④ナイト:非騎乗
上級クラス編第四回は「ナイト:非騎乗」編です。
馬に乗り、剣や槍を携え、盾を構え、仲間を守り敵を討つ騎士。
ですが、騎士といいながら馬に乗らずに歩いて移動し、戦闘する存在が「ナイト:非騎乗」です。まるで昔のコンピューターRPGのキャラクターのようですね。
実際防御能力はともかく、攻撃能力においてはほぼ「ナイト:騎乗」の劣化になってしまいます。
ではなぜそんなビルドが存在するのか。
それは後ほどお話しますのでちょっと考えておいてもらうとして、まずは「ナイトの役割とは何か」から話していきましょう。
ナイトの一番の役割は盾役です。
盾役には後列に踏み止まり、後衛の仲間を守るタイプと、前線で敵と切り結び、敵の集団で最も強い敵を足止めして前線を支えるタイプとがあります。
前者は大人数PTか、他に盾役(回避シーフ等)がいる場合、かつ後衛にナイトの攻撃能力を無視してでも守りたい有力な攻撃役や補助役等が居る場合、あるいはひと塊りで戦闘を行うPTの場合のいずれかでの運用になります。
後者は盾兼アタッカーとして活躍する前線の花形です。
「ナイト:非騎乗」は両方の戦闘に適性があるでしょう。なぜなら「ナイト:非騎乗」の攻撃力を失っても殆どの場合痛くも痒くも無いからです。
故に後者の運用では少々心許無い事になります。
まずはメイン武器を何にするか決定します。
ナイトのスキルの多くが、使用条件「騎乗」「盾装備」「両手剣・斧・槍使用」となっています。
「ナイト:非騎乗」では使用条件「騎乗」のスキルは使えません。
そうなると地上に立って《パワーアーム》で「両手剣・斧・槍」のいずれかの両手武器を片手で持ち、もう片手に盾を構えるのが推奨スタイルになります。
「両手剣・斧・槍」のいずれが良いか、ですが、《アームズマスタリー:両手剣》だと下級レベルの間盾を持てませんのでスキル枠をひとつ余分に使って片手武器の「アームズマスタリー」をとるか、リビルドをするかになります。
勿論いきなり20LVのPCを作るのであれば問題はないでしょうが、「こいつ下級レベルの間は何の武器使ってたんだ……?」という疑問は払拭出来ないでしょう。
ここは素直にウォーリアで選択できる「アームズマスタリー」で、片手武器も両手武器もある、「槍」「斧」のいずれかから選ぶのはどうでしょうか。
では「槍」「斧」どちらが良いのか。
ネヴァーフならば強化スキルの多い斧は十分選択肢となり得ますが、個人的には「槍」の方がお勧めでしょうか?
ナイトにぴったりの「ティフェレトの槍」もありますし。
いっその事1LVから育てるときには13LVで「ティフェレトの槍」を手に入れるのを目標にするのも良いかもしれません。
とは言え「両手剣」を片手で振り回すロマンを否定するものではありませんので、『一般的には「槍」がお勧め、ネヴァーフなら「斧」も良いし、「両手剣」も格好良いのでウォーリアのマスタリーで選択できる「両手剣・斧・槍」のいずれかから選ぶのが良いでしょう。』という結論にしておきます。
武器はあっさり決まりましたね。選択肢が無いだけとも言いますが。
それでは圧倒的な防御力と防御系スキルでダメージ0を連発する不壊の移動要塞、「ナイト:非騎乗」のスキルを選択していきましょう。
まずはナイトの得意分野、ダメージコントロールの基本、《カバーリング》系のスキルを取ります。
下級で《カバーリング》《カバームーブ》、上級で《アラウンドカバー》を最大レベルまで取りましょう。
最低限のヘイトコントロールが出来るように《プロボック》も取っておきます。
次にダメージ軽減のスキルです。
下級で《アイアンクラッド》、上級で《スティールクラッド》は最大までとっておきましょう。これだけで35点も物理と魔法のダメージが減ります。
防ぎきれない大ダメージを受けたときの事を考えて《インバルネラブル》と《ファイナルガード》も取っておきましょう。
《ディフェンダー》《フルディフェンス》《マジックディフェンダー》。
発展スキルこそ上級にありませんが、フリーアクションで[物理防御力][魔法防御力]共にシーン中+15は下級スキルとしてはなかなか強力です。
敵の一撃目(大抵ナイトの行動より先)に間に合わないのは如何ともし難いですが、候補に入れて良いでしょう。ボスの一撃目はどのみち《インタラプト》か《アフェクション》か《インバルネラブル》するわ!と割り切るなら全く問題ありませんし。
パッシブで防御力を上げる事も大事です。《パーフェクトシールド》《ハイパーシールド》も取っておきましょう。
最後に攻撃系のスキルです。
ナイトの攻撃スキルは最大レベルこそ低いですが強力なものが多く、スキル枠当たりのダメージ効率はウォーロードすら上回ります。
が、そんな優良スキルのほとんどは騎乗前提ですので「ナイト:非騎乗」にはあまり関係ありません。とはいえ普段カバーリングしてあげてるあの娘に「役立たず!」と罵られたくないならしっかり取っておきましょう。
まずは下級。
命中を上げる《アームズマスタリー》。
定番のメジャー攻撃、《バッシュ》。ダメージの底上げに《シールドスラム》。
折角両手武器を使うので《ブランディッシュ》《リバウンドバッシュ》も欲しいところです。
次に上級。
まずは命中と物理防御力も上がる《フィールドバトラー》。
非騎乗の唯一と言えるメリットです。
とはいえ騎乗との差が酷すぎてメリットというにはあまりにも微妙過ぎますがw
パッシブでダメージ+2Dの《ウェポンエキスパート》、片手で両手武器を持てる《パワーアーム》、シーン1回ですがダメージに+[筋力基本値]できる《フロンタルアサルト》、1レベルだと素晴らしいスキル効率の《マイティスラッシュ》も取っておきましょう。
マイナーアクションは《ヘビーアタック》を取りましょう。この性能でスキル枠ひとつで回数制限無しはかなり破格です。
それでは以上を踏まえてスキルを表にしてみましょう。
ナイトスキル
《アラウンドカバー》 3
《インバルネラブル》 1
《ウェポンエキスパート》 1
《スティールクラッド》 5
《パーフェクトシールド》 3
《ハイパーシールド》 1
《パワーアーム》 1
《ファイナルガード》 1
《フィールドバトラー》 1
《フロンタルアサルト》 1
《ヘビーアタック》 1
《マイティスラッシュ》 1
合計スキル枠 20
ウォーリアスキル
《バッシュ》 5
《アームズマスタリー》 1
《アイアンクラッド》 5
《カバーリング》 1
《カバームーブ》 3
《シールドスラム》 1
《ディフェンダー》 5
《ブランディッシュ》 両 3
《フルディフェンス》 1
《プロボック》 1
《ボルテクスアタック》 1
《リバウンドバッシュ》 両 1
《マジックディフェンダー》 1
合計スキル枠 29
※「両」は両使用、あるいは両装備が条件のスキルです。
いつも通り20レベルでのビルドですので上級下級共にスキル枠は各29枠です。
上級で9枠、下級で0枠の空きがありますね。
0枠?!なんとぴったり29枠使ってしまいました。
ナイト志望者はウォーリア/ウォーリア確定のようです。
他のサポートクラスを取る場合には《アイアンクラッド》か《ディフェンダー》のどちらかを切ると良いでしょう。一見、《ディフェンダー》の方が強そうですが、個人的にはナイトに《スティールクラッド》という発展スキルのある《アイアンクラッド》の方がお勧めです。
又攻撃能力を削って他のサポートクラスでより硬くする!というのはあまりお勧めではありません。
なぜなら攻撃役がひたすら攻撃能力を上げれば良かったのに対して、防御役はひたすら防御能力を上げれば良いというものでもないのです。
どういう事かと言うと、TRPGはコンピューターゲームと違いマスターがバランス調整をするゲームなので、どれだけ高い攻撃力を持つPCがいても「エネミーの数を増やす」「エネミーのHPを増やす」「特定のスキルを持たせる」「戦略や戦術、ギミックを工夫する」等でバランスを取る事が可能です。
しかし、ひたすら高い[物理防御力][魔法防御力]の両方を持つPCに対して有効なダメージを通そうと思うと「貫通ダメージあるいはそれに類するもので防御力を無視してダメージを与える」「防御力を上回る高ダメージを叩き出す」くらいしか方法はありません。
出てくる敵出てくる敵貫通ダメージで防御力が意味を成さなければ、ナイトの多くのスキルが無駄ということになりストレスが貯まるでしょう。
逆にナイトにダメージを通せるエネミーを出したはいいが、いざその攻撃が他のPCに向いたとき常に一撃即死では他のPCのストレスがマッハです。
(貫通ダメージや高攻撃力のエネミーが悪いと言っているのではありません。「常にそうであれば」という話です。)
低い方の防御力に対応する種別のダメージを受けた際、ナイトが0ダメージなのに他のPCなら即死、という状態なら正直やりすぎです。
マスターいじめはあまりしないであげてください。
キャラ作成の際に神(マスター)の視点が必要になるPC、それがナイトなのです。
さて話を戻しましょう。
上級の9枠ですが、称号クラスを取るのならそのスキルに当てるのが良いと思います。場合によっては表のスキルを削っても良いでしょう。
しかしナイト一本槍でやるなら……。書き出していない有用スキルがあるので一応説明しておきます。
《グランディア》《アグランタイズ》はセットアップスキルとしてはかなり強力なスキルです。このスキルに合計10枠を割くのは難しいですが、6枠は割いても良いかもしれません。
どちらかというと称号クラスのスキルで戦闘能力の底上げや出来ることを増やすのがお勧めですが。
それでは答え合わせです。
優秀な、ほぼ上位互換ともいうべき「ナイト:騎乗」というビルドがあるのになぜ「ナイト:非騎乗」が必要とされるのか。
答えは「騎乗状態は環境に依存する。」からです。
あなたのマスターは野外を騎乗したまま移動することは許すでしょうが、街中もそうとは限りません。
馬で家の中に入ることを許さないかもしれないし、エベレスト南西壁にアタックすることも、ビルバオ・グッゲンハイム美術館を設計する事も、サスケに出場する事も、騎乗して机上でポアンカレ予想を疾く解く事も(ラップ)、ディナーに参加することも、シドニーのオペラハウスに立つことも許さないのかもしれないですし、宝くじに当たって彼女ができて喜びのお手紙を送ることだって許さないのかもしれないのです!
勿論ダンジョンの中に馬で入ることも許可しないかも知れないし、屋敷の探索なら許可しない可能性はもっと高いでしょう。
ゆえに「ナイト:非騎乗」は必要とされるのです。
防御能力だけなら全クラス最高レベルを誇る「ナイト:非騎乗」。
攻撃能力に難があるため単独行動は苦手ですが、攻撃能力が高く、生存能力の低いメイジ系との相性はぴったりですし、アコライト系の支援があれば戦線を延々と維持してくれることでしょう。カバーリングのタイミングはダメージロールの直前ですので、クリティカルで死にかけているシーフのフォローも出来ます。
(普段こちらを見下している盗人野郎に、にっこり笑って「大丈夫かい?」とでも声をかけてあげましょう。)
いわばPTでこそ輝くビルドなのです。
盾役が好き、重装備が好き、騎士が好き、なにより極限状態でも他人のために体を張れる素晴らしいドMの……ゲフンゲフン、高尚な精神を持つ方は是非「ナイト:非騎乗」を使ってみてください。
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