3-4 オークキングとクイーンのお味は?

 称号が付き、ロリコン確定判定をされて落ち込んでいる所にフェイが興奮気味に走ってきた。


「兄様! お宝が一杯です!」


 お宝と聞いて、向こうの世界ではごく普通の庶民な俺はすぐにそっちの方に気がいった。


「どうしたフェイ、お宝があるのか?」

「はい! 宝物庫がありました! 兄様も見に行きましょう!」


 勿論、速攻見に行った! だって宝物庫だよ?


 洞窟内部は何というか……とにかく臭かった。フェイは俺より鼻がいいから口で息をしてちょっとアホ顔なのが可愛い。強い獣臭と辺り一面血の海なので、むせ返るような血の匂いで満たされている。風魔法を使い換気をしているがそれでも臭いものは臭い。


 入ってすぐの所は30m程の大きな空間があった。ゴブリンなどはこの辺りで雑魚寝で過ごしていたようだ。

 奥には8畳ほどの部屋が10個あり、土魔法で掘って崩れないように固められてあるようだ。部屋の中にはベッドや家具なんかも備え付けられてあった。元々いた盗賊が持ち込んだものだろう。


 おそらくこのエリアはオークの上位種たちの部屋なのかな? そして奥の一番豪華な部屋がキングの部屋だな。大きなダブルベットがあり、家具なんかも高そうな品だ。流石に俺はこれらを使う気にはなれないが、売れるかな?


 女物の服とかも大量に出てきてフェイの目が輝いたが、フェイにこれを着せる気は全くない。


 そして最奥の場所に檻に使われていたであろう牢屋があり、その隣の小部屋が宝物庫のようだ。


 剣や槍、防具も置いてあるのだが、魔獣をオークたちが狩るのに使ったのだろう、全く手入れがされておらず血が付いたままで放置され錆が出始めている。残念だが砥ぎ直したりしないといけないため価値が半減だ。


 一番のお宝は、高級そうな木箱に収められた宝石4つだろう。鑑定してみたらルビーやダイヤのようで一個200万ジェニーもする物まである。俺の鑑定では少なく見積もっても500万ジェニーにはなるのではないだろうか。


 魔石なんかも大量に保管されているのでこれも売れるだろう。使えそうな魔石は工房用にナビーに使ってもらってもいい。そして現金が約200万ジェニーもあった。現金と魔石はギルドに報告しなくてもいいから面倒がなくていい。


 【クリーン】の魔法を掛けながら大量のお宝を【インベントリ】に収めた。

 フェイに宝石要るかと聞いたのだが、全く興味がないようだ……竜は光物を好むんじゃなかったのか? と思ったが、この子は服の方がいいようだ。服や家具にも【クリーン】を掛けてこれも持ち帰り古着として売る事にした。何気にこの世界の衣料品は高いのだ……フェイにこの古着は着せないけどね。ちゃんと新しい良い物を買ってやる。



「さあフェイ、一気にお金持ちになったが一応報告義務がある。完全に俺たちの物になるにはギルドの査定が終えてから、少し手続きがいる。だが、欲しいものは皆、報告しないで先にピンハネするようだ。なにか欲しい物はあったか?」


「特にないけど、この中だと可愛い服が欲しいです」


 現在フェイの私服はワンピースしか持ってないので服がいいのかな? でもこの服は俺的には却下だ。


「悪いがこの服はフェイに着せたくない。町に帰ったら買いに行こうな」

「別にフェイ、その服でいいよ? 新しくなくてもいいのに」


「古い新しいの問題じゃなくて、盗賊が持っていた服をフェイに着せたくないだけなんだ」

「でも兄様、盗賊が持っていたお金は普通に使うんでしょ? どうして服はいけないの?」


 成程……フェイからすればお金はお金、服は服、そこには俺の心理的要素は入っていないんだな……どう説明したものか。


「そうだな、例えばだがここに髪飾りが2個あるとする。1個は店で買った物、もう1個は俺の手作りだ。店に売るとしたらほぼ同じ価値で買い取ってくれる物だとする。フェイはどっちが欲しい?」


「兄様が作った方が欲しいです」


「それはなんでだ?」

「兄様が作ったものだからです」


「価値は同じなのにか? じゃあ俺はどうしてフェイに盗賊の所持品を着させたくないのか解るか?」

「……分かりません」


「俺も別に知らなければこだわらないんだけどな。もしその服が人を襲って女の人から剥いだ物かも知れないと思ったらフェイには着せたくないんだよ。俺の心の問題なんだけどな。お前が着ているのを見るたびに、誰かが襲われて酷い目に遭ったと思ったりするような、そんな嫌な感情をしたくないからなんだ。さっきの髪飾りの話だが、同じ物でも人の価値観がそこに入ると人によってまったく違った価値になるんだよ。人によってはただの服だけど、俺からしてみたらこの服は負の感情を抱かせてしまう嫌な物なんだ」


「解りました。フェイ、町で兄様に新しいの買ってもらいます」

「一杯買ってやるけど、ナビーがフェイに似合った服を作ってくれるよ」


『……そうですね、機械化がもうすぐ出来そうですので、後10日もすれば良い物が作れそうです。後もう少し糸蜘蛛とストリングワームか吸血蝶の幼虫か繭が欲しいですね。3匹あれば色々出来そうですので、今度沢山いる森に狩りにいきましょう』


「吸血蝶とか名前からして危険そうだな」

『……Cランクの魔獣です。糸を吐いてきますが蜘蛛ほど積極的ではないので気を付けてさえいれば危険は少ないですね。蜘蛛より繊維が細くシルクの様な糸が採れるそうです』


「この近くにいるか?」

『……いえ、バナムからハーレンに向かう途中にある森の中にいい場所がありますね。神域に近いこの辺は辺境にも拘らず下位魔獣しかいないのです。おかげでいい薬草などが採れるので、ガストの村も潤っているのですけどね。しかしあまりにも不便なので人口はそれほど増えないようですが』


「じゃあ、近いうちにそっち方面の散策もしようか。ダンジョンとかもあるようだし楽しみだ」


「兄様これからどうしますか? すぐ町に帰ります?」

「いや、レベルアップしたからね。あの後をつけていた3人組も気になるし、今日はこの辺でやり過ごそうか?」


「そうですね【痛覚無効】があれば問題ないのでしょうけど、やり過ごした方が無難です」


「俺はステータスの確認と、APを振り分けるからフェイは時間を潰しててくれ」


『……じゃあ、フェイにお使いを頼みます。場所はナビしますので、この辺にある大きな木を10本切って欲しいのです』


「いいよ。でも木で何するの?」


『……マスターのレベルと熟練度が上がったので家の拡張ができるようになりました。今のログハウスタイプより外は小さくて中は時空魔法で5倍ほどの大きさの物が出来ます』


「それは凄いな! 間取りとかはナビーと相談してフェイが決めていいぞ。ただし将来のことも考えて1PT7人がプライベートを守って暮らせる設計にすること。それとお風呂は大きめにな」


「フェイが考えていいの? やったー! ナビー、早速木を伐りに行くよ」

「待て待て、この斧を持って行け。ショートソードじゃ切れないだろ」


 キングの巣の周りは血だらけになっていたため、そこから300m離れた場所にログハウスを召喚してフェイと別れた。



 早速ステータス確認する。


 俺が2レベアップ、フェイが6レベアップか。APは213、キングと言っても大して経験値はないんだな。


 まずは俺から


 《リョウマ・タカナシ》

  HP:15192

  MP:10034

  レベル:32

  種族:神族

  性別:男

  年齢:15

  職業:創造神


  攻撃力:1028

  防御力:867

  敏捷力:1023

   知力:1002

  精神力:974

    運:1395

  魅力 :測定不可


   SP:6528

   AP:7


《スキル》

 上級魔法

   火属性:【ファイガボール】【ファイガウォール】【ファイガスピア】

       【ファイガストーム】【ファイガフレア】

   水属性:【アクアガボール】【アクアガウォール】

       【アクアガスピア】【アクアガレイン】

       【アクアガヒール】【アクアガキュアー】【アクアガレンジヒール】

       【アクアガシールド】【アクアガカッター】

   雷属性:【サンダガボール】【サンダガスピア】

       【サンダガレイン】【サンダガスタン】

   風属性:【ウインダガボール】【ウインダガウォール】【ウインダガスピア】

       【ウインダガカッター】【ウインダガシールド】

   地属性:【ストーンガボール】【ストーンガウォール】【ストーンガスピア】

       【ストーンガレイン】【ストーンガバレット】

   聖属性:【完全回復】【異常回復】【範囲治療】

       【HPドレイン】【MPドレイン】

   闇属性:【グラビガ・ボール】【ヘイスガ】【レビテガ】【スロウ】



《オリジナル魔法》

  特殊支援系

   【認識詐称】【ユグナビシステム】【ジャミング】【サーバーカット】

   【認識阻害】【音波遮断】【スティール】【殺生強奪】【自動拾得】

   【カスタマイズ】【スキルコピー】【魔法複製】【リストア】【復元修理】

   【エアーコンディショナー】【コネクション】【リペア】【ホーミング】

   【痛覚無効】【アクアピュリファイ】【物資転送】

   【ボディースキャン】


   【詳細鑑定】レベル10【周辺探索】レベル10

   【並列思考】レベル5【多重詠唱】レベル5【高速思考】レベル 5

   【魔力感知】レベル10【魔力操作】レベル10

   【アクアフロー】レベル10【魔法消費量軽減】レベル10

   【痛覚半減】レベル3【マジック・シールド】レベル5

   【プロテス】レベル5【シェル】レベル5【獲得経験値増量】レベル10

   【獲得SP増量】レベル10【獲得AP増量】レベル10

   【獲得熟練度増量】レベル10【移動速度上昇】レベル5

   【王の威圧】レベル6【王の覇気】レベル6


  工房支援系

   【倉庫内工房】レベル9【硝子工房】レベル9【服飾工房】レベル7

   【塵処理工房】レベル7【調理工房】レベル10【機械工房】レベル7

   【機械工学】レベル7【機械設計】レベル7【機械加工】レベル7



   【武器工房】レベル5【防具工房】レベル3

   【プランクリエイト】レベル9【アルケミークリエイト】レベル7

   【ツールクリエイト】レベル9【メディスンクリエイト】レベル8

   【レザークリエイト】レベル7【メタルクリエイト】レベル8

   【ハウスクリエイト】レベル7



  職業支援系

   【一流料理人】レベル10【ぱてぃしえ】レベル10【硝子職人】レベル6

   【錬金術師】レベル8【道具職人】レベル8【調剤師】レベル8

   【革職人】レベル7【家具職人】レベル6【鍛冶師】レベル7【建築技師】レベル7

   【裁縫職人】レベル6【武器職人】レベル5【防具職人】レベル4

   【刀鍛冶】レベル5

   【ファッションデザイナー】レベル6【パタンナー】レベル6

   【スタイリスト】レベル4【ヘアースタイリスト】レベル1

   【ヘアーカット】レベル1


  戦闘支援系

   【剣術】レベル5

   【槍術】レベル2

   【弓術】レベル2

   【杖棒術】レベル2




《フェイ》

 主神:創造神龍馬

 HP:7483

 MP:7376

 レベル:28

 種族:神竜(フェザードラゴン)

 性別:雌

 年齢:15

 職業:龍馬の従魔


 攻撃力:1386

 防御力:1005

 敏捷力:1317

  知力:962

 精神力:918

   運:632

  魅力:1387


《スキル》

 中級魔法

 火属性:【ファイラボール】【ファイラウォール】【ファイラスピア】

     【ファイラストーム】

 水属性:【アクアラボール】【アクアラウォール】

     【アクアラスピア】【アクアラレイン】【アクアラカッター】

     【アクアラヒール】【アクアラキュアー】【アクアラシールド】

 雷属性:【サンダラボール】【サンダラスピア】

     【サンダラレイン】【サンダラスタン】

 風属性:【ウインダラボール】【ウインダラウォール】【ウインダラスピア】

     【ウインダラカッター】【ウインダラシールド】

 地属性:【ストーンラボール】【ストーンラウォール】【ストーンラスピア】

     【ストーンラレイン】【ストーンラバレット】

 聖属性:【治療回復】【毒解除】【精神回復】【範囲治癒】

     【ホーリーレイン】【ホーリーシールド】

 闇属性:【グラビラボール】【ヘイスラ】【レビテラ】【テレポテーション】


《オリジナル魔法》

 特殊支援系

  【認識詐称】【ジャミング】【物資転送】【エアーコンディショナー】

  【認識阻害】【音波遮断】【スティール】【自動拾得】

  【ホーミング】【痛覚無効】】【ボディースキャン】

  【魔力感知】レベル10【魔力操作】レベル10

  【アクアフロー】レベル10【魔法消費量軽減】レベル10

  【詳細鑑定】レベル10【周辺探索】レベル10

  【並列思考】レベル5【多重詠唱】レベル5【高速思考】レベル5

  【痛覚半減】レベル3【マジックシールド】レベル5

  【プロテス】レベル5【シェル】レベル5

  【獲得経験値増量】レベル10

  【獲得SP増量】レベル10【獲得AP増量】レベル10

  【獲得熟練度増量】レベル10【移動速度上昇】レベル5


 ブレス攻撃系

  【ファイアブレス】レベル5

  【アクアブレス】 レベル5

  【サンダーブレス】レベル5

  【ウィンドブレス】レベル5

  【ストーンブレス】レベル5

  【ホーリーブレス】レベル5

  【グラビトンブレス】レベル5


 戦闘支援系

  【剣術】レベル3

  【槍術】レベル1

  【弓術】レベル1

  【杖棒術】レベル2




 なんか異様に工房レベルが上がっているのだが……ナビー頑張り過ぎ。


 フェイは戦闘技術系が付いてるな【剣術】レベル3か、キング強かったからな。

 【杖棒術】レベル2はクイーンが使ってた杖殴りのあれかな、興味あるな。


『……マスター、ベッドの試作品が完成しました。とりあえずセミダブルタイプとシングルタイプです』


「おおおおっ! ついに出来たか! 早速ここの入れ替えるな。流石にこの部屋に2つは置けないか。よし、セミダブルを置いてシングルベッドはナナに転送しようかな。またフィリアがうるさそうだけど。試作が1つ出来たら、後はスキルで一瞬に量産できるからな」


 早速ログハウスの中のベッドを入れ替えた……ポケットコイルマットのベッドは天国だった。

 板に薄いマットを敷いただけの硬いベッドは、それなりの良い品を使ってた俺には結構きつかったのだ。


『ありがとうナビー! 極楽じゃ! これいいぞ! 完璧な出来だ!』

『……マスターにそこまで喜んでもらえて嬉しいです。1つ1つ部品から作製し、苦労した甲斐がありました』


『ああ! 凄く良い出来だ! 文句のつけようがない。このシングルタイプを神殿の巫女たちにプレゼントしたいのだが量産できるか? フィリアにはセミダブルサイズをあげよう』


『……幾つほど必要なのでしょうか? 巫女だけですか? 姫騎士たちにも差し上げてはどうでしょうか?』

『そうだな、とりあえず今居る人用に13台かな。最終的に追加で後17台ほど寄付したい。悪いが頼むね。それとキング、クイーン、ジェネラルの解体と熟成を頼む』


『……了解しました。フェイに追加で20本ほど伐ってもらいます。木の加工と乾燥で10日程かかりますがお待ちください』



 ちょっと気になることがあるので検証タイム。

 ギルドカードをクリスタルプレートに近づけて中を表示させた。

 大丈夫そうだな……何が気になったかというと、倒した魔獣が記録されるのだが、どこまで詳細に記録されるのかが気になったのだ。もし倒した時間とかが詳細に記録されるならちょっとまずいことになる。ほぼ同タイムで100体程が討伐されたことになるからだ。そうなったら説明を求められるのは確実だろう、無詠唱やら多重詠唱のスキルの話になってくると面倒なことになるのは目に見えている。


 獲得順に記録されるのかが気になったのだが、これは討伐順のようだ。採取したものは記録されないようで安心した。


 ギルドカードの更新を、最長で1年間更新しなくて良いということは、それだけの容量を記録しなければいけないので、あまり多くの情報を持たせないようにしているのだろう。



 次は実地検証だ。


 今現在倒した魔獣は自動習得で拾い、剥ぎ取り作業をインベントリ内の工房でナビーにまかせっきりにしてある。工房内での作業技術の習得熟練は俺とリンクするようにスキル作製時にイメージしてあるが、はたしてどうなっているかの検証だ。


 リンクしている俺が実際どこまで技術的に向上しているか実際やってみようというのだ。


 まずはゴブリンの剥ぎ取りからやってみる――うん、問題ない。

 魔石を抜くだけだが10秒で終えたのだ。熟練者の冒険者並みに慣れた手つきでピンポイントに魔石だけ抜き取った。


 次はオークに挑戦だ。近くの木にぶら下げまずは血抜き作業からだ。この血抜き作業は肉の味に大きく関わってくるのでとても大事だ。血抜きが甘いと臭みが出てしまう。1時間程ぶら下げないといけないのでその間に周りの採取と狩りだ。薬草と夏キノコ数種、魔獣じゃない野兎を2匹狩れた。魔獣じゃない普通の獣はとても警戒心が強く、気配察知能力も高いのでなかなか捕らえることができないそうだ。なので毛皮などはとても高値で買い取りされているようだ。肉自体は個体で違うらしいが、この野兎は美味しいそうだ。これも1匹剥ぎ取りの練習にしよう。1匹先に工房で解体すれば自動で俺の技術に組み込まれるはずだ。オークの横につるしてまずは血抜きだ。


 血抜きの終えたオークの剥ぎ取りをやってみた。


 各部位ごとに切り分け、20分ちょっとで解体できた。1人での作業なのを考えたら凄く早い方だろう。野兎もほどなく解体し、工房内で解体したものと比べてみた。うん、どっちがどっちか分からないレベルだ。


 工房内で習得した技術はちゃんと反映されて、俺自身で使えることが分かった。

 これでどこかのパーティーと合同になることがあっても、オークすら剥ぎ取りができない冒険者というような恥を掻くことはないだろう。これで今日は検証終了だ。


『ナビー、フェイの方はどうだ? まだかかりそうなら手伝いに行くぞ?』

『……あと3本ですのですぐ終えて帰ります。斧で切るより【アクアラカッター】のほうが優秀でした』


『そうだった。スキルの方が早いよな。風系と水系どっちが良いかやってみたか?』

『……ハイ、風だと切り口が荒くなりますが、水だと鋭利な刃物でスパッと切ったような見事な切り口です』


『これも使途によって使い分ける必要があるな……今後の課題要項にいれておこう。ナビー、肉の熟成はもう終えたようだな? キングとクイーンをステーキで食べてみるから2枚ずつそのサイズに切ってくれ。それと神殿に送るから14人分を各2枚ずつ行き渡るように切ってくれるか』


『……完了しました。インベントリに神殿転送用と夕飯用のタグをつけて入れておきます』

『エッ!? もうできたの? ありがとう、明日にでも送ってやるよ』


 ログハウスに戻り、風呂を沸かして先に入らせてもらった。ふー極楽じゃ!

 風呂から出た俺は、さっそくステーキを焼いた。

 塩コショウだけのシンプルな味付けにしてある。丁度焼き上がるころにフェイが帰って来たのでそのまま夕飯にする。


 ・オークキングとオーククイーンのステーキ

 ・生野菜のサラダ

 ・白身魚の甘酢掛け

 ・オークの豚汁

 ・米飯

 ・レモン水


 ステーキ以外はナビーの作り置きだが、インベントリの恩恵で作り立てと変わらない。さていよいよ実食。


 はぁ~幸せすぎてどうしよう……ステーキはキングよりクイーンの方が俺の好みだった。味自体はキングの方が旨味と甘みがあって美味しいのだが、蕩けるような柔らかさがクイーンにはあるのだ。キングはとんかつで食いたいと思った。横でフェイが蕩けた顔をしている。やはり美味しすぎてダメな顔をしているのだ。


「兄様幸せです! 私はキングのステーキの方が好きです」


 フェイは竜だけあって、柔らかい肉より旨味があって食べ応えのあるキングの方が好きなようだ。なのでお互いに食べかけだが、お肉を交換した。



 キングとクイーンのお肉はめちゃくちゃ旨かった。

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