第27話もうなんどめかの・・・しり

「ああ、マジきもかった~♪・・でもしょうがないようね・・・私達の専用の中央銀行・・じゃなったファンの皆の為だもんね♪やっぱり、日銀・・・じゃなかった・・・ファンあっての私達だから♪」


「そうよ?そんな事言わないの!休憩挟んでまた、CMの別バージョンの撮影よ?いい加減に、私達の四次元クレジットカード・・・じゃなったファンの子達に慣れなきゃ!全自動ATm・・じゃなかったファンの子達あっての私達よ?」


楽屋で小休憩をとっている尻ガール達。

手に持った飲み物を、美味しそうに飲み干している。


「・・ん・ん・・プハー!B・Bレモンうま~♪・・・よく肝オジサン達、あんな酸っぱいお茶買うよね~♪ま、私達が買わせてるんだけど・・・」


「そうね?美容目的で飲んでいる友達がいるけど・・・皆女の子だし・・。あんなアブラギッシュ中年が肌すべすべになって、どうするのかしら?ま、でもお金になるからいいんじゃないの?」


ファンが居ない個室で、尻ガール達は女子トークに花を咲かせている。

しかしその内容は、自分たちを支えてくれているファンを侮辱する内容だった。

その時、センターを務めるレッドが話始めた。


「あんた達・・・あの人達は心がピュアなだけさ!・・今、地上も地下・バーチャルも含めて、アイドル戦国時代だよ?生き残りを賭けた戦争よ?見て見なよ?!他のアイドル達にいい様に食い物にされてる、他のアイドル達のファンを・・・。

私・・・許せない!人の純情に付け込む・・そのやり方が!だから・・・私・・・」


「あ、茜!・・あんた、そこまでファンの子達を・・・」


「・・・り、リーダー・・・ごめんなさい!そんな深い考えがあったなんて・・」


レッドの話を受け、他のメンバーは自分の考え方・言動を振り返り反省していた。

メンバーがひとしきり、しおらしい雰囲気になった時・・・レッドがゆっくりと口を開く。



「・・・そう、許せない!だから・・・わたし・・・・・・決めたの!わたしが、・・・私があのファンの人達を食い物にするって!!!!!キリッ!」


「り、リーダー!?」(ダメだ!目がマジだ!怖え~!やべ~ッ、やべーって!!)


「あ、茜?!」(や、やばい!どこか遠くに旅立ってる目をしてるわ!)


尻ガール・リーダー茜以外は皆、茜の言動にドン引きしている。

茜はさらに話続ける。


「あのピュアな人たちが誰かに食い物にされるぐらいなら・・・私が食い物にしてやるわ!そう、骨の髄までしゃぶりつくしてあげるわ♪・・・・フフフフ・・・。

・・・だってお母さんはお父さんに食い物にされて・・・お母さんと私は捨てられて・・・いいよね・・・同じように・・・男なんて・・今度は私が・・フフフフ!!」


「・・・・」(だいぶこじらせてるわね・・茜)



尻ガールリーダーの茜はそう言うと、楽屋に置かれている椅子に座った。

他のメンバー達は茜の話を聞き黙り込んでいる。

その時、楽屋の扉をノックする音が尻ガールのメンバーの耳に入って来た。

ドアを開けて、2人の男が楽屋に入って来た。

1人は高級そうなスーツを着込んだ恰幅の良い男、堂々とした振舞で髪の毛をオールバックに固めている。

もう1人はラフな格好をしていて、上はパンT(食パンのTシャツ)、下はジーンズそして見るからに気弱そうなやせ型の男。


「しゃ、社長!お疲れ様です~♪」


尻ガールのメンバーは座っていた椅子から、慌てて立ち社長に挨拶をする。

社長は柔和な表情で、尻ガールの尻を舐めまわすように見つめている。変態である。

ひとしきり舐めまわして見た後、社長が尻ガールに話始めた。


「おつかれさま!尻ガールのみんな!私の尻好きが高じて立ち上げた・・・『尻ガール』・・まさかここまで人気に火が付くとはね・・・私も正直びっくりしているよ!

みんなをあの動画で見つけた時・・・私は雷に打たれたような衝撃が走ったんだ・・・な、なんて尻なんだ!っとね・・その後すぐさま皆をスカウトしたのは知っているだろう・・『なぁ!キミ!僕と知り合いになってくれないかとね!』懐かしいな・・・おいマネージャー例のモノをみんなに!」


「あ、あ・・はい!ど、どうぞ!し、資料です!」


パンTを着ていたのは尻ガールのマネージャーをしている男だった。

マネージャーは尻ガールのメンバー5人に、マル秘と書かれた資料を手渡した。


「・・?社長?これは!」


「ああ、それは今年尻ガールが巻き起こすであろう戦略をまとめたものだ!・・・突然で悪いが・・みんなその壁に一列で立ってくれるかい?」


社長に命令され尻ガール達は、言われた通り壁際に並んだ。


「ああ、ありがとう!・・それじゃ・・・そのまま壁にもたれかかってくれるかい?」


「・・・・?は、はぁ・・」


尻ガール達は社長の指示どうり壁にもたれかかった。

尻ガール達は意味が分からず首をかしげている。


「ああっと、説明がまだだったな!では、手元の資料をめくって見てくれ!」


「・・・・は?・・・え?!これって・・・」


ページをめくった、次の瞬間尻ガール達が困惑の表情をしている。


「そう!それが今年トレンドとして必ずや流行るであろう、キーワード・・・・・・『尻ドン!!』だ!!!!キリッ!!!!」


「しゃ、社長!?」(ダメだ!目がマジだ!怖え~!やべ~ッ、やべーって!!コイツもやべーって!)


「・・・・」(私達・・・・\(^o^)/オワタ)


社長は自信満々で仁王立ちしている。

リーゼントを掻き上げ、髪の毛をテカらせている。


「ハハハ、余りのインパクトにみんな静かになってしまったな!・・・それと次のページが今から年末にかけての主力商品になる!」


「し、尻ドンって・・・」(本当にこのグループ抜けようかな・・・)


「行けますよ!社長!素晴らしいアイデアです!この調子でファンのみんなを食い物にしてあげましょうよ♪ね♪」(フフフフ!)


リーダーの茜と社長が手を取り合い笑っている。

手元の資料には、Tシャツの画像が映し出されている。


「・・・・まっ・・!・・I・・LOVE・・・尻って・・・誰がこんなTシャツ買うって言うの?・・・しかも年末の寒い季節に・・・あ、横にダウンジャケットが・・・え、背中に漢字で尻!って・・・ダサっ!・・しかもピンクだし・・」


「・・・・」(お母さんどうしよう・・・この会社ブラックだよ・・・)


リーダーの茜以外のメンバーは、唖然とした顔で資料を眺めている。

そして口をあんぐりと開けて、直立不動で固まっている。

メンバー達の反応は無視して、なおも社長が話だした。


「・・おっと、次で最後だ!」


「・・・」(まだあんのかよ))


最後の力を振り絞り、茜以外のメンバーは資料をめくった。

しかしリーダー茜だけは、喜びの表情をしている。


「今この日本で、子供の内からプログラミングを教えるような流れになっている!みんなも知っているだろう?」


「・・ええ・・ええ?」(お?急に真面目な顔をしてるぞ?社長?)


尻ガールの顔を見ながら、社長が真剣な表情で語り掛ける。


「遊びながら学べる教材を・・・そんな志をもってわが社に協力してくれる、IT企業が見つかってな・・・共同で開発したのがこの・・・・無料タイピングゲーム・・・・『尻打!』だ!」


「し、尻打・・・・」(やっぱコイツ・・駄目だ・・いろいろやべーって!しかもプログラミング関係ないし・・・タイピングだし・・・・絶対意味わかってねーよ!)


茜以外のメンバーは、さらに項垂れている。


「それじぁ、みんな午後からの撮影も頑張ってくれよ!私も忙しいんだが・・・みんなの尻・・じゃなくて・・みんなの撮影を見守らせてもらうよ!ハハハハ!」


「ああ、ど、どうぞ!み、皆さん、お、お弁当です!」


気の弱いマネージャーが、尻ガールのメンバーに弁当を配っていく。

そして配り終えると、マネージャーの男も弁当を食べ始めた。

すると・・・。


「ああ、田中さん!また、お弁当をTシャツにこぼして・・・やだ・・・恥ずかしい・・・シミになってますよ!着替えてください!」


青色のメンバーが田中のTシャツを脱がせている。

そして『恥ずかしいシミ付き、パンT(食パンのTシャツ)入れ』と書かれたかごの中に、シミの付いたTシャツを投げ込んだ。

しかしマネージャー田中は、Tシャツの下にもTシャツを着ていた。何枚下に着込んでいるのか分からない?

シミを作って、Tシャツを脱ぎ、Tシャツをかごの中に・・・そしてまた着込んでいる!!

みるみる内にカゴの中に、恥ずかしいシミTが貯まっていく。


「すごいね!恥ずかしいシミ製造機・・・じゃなくてマネージャーの田中さん!こんな事で『薔薇・尻茶』売れるからね~♪すご~い♪」


「ホントよね!全自動よ!私尊敬しちゃう♪」


「い、いや~♪そ、それほ、ほどでも・・・て、照れちゃうな・・・」


マネージャーの田中は顔を赤らめて恥ずかしがっている。

その時リーダーの茜がメンバーに告げた。


「さぁ、休憩は終わり!午後の撮影よ!行くよ、みんな!」


「お、おう!」


そう言うと、メンバー達は楽屋を抜けステージ脇まで移動した。


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