オヤジの恋人

ヒロマサ

第1話 気になるアイツ

東急東横線田園調布駅から程近い住宅街にその邸宅はあった。

表札には『喜多嶋』の文字が大きく書かれている。

敷地面積は100坪以上あろうかと言う豪邸で、防犯カメラが玄関の塀ぎわに2台も取り付けられ、家の中にある駐車場には黒のベンツE300が置かれており、この家の主のステータスを示していた。


「ねぇ!俺を渋谷駅まで送ってよぉ~~!いねーのぉ?オヤジ~!」

閑静な住宅街の静けさを破るような大声を出して、大介は父親である喜多嶋龍三を探していた。

大介は、広い家中を龍三をあちこち探しながら、父親の寝室である離れに向かった。

「ったく、オヤジのヤツどこにいんだよ~。昨日は夜中に帰ってきやがってよぉ。あの酔っ払いオヤジ!」

「大介坊ちゃん!朝から何をわめき立ててるんです?」

不意に後ろから声をかけられた大介はびっくりした。

そこには、父龍三の腹心で喜多嶋総業 専務若月 英治の姿があった。

ARMANIの黒地にピンストライプのスーツをモデルばりに着こなす英治は、目鼻立ちが整い一見ファッションモデルなみのルックスの持ち主であった。

大介はこの英治が父親の会社に20才で入って来た時から年の離れた兄の様に慕っていた。

「ちょうどよかった、英治兄ぃ。俺の学校まで送ってよ。英治兄ぃのハーレーでさぁ~」

「しようがないすね、坊ちゃん。わかりやした。ちょっとライダーズに着替えてきやすから待ってて下さい」

こう言うと、英治は龍三の寝室に入って行った。


「おやっさん、悪いすけど、坊ちゃんを送ってきやす」

「おぅ、頼んだぜ、英治。しかし、これからって時に。。。不粋な息子だぜ」

「渋谷までバイクで送ってきやすんで、すぐに帰りますから、おやっさん」

会話しながら、素早くライダーズに着替えた英治が寝室を出ようとすると、いつの間にか龍三がその後ろに立っていた。

その格好は素肌に浴衣というもので、短く刈り込んだ髪の毛といい、適度に鍛えられた肉体と相俟って男の色気を漂わせていた。

その浴衣前をはだけ屹立したものを隠しもせず、寧ろ、英治に見せつけるように言った。

「おめぇの帰りをコイツも首を長くして待ってるからな」

2、3度扱くと、龍三はニヤリッとしながら、英治に言った。

「今日は仕事は昼からするからな。帰って来たら、すぐにここに来い!たっぷりとここに嵌めてやるからな」

龍三はライダーズを履いた英治のケツの谷間を、ぐいっとわしづかみにした。



程なく、英治と大介は英治の愛車のハーレーに仲良く跨がり、JR渋谷駅へと向かっていった。

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