professional ~他者的な目標~

先程、野球という職業の具体例を通じて、職業的という言葉を、『身体的な犠牲』の性質として定義することができた。

しかし、もう一度深く考察してみよう。職業的という言葉が、身体的な犠牲の性質として定義される場合、そこには必ず目標(objective)が付随する。というのも、我々が職業に従事する際、何らかの目的を持って行為することを余儀なくされるからである。

さらに、目標という言葉の意味を、『具体的な行為を指示する意識』と定義してみると、この『目標』によって、我々が苦痛を強制されるという状況が発生していると理解することができる。

先程の事例で述べたように、他球団よりも良い戦績を残さなくてはならないという目標が、我々の肉体に対して、苦痛を強制する動きだと分かる。

これは別の事例を取ってみると更に分かりやすいが、例えば〇〇の納期までに、〇〇の数まで、これを終わらせなくてはならない、売らなくてはならない、という目標が、執拗に肉体の酷使を強制するものだということができよう。

そして、目標を『具体的な行為を指示する意識』と定義した場合、これは主に二つの定義に分かれることになる。

一つ目は「他者的な目標」、二つ目は「主観的な目標」である。

ここでは主に「他者的な目標」について論じようと思う。ちなみに、ここでの他者は「自らの意識外から侵入(invade)してきたもの」と定義する。

加えて、主観的な目標に関して言うならば、自発的に、これを〇〇したい、〇〇していこうと目標を設定することであるから、当然その目標を毎回達成できるわけではない。何故ならば、自分の意志が弱い場合、その目標をやり遂げようとする力が、薄れることがあるからだ。したがって、主観的な目標とは、ひどくあやふやなもので、行為するか、しないか、選択することのできるもので、必ずしも強制力は働かないといえる。

しかし、他者的な目標は、人々に対し強制力を働かせ、搾取(exploit)する。

「自らの意識外から侵入してきた、具体的な行為を指示する意識」と厳密に定義するが、これが「身体的な犠牲の性質」の前提に含まれていたのである。ひいては、職業的な性質の定義に含まれているのである。

この他者的な目標に関して、我々は無関心ではいられない。時に、この意識のために、奮闘し、苦闘し、何とかこれを達成しなくてはならないというように、強制されるのである。そして、目標を達成できない場合、我々は制裁(sanction)を受ける。例えば、叱責、罵倒、暴力という精神的、あるいは肉体的な制裁を受けざるを得なくなる。そこから逃れるために、目標を達成しようと齷齪する。

したがって、「職業的」ー「身体的な犠牲」ー「他者的な目標」というように成立の前提を探すことで、このような図式化が可能となった。

次の稿で、別の観点から、この「他者的な目標」について更に考察してみようと考える。

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