第28話 GRAPEVINE グレイプバイン

 そろそろヘヴィな奴じゃなく違うものを聞こうかな、と耳も落ち着いてきたのでそう思って、最近スキマスイッチをちょっと聞いてたんです。大橋、歌上手うめぇな、と唸ってしまうような歌唱力と天才的作詞能力と、クリスマス時期には委員会バンドで小田和正の言う我儘に振り回されて、あたふたしているところは何とも親近感が湧いてしまう。作詞作曲のクレジットは「スキマスイッチ」になっている。メジャーデビューアルバムに既にあの名曲「奏」が収録されてるんですよ。もう天才ですね。ギターの大橋卓弥とピアノの常田真太郎の2人のセンスも凄い。敢えてダサい名前にしようということで「スキマスイッチ」って、なんかその抜けた感覚と、いやそんなにカッコ悪くなくないか、のギリギリのあたりが凄くセンスを感じます。


 そんなセンスの塊の1人、常田真太郎がHMVのインタビューで影響を受けたアーティストの名前の中「グレイプバイン」というのを見つけた。


 グレイプバイン?なんか聞いたことある名前だけど。どんな人たちだっけ?


 よく聞くバンド名だったので、いつか聞こうと思ってたのですが、きっかけがなく現在に至ってしまった。

 最近って便利ですよね。スマホでYouTubeを始め色んな動画が簡単に見られる。むかしは雑誌で顔とかは見れるけど、あんまりテレビに出ない人たちのは、やっぱりCDで聴くしかない。知らないアーティストを聴くのにCDを買わなきゃならない場合は、一種のようなもので、もしそれが好みの音楽でなければ買った金額は損になってしまうのだ。すぐに中古屋に売りに行ったって、3.000円のCDが1.000円にもなりはしない。だから冒険は出来ずに知らないままのアーティストが多いのです。

 そしてYahooで「グレイプバイン」を検索してみると、ずらっーとたくさん動画が出てくるのです。


「光について」「スロウ」「指先」「風待ち」と色んなタイトルが並ぶ中、なんとなく「Alright」というタイトルを開いてみた。理由は、新しそうだったからなのか、他のタイトルだと静かな曲っぽそうでこの曲がノリが良さそうに感じたからなのか、よく覚えてないです。


 オレンジ色のシャツジャケットを着た細い男は、髪に緩くパーマをかけている。中国の野外の大衆食堂みたいなところで、ビールを飲みながら食事をしている。そこから歌い出し、ご機嫌に食べていると、タンクトップを着たオッサンが隣に座りビールをグラスに注ぎ、当たり前のように食事し出した。細い男は歌いながら、それを咎めるようにオッサンの肩を叩いたりしているがオッサンはそれを無視して食べ続ける。細い男は諦め、「じゃあお前が料金払えよ」みたいな感じでオッサンを指差して店を出る。

 歌いながら店先で、今度はハゲた頭の店主が注文表かなんかを持って、「金を払え、金を払え」と、ついてくるのを細い男は歌いながら振り払う。


 と、まあこんな感じのPV。わけがわからない。歌詞を調べると、


 ♪愛の歌はどのくらい、愛の無駄はどのくらい、

 それは言わぬルールかい、

 とりあえず it's gonna be

 そう it's gonna be all right


 ほう、これは映像と全く関係ないぞ。なんか意味わかんないが、カッコいい詞ではないか。


 2番はこうだ。


 ♪きみの歌はどのくらい、耳の無駄はどのくらい、

 そればかりは言いっこ無しよ、

 適当に it's gonna be

 そう it's gonna be all right


 おっ、なんかいい感じに緩いぞ。それに「耳の無駄」ってなんだ?これ、好きな感じだ。


 ちょっと待て。僕は最近、ヘヴィメタとか激しいの聴き過ぎたので、ふっと優しい歌が聴きたくて、スキマスイッチを聴きだし、そうだ次のコラムは「スキマ」を書こうと、Yahooでスキマスイッチのことを調べ始めたら、なんか違う方向に行ってしまったぞ。多分調べてた時も鼻歌で全力少年を歌っていたくらいだ。

 しながら、Yahooでスキマスイッチを調べてたところだ。(注:歌詞・全力少年、この上の文章意味がわからん)


 完全に「グレイプバイン」の方向に向かっている。そして、また足はCD屋に向かっていた。マズい、これは好きになる兆候だ。とてもマズいのが、勤務先からの帰宅路、タワーレコードと中古CD屋さんと、CDを手に入れる場所が2件もありやがる。

 ダメだ、これは全部揃える方向に気が向いている。実際、他の曲も動画で見て、気に入ってしまっている。

 Wikipediaで調べたところ、デビューは1997年。「くるり」と同時期ではないか、これは相当CD出してるかも、とまた調べるとオリジナルアルバムだけで16枚、ミニアルバム3枚と、その他ベストやライブアルバムが10枚程出ている。マズい、金がかかるぞ。止しておけ、ファンになるな!


 まずは中古で我慢しろ。そして、聴いてみて、なぁんだ、この程度か、買って損した、となれば被害は最小限で済む。


 足は中古CD屋へ。

 パッと3枚程見つけた。アルバム『イデアの水槽』『From a smalltown』それとシングルコレクションの『Chronology〜a young person's guide to Grapevine〜』の3枚。何故かレジに持っていく途中、「ス」の棚から、「スキャンダル」を見つけてしまい顔が可愛いという理由で『SCANDAL SHOW』とこちらもベストアルバムを買ってしまった。何故かスキャンダルをグレイプバインのCDに挟んでレジに持っていく。オッサンがスキャンダルを買うのが恥ずかしいのか!?


 これで予想に反し、ガッカリすればもう買わなくて済む。たが、長年の自分の傾向をみると、既にマズい方向に向かっているのは明らかだ。だってガッカリするなら、もう動画を調べた時点でガッカリしてるはずなのだ。それにシングルコレクションなんて買っている。シングルカットされた曲なんて、全部良いに決まってる。もうドツボにハマっている。


 ちょっと待て。僕は「スキマスイッチ」のコラムを書こうとして調べていたら、もうグレイプバインに向かってしまっている。


 シングルコレクションには「白日」という曲が入っていた。実にいい。


 ♪我儘な暑さはほらまた僕等を焦がしてる

 こころを真白にしたら君がいる空へ

 舞上ったら見えるから


 天才っすね。今現在「白日の元に晒す」という小説を執筆中でして、なんとなく僕はグレイプバインを聴くべくして聴く、勝手に運命を感じているのです。


『イデアの水槽』には、もう完敗です。(なにと勝負してるんだ)「豚の皿」「シスター」「ぼくらなら」この3曲の流れはヤバい。この作詞能力は難解で軽快、理解不能の歌詞で聴いてて気持ちいい。まさに天才。


 この難解で爽快でコミカルな歌詞を書くアーティストはキリンジの掘込高樹と元キリンジの堀込泰行の兄弟。「例:牡牛座ラプソディ・♪これみよがしのガチガチビバッパー、果ては、小股もシャープな清らかなシスター」もう、わけわからん。ストレートなのにどこか斜め上からな感じがして、それなのに心を鷲掴みされて涙が出そうになる歌詞を書く、くるりの岸田繁「例:ナイトライダー・♪しんしん夜がやってきて、りんりんベルが鳴り止んだ、遠くのあの子もやってきて、ハートのベルが鳴りました」ヤバ、なんか泣きそう。

 そこにグレイプバインの田中和将を入れて、このお三方を日本の作詞家三賢人さんけんじんに勝手に選出させていただきます。(そしてその上をいくのが井上陽水でしょうか)


 もうすでに田中和将の書く詞に心を鷲掴みにされてしまっているようです。


 ♪踊る阿呆に見る阿呆、絡んだ方に罪が問われる、いやそりゃけっこう(Suffer the child より)


 ♪行かば我 筆の散るまでは、行く手を阻むものなど在り得ない、走る鳥は止められない、やめらんない(ミチバシリ より)


 こんな詞、真似しても書けないです。こういうのって態と難解にしてるんじゃなくて、もうそういうのが頭に浮かんで書いちゃうんじゃないでしょうか。その才能が欲しい。


 まだグレイプバインを聴いて1週間くらいな癖に、偉そうにこんな記事書いてすみません。本当、グレイプバインを知らないでこのまま生きていたら、人生損してました。そして新譜(といっても発売は今年の2月でしたが)『ALL THE LIGHT』もすぐに買ってしまい、うちのCDラジカセは、ここ1週間ずっとグレイプバイン。もっとちゃんと聴き込んで、またちゃんとコラム書きたいと思います。

 しかしこのアルバムも名盤。5曲目の「Asteroids」と8曲目の「God only knows」の作曲のところにホッピー神山の名前が連ねているのです、渋い。


 そして本日も仕事帰りに、『another sky』と『Divetime』というアルバムを見つけ、今日も寝るまで聴くのです。







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