16:彼は、ずっと彼で。それを受け入れてくれる場もひともあるという事実。


 彼の同期の友人による、彼の話。

 めっちゃわかるー、とそのまま聴いていたのですが……。



「みんなで会議とか飲みの予定立ててるのに、あいつなんも言わずスッ……と立ち上がって帰っちゃうんですよ」

 と聞いたときには思わず、

「ごめん! うちの後輩がごめん!!!!!」とか言ってしまいましたよ……本音です。


 なにも言わない、って! 文芸部のときより悪化している!

 文芸部のときにも唐突に立ち上がって帰っちゃうみたいなときはありましたが、いちおうあのときはひとこと、私とかに断りを入れるようにしていたと思います……。



「帰るの? と言っても無視された」



 ごめん!!!!! 高校時代の文芸部部長の教育不行き届きだそれ!!!!!!!




 なんか、彼の大学一年のときのサークル入部直後は、ほんとうにこう……周囲とかかわる気がなさそうに見えていたみたいですね。

 大学の前からかかわりとつきあいのあった私が思うに、なのですが……実際、最初はその気はなかったのかもしれないです。

 彼は、あのころ、いろいろあってほんとうにひとりでいたがっていた。すくなくとも、「そうあろうと」していた。だから、ほんとは、ほんとはね、あのひとはひとりでいちゃいけなかったんですけども……それはまた、私も彼も成人した後あたりのタイミングで直面した問題なので。追って、書きます。


 そもそもそのようにふるまいながら、なんだかんだで他人のいるところに存在し続けてきたのが、たぶん、彼という人間の特徴なのだとも思います。


 だからですね。彼が最終的にあんなに大学時代を楽しく過ごせたのは、奇跡的だし。

 私は、正直なところ個人的なさみしさはあれど、意思としては彼の大学時代のひとたちにとても感謝をしたいです。

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