透き通ったレンズを通し世界を見る。
監視社会と叫ばれる近年、技術革新に伴う情報社会の高度化は拍車がかかっている。
本作はその社会が少し歩んだ未来。
人々の生活を『見守る』存在が語り手となり、物語は進行する。
自身への包括的な保護を受けると言う事は、即ち保護者に自身の全てを差し出す事である。その『全て』の中で、プライバシーは当然例外では無い。
濁った瞳で澄んだレンズを通して世界を眺める我々は、果たして何を見ているのだろうか?それは現実なのか?
我々の治安を守る者は、闇から我々を見つめている。
しかし彼等もまた、見ている『何か』が真実とは限らない。
全てを疑え。全てを受け入れよ。
この物語を読み終え、画面から目を離した時にその瞳は何を映すのか?