11.神仏なるそのお方

私の中の全偽善が 動かされる瞬間が確かにあった

そしてそれが現実に起きたことだからこそ 動かされたのだと感じるのだ

又だからこうして忘れずに思い出すのだと思う


忘れることのないその行いは ご自分を犠牲にしたものだった

言葉にしてしまえば陳腐さに塗れてしまうが 決していや決して そんなことはない

なぜならそのお方は 確かにその行いによって 亡くなられたのだ

見ず知らずの誰かを助け 亡くなられたのだ

その時そのお方が どうお考えになったのかは知る由もない

だが 分かることは一目瞭然

私などの考えでは 到底及びはしないそのお考えに そのお方は至られたということ


ふと思う 神も仏も信じぬ私であるが 今思うのは そのお方こそ神か仏なのではないかと

神は全能なり 仏は全知なり なれば・・・

わが身を犠牲にして他の命を助けたそのお方こそ そう呼ばれるに相応しい筈だ


偽善などとはほど違うその行いは 確かに私の中の全偽善を動かした

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