二人はUKKARI

 むかーしむかし、うっかりさんの太郎冠者としっかり者の次郎冠者がおりました。

 ある日、太郎冠者が「俺は海賊になる!」と言ってぶらりと旅に出てしまったものだからさあ大変。なぜって? それは太郎冠者がうっかりさんなうえに、方向音痴だから。

 太郎冠者はほんとうに海賊になれるのだろうか。海賊といえば淡海や瀬戸内の方と聞くけれど、ここは相州の山の中。そもそも太郎冠者はたどり着けるのかしらん。

 心配になった次郎冠者は、一番新しい地図を買い求めて、太郎冠者を追う旅に出ることにしました。

 どうやら海沿いに遠州、三河、お伊勢さんとずっとずっと西に歩いていけば、海賊のいる瀬戸内、それからもう少し北に行けば淡海にもたどり着けるようです。

 これまで見たことのない景色を見られるんだ、楽しみだなぁ。

 うきうきと旅路を思う次郎冠者は、太郎冠者が方向音痴だということをすっかり忘れているようです。

 どうするどうなる、珍道中。


(続きません)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る