狼王少年
菅原十人
プロローグ
第1話昔々
僕はとても妙な夢を見た。
でも夢のハズなのに、奇妙な事に身に覚えがある。
変わった事もあるものだよ。
そうそう、夢の内容を話すのを忘れる所だった。
ええっと、僕はその夢の中じゃ冒険者なんだ。それも冒険者のトップに立つ、凄い冒険者だったんだよ。カッコいいだろ?
で、夢の中の僕はね、とにかく凄い人なんだ!
なんか強そうなモンスターから姫さまを守ったり、怒った竜相手に互角にやりあってたり。でも流石に、夢の中の僕は竜には勝てなかったみたい。というか、竜と互角に戦えるだけでも凄いと僕は思う。
後は、悪い人間を懲らしめたりとかね。他にも色々あるけど、長くなっちゃうから。
とにかく夢の中の僕は、とても強かった。
十分強かったのに、それでも夢の中の僕は満足しなかったんだ。見てるこっちがドン引きするくらい、夢の中の僕は強さを求めた。
そうして結局、夢の中の僕は死んだよ。
死因は、禁術に手を出してしまったから。
えっと君、魂喰いって知ってるかい?ふむ。知らないみたいだね。
魂喰いって言うのは、相手の魂を取り込む術のことさ。取り込む魂は生きてても、死んでいてもどちらでも構わないのだとか。
ちなみに魂喰いをして、今まで生きて帰ってこれた人はいないんだ。実際、夢の中の僕も死んでたし。
っと、話が逸れちゃった。
ともかく。
夢の中の僕は、英雄なんて風に呼ばれてた。なのにあまりに、あっけない終わり方だ。お陰で夢から覚めた時、複雑な気持ちになったよ。
本当に、僕がこんなヘンテコな夢を見たのは生まれて初めてでね。さっきも言ったけど、妙な夢だと思わないかい?
でも、なんだか笑い飛ばせないんだよ。これもまた、似たようなことをさっき言ったけど『身に覚えがある』んだ。
まるで、覚えてない記憶を振り返っている感覚というか。懐かしいような。
とにかく、とてもおかしな夢だった。
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