何故、なぜ、ナゼ邪魔をする?

力んで目を開けてみる、開かない。

もう一度力を込めて開けてみる、開かない。

三度、四度と繰り返すが開かない。

何故開かない、イライラする、どうして、開かない、誰かに邪魔されている、開かない、イライラする。

僕は草食系の人間だと思う、わりかし穏やかな人間なのだ。

だてに38年もこの体と付き合っちゃない。

自分の事はわかってるつもりだ。

しかし僕の中には獣が住んでいる。

好きで飼っている訳ではない、住み着いていると言った方が自然だ。

目を開けようとする。

五度、6度、ジャリ!

7度、8度、9度、ジャリーン!

ん?この音は?

どこかで鳴っている、ジャリ、ガチャ、ギチ!

なんだ?

まだ僕は目を瞑っている。

一体どこから。

その奇妙な音は段々と早く鳴ってきている。

ギチギチジャリーン!

聞き覚えのある音である。

庭で犬を飼っている家の前を通るとこのような音を聞く。

近隣の人、エサでもあげ忘れたのかな?

しかしどことなく懐かしい。

よくはしゃいでやがる。

フッと思わず笑えてくる、日差しの眩しさも背中を押して僕を笑わせやがる。

フッ、フフフ。

ああ、俺もこんな風に笑えるんだ、ハハハ!

楽しくなってくる、こんな朝っぱらから。

ハハハハ!

目を瞑ったまま僕は少年に戻ったかのように笑っていた。

布団での出来事である。

ジャリ、ギン、ギチギチ、ギンギン!

まただ、さっきよりも早く何かが鳴る。

ホントに近所の犬なのか?

耳をすませてみる。

ギン、ギンギンギン、ギチャン!!

何かが何かで繋がれてている?何かが何かを引きちぎろうとしている?

何か?

ガチン、ギチギチギチ!!!

この音やはりく、鎖?

どこで?お隣さん家にしてはもっとこう、この家?ん?この部屋?何かが違う。

もっと近い、近くにヤツはいる。

ヤツ?ヤツとは?

俺はそいつに会った事があるのか?

初恋の子?初めての子?結婚まで考えた子?

女ばかりだ。

ギチャン、ギチャーン、ギッチャーン!!!!

今にも鎖が切れそうだ!

どこで鳴っている?何を繋いでいる?何を、繋ぎとめていないといけないヤツ?

一体ヤツとは?そしてどこで繋がれている?

ギッチャーンギッチャーンギッチャーン❗️

フフフ、暴れてやがる、はしゃぎやがって、フフフ。

って俺の中じゃんか‼︎

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