ゆるキャン△ ポストアポカリプス

赤井屋根之家

第1話 記憶をなくしたソロキャンガール

20XX年、山梨以外は核の炎に包まれた!


日本のミサイル迎撃システムは北朝鮮からの4800発の多段テポドン攻撃には無力だった。

戦火の中、山岳ゲリラ兵との戦いで崖から落下、頭を強打し記憶を失った伝説の兵士 シマ・リン

彼女はキャンプの達人であったが、今はその記憶をすべて失い、山梨のどこかを彷徨っているという。

既に東京は死の土地と化し、特に中野区にはマントルまで続く大穴が空き、その地の底から火を吹き続けていた。

山に囲まれた埼玉県秩父と山梨県だけが地上で核汚染を逃れた。

技術不足で水平方向にしか撃てないテポドンロケットの軌道には、盆地は都合が悪かったのだ。

北朝鮮の秩父侵略からすでに数年。臨時政府は富士山火口に砦を建設し、迫り来る北朝鮮軍から必死の防衛戦を行っていた。

「ふじさんが・・・」

シマ・リンと同じく特殊キャンプ部隊に所属していたナデシコはつぶやく

ふじさんは彼女とシマ・リンの思い出の土地だったのだ。

シマ・リンと初めて出会った日もふじさんを見上げたキャンプであった。

その頃のキャンプではまだ武装もしていないし、夜襲を警戒し神経を張り巡らせる必要もなかった。

遠くから見ているだけで満足だったふじさんも、

今ではあちこちに建設された防衛施設や、北朝鮮からの爆撃によってそのシルエットを変えてしまった。

ナデシコはふじさんを見上げるのをやめ、ヘルメットをかぶり、再び山道をロードバイクで飛ばし始めた。

諜報員サイトウから、3年前に行方不明となった伝説のキャンプ兵 シマ・リンの居所を突き止めたと情報が入ったのだ。

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