プロローグⅡ 宇宙
宇宙開発競争の始まりはソビエトが打ち上げた世界初の人工衛星(スプートニク1号)から始まる
当時、科学において全ての分野で優れていると信じてたアメリカ人は、先を越された人工衛星の技術が経済や軍事に応用できるためにパニックが発生したほどだ
このことでアメリカ国民は宇宙開発計画に重大な関心を持つようになった
人類初の有人宇宙飛行を成功させるなどアメリカの先を行くソビエトに対抗し、とある計画を出す
後に「アポロ計画」と言われるそれは後発ながら驚異的なスピードで開発され
数回行った無人機の試験や訓練中の火災事故を経て、1969年7月20日人類初の月面着陸に成功する
その後、スペースシャトル計画に変わりISS(国際宇宙ステーション)建設
中国のスターリンク計画により衛星数が7000機から2万機近くに激増
この頃にはケスラーシンドロームと言う概念は有ったが殆ど誰も実感していなかった
宇宙開発は老朽化する度に宇宙ステーションを新しく大きくしながら
休憩所から補給基地に役割が変わったころに月面基地の建設がスタートした
月地震や放射能と言った問題に対応するため月面基地は地下に建てられることになり、30年の時間を掛けて完成したが物資不足が問題になった
ヘリウム3(地球に殆ど無く、月面に大量にあるとされるエネルギー資源)の核融合炉によって電力は問題なかったが、人間に必要な物資を地球から月に持っていくには遠すぎたため、宇宙ステーション以外の中継基地を作る計画、アルテ計画が始まる
計画内容としては小惑星を地球と月の中間点に持っていき、中をくり抜いて中継基地として使う計画である
失敗すれば最悪、恐竜絶滅時に近いことが起きる
このため失敗したときの保険に数百の核兵器が宇宙に上がり、扱い管理するための国際宇宙軍が創設される
色々問題はあったが計画自体はうまくいき以前の2倍の速度で物資の輸送が可能になった
その後も宇宙開発は資金問題に悩まされ続けながら順調に進んだが、あるとき唐突に終わってしまう
切っ掛けはテロなのか事故なのか未だ不明だが一つの事件が起きた
地球周回の低軌道上にあった宇宙ステーションが爆破破壊された
爆発した宇宙ステーションは完全にコントロールを失い地球に落下、
地球衝突を防ぐため核兵器使用し地球外に飛ばすも残骸までは処理できず宇宙ゴミとなり臨界点を超えた
ケスラーシンドロームと呼ばれる宇宙ゴミで地球から出られなくなる現象である
宇宙ゴミは毎秒7~8kmの速さで地球を周回し人工物を壊しながら増えていく
減るより増えるペースが速く対処する方法はない
宇宙に上がった人は地球に帰ろうとする人と残ろうとする人に分かれ、
残った私達は地球上では死んだことにされたらしい
「地上では人工衛星は全てケスラーシンドロームで壊れた又はコントロール不能になったとされているが、実際には少々タイムラグがあった。
中軌道から上は殆ど無事だったため寿命が来るまでは代替システム時間稼ぎに使われていた」
「それが地球全土を覆うレーダー迎撃システムになったわけですね」
「少し違う、代替システムに+αを付けてレーダー迎撃システムも追加したんだ。これは落ちてくる人工衛星対策でもあった」
「それが発展して今の絶対防空システムが出来た訳ですね」
「そしてお前が体験するであろう『周回戦争』の始まりだ」
「先生、なんで『周回戦争』と呼ばれてるんですか?」
「地上の電波を傍受して得た知識だから細かいことは分らん、戦争の形態はケスラーシンドローム前と違いすぎて観察による推測しかできていない」
「戦争に参加する可能性があるのに分からないなんて死ねって言ってるような物ですね」
「それについては、すまないとしか言えないが我々の寿命が来る前にやるしかないんだ」
つい目の前の先生を意地悪をしてしまう
私達が宇宙に隔離され100年近く経った
元の人工が100人ぐらいで地球に帰ったのが41人、残った59人は宇宙の施設の維持を目的にしてた
いつかまた宇宙に人が上がってくるのを信じて
100年近く経った現在、人口は1000人弱
月の地下水や隕石、果ては壊れた人工衛星なども使って月面基地を大きくしていったが、それも限界に達していた
「資源を求めて地球に帰ると言うのは簡単ですが、ほぼ戻ってこれませんよね?」
「お前が持っていく新しい新素材でロケットが作られればデブリの膜は突破できるはずだ」
私が持っていく分だけでは少なすぎるので現地で研究し複製してくれないとダメなのだが、地上に降りて私達が知ってる宇宙先進国、インド、日本、中国、ロシア、欧州(本部フランス)、アメリカのどれかに解析して宇宙船を作ってもらうように交渉し、月面基地に物資を届ける
この一連の作戦、第一段階【オペレーション・メテオ】開始まであと少し
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